323/324
おもいやり
「お前はおもいやりの話を知っているか?」
「おもいやり? やたらと重い槍ってこと?」
「異国の話なんだがな。父が残した宝をあてにして放蕩暮らしをしている息子がいた。しかしその宝の正体は『おもいやり』という言葉だった。金銀財宝を期待していた放蕩息子はショックを受けるのだが、思いやり、つまり人を思いやる心こそが一番大事な宝なんだと諭され、心を入れ替えて立派になるんだ」
「うーん……良い話だとは思うけど、私だったらしばらく立ち直れそうにないわね……」
「その話にはまだ続きがあってな。家の倉庫に父が残した『重い槍』が保管されていたんだが、その正体は純金で出来た本物の財宝だったんだ」
「あら、そんなオチがつくのね。ちゃんとした遺産まで手に入るなんて、その放蕩息子は恵まれてるわね。ちょっと羨ましいわ」
「そこでだ。うちの倉庫にもまだ未鑑定の槍をはじめとしたアイテムがいくつも転がっている。お前もその話のように、財宝を見つけてみないか?」
「……まさかとは思うけど、ただ単に面倒な倉庫整理を手伝わせたいだけじゃないでしょうね?」
「……思いやりが一番大事だというのが、さっきの話の教訓だ」
「……分かったわよ。たまには手伝ってあげるわ」




