カイリキンを使ってみた結果
「……」
「うおっ!? ど、どうした? いつからそこにいたんだ? びっくりしたぞ……」
「……これ、返すわ」
「カイリキンじゃないか。中身がずいぶん減っているところを見ると、かなりの量を使ったようだが……返すということは役に立たなかったのか?」
「いいえ……十分すぎるくらい役に立ったわ」
「……? だったらどうして?」
「……実はこの前、冒険者の間で親睦を深める野外パーティーがあってね」
「ほう」
「私も参加してたんだけど、パーティーを楽しんでいる最中にいきなりモンスターの群れが襲ってきてさ……」
「それは災難だったな。大丈夫だったのか?」
「初顔合わせのメンバーも多くてうまく連携がとれなくてね。新米冒険者たちが何人か捕まっちゃったりしたんだけど……武器や魔法を使って助けるのも危ないじゃない? それでこのカイリキンを飲んで、徒手空拳で立ち向かったわけよ」
「それは勇気があるな。というかまさにカイリキンが役に立つ場面じゃないか」
「うん……カイリキンの効果のおかげか、素手で大蛇の胴体を引きちぎったり、クリーピングツリーの幹をへし折ったりして、捕まってた子たちは無事に助け出すことができたわ。その勢いのままひと暴れした頃には、モンスターの群れはいなくなってたんだけど」
「お、おう……おかしいな。俺が自分で試した時は、そこまでの効果はなかったんだが……」
「でも戦いが終わった後の、みんなの私を見る目がね……助けた子たちですら、私が近づくだけで怯えて何も言えなくなっちゃうくらいでさ……体も小刻みに震えてたし……」
「実験結果から、飲めばただ単純に膂力をアップさせると考えていたが、本人の資質次第で効果量が大きく変化するということなのかもしれんな……」
「……新しい出会いにもちょっとだけ期待してたんだけど……また結婚から遠ざかっちゃったかなー、なんてね……あはは……」
「やはり、こいつからカイリキンのイメージを受け取った俺の直感は正しかったということか……」
「……あんな目で見られるのはやっぱりつらいし、カイリキンはもう使うのやめておこうかなって、そう思ったのよ……ところでさっきから何かぶつぶつ言ってなかった? ちゃんと私の話を聞いてたんでしょうね?」
「い、いや、何も言ってないし、ちゃんと話も聞いてたぞ! 痛ましい出来事だったな! ……そうだ、とっておきのワインを開けてやろう! 今日はすべてを忘れて飲むといい! 食べ物もお前が好きなものをなんでも買ってきてやるから、元気を出せ!」
「……そうね。いつまでも落ち込んでいられないし、そうしましょ!」




