ちょっとした不運を幸運に変えるアイテム
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「いきなりで悪いんだけど、運が良くなるアイテムとか置いてない? 最近、どうにもついてない気がするのよね……」
「ふむ。一応、ちょっとした不運を幸運に変えるアイテムならあるが……」
「ほ、本当にあるの!? ダメ元で聞いてみて正解だったわ! 早く見せてちょうだい!」
「慌てるな。すぐに持ってきてやる……ほら、これだ」
「……? ただのバターナイフにしか見えないんだけど……それ、本当にさっきあなたが言ったみたいな力があるの?」
「もちろんだ。これを使ってパンにバターを塗るだけで、お前は朝から不運に悩まされずに済むようになる」
「ひょ、ひょっとしてパンにバターを塗るという行為がきっかけになって、朝から幸運をもたらしてくれるとか!?」
「まあ大体そんな感じだ。パンを落とした時にだな、バターを塗った面から落下しそうになると不思議な力が働いてパンがひっくり返り、バターを塗ってない面が着地してくれるんだ」
「……あまりにも限定的すぎるわね……」
「いらないか?」
「……買うわ。実はついこの間、バターを塗ったパンを落として高いカーペットを汚したばかりなのよ……」




