スリング
「こんにちは……あら? ひょっとして取り込み中?」
「いらっしゃい。なに、ちょっとした修繕作業だ」
「……それ、スリング? 随分とくたびれてるみたいだけど」
「これは俺の私物でな。ダンジョンに潜る時なんかにいつも携帯するんだ」
「そういえば冒険者の真似事もできるって言ってたわね。スリングを愛用してるっていうのはちょっと意外だったけど」
「よし、これで修繕完了だ。次は……と……あれはどこに置いてたんだったかな」
「スリングって仕組みは知ってるんだけど、まだ一度も使ったことないのよね。ちょっと触ってみてもいい?」
「かまわないぞ……今日は色々と雑事が溜まっててな。相手できなくてすまん」
「気にしないで。ひまつぶしに寄っただけだから……ええっと、たしか弾を挟んでクルクル回せばいいのよね。こうかな? ……あ、できたできた。思ったより簡単ね」
「……こっちの作業が終わったら俺も休憩するか……お、スリングちゃんと扱えてるじゃないか……ん?」
「まあね。なかなか様になってるでしょ? 結構面白いわね、スリングって」
「……なあ、ひとつ聞きたいんだが……ひょっとして、今まわしているのは赤い弾か?」
「ええそうよ。もしかして、使っちゃだめなやつだった?」
「……いいか、落ち着いて聞いてくれよ?」
「うん」
「その赤い弾は、着弾時などの衝撃で爆発するやつだ」
「ばっ!? ちょっ……どどどどどどうすれば!?」
「お、落ち着け。俺がなんとかしてやる!」
「わわわわわかったわはやくおねが……あっ」
「あっ」




