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白紙のスクロール
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「あら、見たことのないスクロールが置いてあるわね。普段セット売りされてる魔法のスクロールとは違う雰囲気だけど……何か有難い文句でも書かれてたりするのかしら?」
「興味があるなら中身を見てみるか?」
「いいの?」
「もちろんだ。ほら」
「それじゃあ読ませてもらうわね。……? なにこれ、何も書かれてないじゃない。ひょっとしてただの未完成品?」
「分からないのか? その白紙の箇所にこそ、大事なことが書かれているのだ」
「……! そ、そんなこと考えもしなかった……まさに開眼させられた気分だわ!!」
「……ということにすれば、白紙のスクロールにも価値が出ることが今判明した」
「……あなたねえ……!!」




