若返りの薬ワカガエルン?
「若い頃の姿に戻れるワカガエルンとかないの?」
「あるわけないだろう夢を見ずに現実を直視しろ。いやむしろ鏡を直視しろ。そして己の老化現象に震えるといい」
「……この前借りた鋸剣ソーソードをここで使ってもいい? これ思ったより強くて、斬ったモンスターもいい悲鳴をあげてくれるんだけど」
「待て待て俺が悪かった。剣も怒りもおさめて欲しい。なんならそのソーソードはお前にプレゼントしてもいい」
「あらそう? じゃあありがたく私のものにしちゃうわね」
「やれやれ助かった……しかし、若返りの薬なんて不要だろう。お前はじゅうぶん若いじゃないか」
「といってももう婚期を逃しちゃってるのよね……冒険者なんかやってるとなかなか良い相手も見つからないし」
「……そうか……」
「ちょっ、その慈愛に満ちた哀れみの目やめて。ほんとうにつらくなる!」
「すまんすまん。だが俺としては大人しく化粧水でも使えとしか言いようがないな」
「はあ……やっぱりワカガエルンなんて若返りの薬、どこにもあるわけないか……」
「そうだな……実は似たようなものならある」
「えっ? 本当!? どんな薬!?」
「とある生き物から分泌される成分を抽出した薬、ヒキガエルンだ」
「それってただの毒薬じゃないの!!」