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金の斧

「ようやく店も完全に修復されたが……あいつはまだ帰ってこないな。どこまで行ってしまったのやら」


「あなたねえぇぇぇぇぇぇ!! なに他人事みたいな独白してんのよ!?」


「お前なら必ず帰ってくると信じていたぞ……なんだかずいぶんとボロボロになっているようだが」


「通りすがりのロック鳥にしがみついて、到着した巣の中で雛と格闘したりしたあげく、いくつもの山と谷を踏破してなんとかここまで戻ってこれたのよ! あのブーツを履くわけにもいかないから裸足でよ!?」


「さすがに今回は色々と悪かったと思っている。だからお前のために貴重なアイテムを用意しておいた」


「……正直言って、しばらくここのアイテムは見たくないんだけど?」


「そう言わずに見てほしい。きっと俺の誠意が分かってもらえるだろう。お前に渡したいのはこれだ」


「!? その色と輝き……まさか金の斧!?」


「なんなら他所よそで換金してくれても構わないぞ。元々うちに現金はあまりないし、店の修復にそこそこかかったんでな。今はこういう形でつぐなうことしかできないんだ……」


「……」


「お前がこの店のアイテムをもう見たくないと言うのなら、この話はなかったことにするが……」


「ちょちょちょちょちょっと待って待って! ま、まあ事の発端は私にもあるし、今回はそれで許してあげてもいいわよ!? ……でも本当に本物なんでしょうね!?」


「本物だぞ。昔、三人の男女がこの斧を使う邪悪な巨人と戦ったという伝承が残っている」


「それ金の斧は金の斧でも、まったく違う斧じゃないの!!」

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