人生の攻略本
「人生の攻略本を読みたいと思ったことはないか?」
「じ、人生の攻略本? どういうことよ?」
「人生にはいくつもの分岐点がある。あの時にもしこう選択していたら、どんな道に進めたのか。より幸せだったのか、より不幸だったのか……。それが今際の際に分かる本だ」
「今際の際って、もう死ぬ時じゃない……もっと前に知ることは出来ないの?」
「時期が来ない限り、ページを開くことすら出来ないのだそうだ。その本は」
「伝聞系ってことは、あなたのお店にあるわけじゃないのね?」
「ああ。俺も噂に聞いただけで、実物を見たことはない」
「攻略本っていうけど、あなたの聞いた話が本当なら人生の攻略には役に立たないみたいね」
「まあな。それでも俺は読んでみたいんだ」
「でも読んだら、こんなこと知らない方が良かったって思ったりしないかしら?」
「その先にまだ未来があるのなら、つらい気持ちを引きずることになりそうだが……人生が終わる時になら読める気がするんだ。そして泣くほど後悔したり、あの時ああして良かったんだと満足したり……そんな時間を最期に味わいたい」
「私だったら、その時になっても読む決意が湧かない気がするわ……」




