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透明飲料
「とある国で、透明飲料ブームが起きたことがあったそうだ」
「透明飲料? 水のように透き通った飲み物ってこと?」
「うむ。俺たちが普段目にする果汁から作られたジュースなんかは色がついているだろう? それらの色が透明になったと想像してみてくれ」
「……オレンジジュースが透明になったりとか? 何だか違和感を覚えるわね……」
「だがブームが起きたのは事実だ。商品も飛ぶように売れたらしい。そこで俺も透明飲料を生み出すために日夜研究を重ねた。俺の中の知的好奇心がそうさせたんだ」
「目的は明らかにお金っぽいけど、その情熱は見習いたいところだわ」
「何度も失敗したものの、ついにカイフクーンやナオルンシリーズ、さらにはエリクサーなどの透明化に成功することが出来た」
「さらっと言ってるけど、とんでもない技術ね……」
「そして完成したそれらを新製品として売り出すために瓶詰めを全て終えたところなんだが、大きな問題が起きてな……」
「なにがあったの?」
「ラベルを貼る前だったんで、どれがどれだか分からなくなってしまったんだ……」
「……どう収拾をつけるのよ……」




