カイリキンかチカラコブンか
「飲むだけで少しの間、怪力になれる薬が完成した。丸薬だからイメージとしては以前作ったミナギルンに近いな」
「すごいわね。でもそういえばミナギルンってまだ飲んだことないのよね」
「しかし今、ネーミングで少し迷っているのだ。最終候補が二つあるので意見を聞きたい」
「いいけど……どんなの?」
「ひとつはカイリキン、もうひとつはチカラコブンだ」
「相変わらずのネーミングセンスね……」
「あまり褒めるな。それでどっちがいい?」
「うーん……どちらかというとカイリキンかな……」
「ほう。さすがだな。実は俺もそちらのほうが良いかなとは感じていた」
「なんだかあまり嬉しくない賞賛の言葉ね……でもどうして私に意見を求めたの?」
「それはもちろん、この薬がお前のイメージから生まれたからだ」
「……」
「……い、いや、別にお前のことを怪力そうだとか、力こぶが凄そうだとか思ってたわけじゃないぞ?」
「……そのカイリキンってやつ、ここに持ってきてもらっていい? ちゃんと効果があるか私が試してあげるから」
「待て待て拳を鳴らすのはやめろ。お詫びにナオルンシリーズを好きなだけ持っていっていいぞ」
「……カイリキンによる初の犠牲者にならずに済んで良かったわね」




