衝撃波を放つ剣
「剣から衝撃波を放ってみたいと思ったことはないか? 俺はある」
「そ、そう……」
「そこで、念じながら振ることで刀身から衝撃波を飛ばせる剣を作ってみた。形はスタンダードな両刃の剣だ」
「……望み通りのものをあっさりと作っちゃえるのが、あなたのすごいところよね……」
「まあまだ試作品だがな。衝撃波も一日に一回しか使えない。力を使った本人も大きく消耗してしまう」
「でもいつかは完成して使える回数も多くなったりするんでしょう? 冒険者としてはすごくありがたい剣になりそうだわ」
「そう言ってくれると嬉しい。しかし実際に使ってみた感じ、どうにもしっくり来なくてな……」
「そうなの? 威力が足りないとか?」
「いや、威力は申し分ない。飛ばした衝撃波で大きな岩を両断することも可能だった」
「それは大したものだわ……じゃあ何が気に入らないの?」
「さっきまでは謎だったが……こうしてお前と問答しながら改めて考えることで、ようやくこの剣に足りないものが分かった」
「あら、それはお役に立てて光栄だわ。それで何が不足していたの?」
「うむ。やはり剣から衝撃波を放つ際には必殺技の名前を叫ぶことが肝要だ。完成品には発動に音声認識が必須なシステムを組み込もうと思う」
「……私としては、その機能はオミットして欲しいわね……」




