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二者択一

「二度と手に入らないような貴重なアイテムを、どちらか選ばなければならない……というような状況に遭遇したことはないか？」

「な、なによそれ……ずいぶんと変な質問ね……」

「純粋な好奇心だ。そういった経験があるかどうかを知りたい」

「んー……特に覚えはないわね……」

「そうか。それならよかった。ちょっとしたテストをしてみないか？」

「……さっきの質問と関係があるのよね？」

「もちろんだ。ここに二種類のアイテムがある。……見ての通り、剣と盾だ」

「……何だか今までこの店で見てきたアイテムとオーラが違うわね……詳しいことを聞いてもいいかしら？」

「剣の方は合言葉を唱えることで、一日に一回だけ何でも斬ることが出来る。鋼だろうが、ドラゴンの体だろうが、文字通り何でもだ」

「た、たしかにそれは凄まじい効果だわ……強敵相手への切り札になりえるわね……盾の話も聞かせて？」

「盾の方は合言葉を唱えることで、一日に一回だけ何でも防ぐことが出来る。刃だろうが魔法だろうがドラゴンのブレスだろうが、だ」

「そ、それも凄いわね……ドラゴンのブレスさえ防げるなんて……一発逆転が狙えそうだわ」

「そうだろう。どちらも世界に一つしか存在していない、貴重な一品だ」

「……!!　……ま、まさかそのどちらかを今ここで選べと言うの!?」

「その通りだ。なあに、緊張することはない。言っただろう？　ただのテストだと。……気楽に選んでみろ」

「そ、そういえばそうだったわね……わ、私としたことが、あなたの雰囲気がいつもと違うからすっかり呑（の）まれちゃったわ……」

「それでどうする？　剣と盾、どちらを選ぶ？」

「んー、そうね……どっちも甲乙（こうおつ）つけがたいけど……やっぱり、剣の方が欲しいかな。攻撃は最大の防御と言うものね」

「なるほど。お前の選択は分かった……いいだろう。持っていけ」

「ちょっと待ってちょっと待って！　これ本当にテストなのよね!?　お願いだからそうだと言って!!」