ガラスのアイテム
「おとぎ話にはガラスで出来たアイテムが出てくるよな」
「ええ、ガラスの靴が特に有名よね。子供の頃、あのおとぎ話の主人公に憧れたものだわ……」
「それは奇遇だな。俺も子供の頃におとぎ話を読んで憧れたクチだ」
「あら、それは嬉しいわね。こんなところで同好の士が見つかるとは思わなかったわ」
「そこでガラスの剣を作った。ほら、これだ。お前にプレゼントするからぜひとも使ってみてほしい」
「なんで今の流れで靴じゃなくて剣が出てくるのよ!?」
「お前が憧れたおとぎ話と俺が憧れたおとぎ話とがまったく違うものだったんだろう。別にお前には舞踏会よりも武闘会の方がお似合いだとか言いたいわけじゃないぞ」
「言ってるじゃないの!!」
「そのおとぎ話に出てくるガラスの剣は、中に毒液が入っていて叩きつけるだけでモンスターを即死させるという凄い武器でな。子供心にカッコいいと思ったものだ」
「何それ怖いんだけど! 毒液が自分にかかったらどうするのよ?」
「安心しろ。この剣にはそんな仕掛けはない。叩きつけたら壊れることに関してはおそらく同じだろうがな」
「武器としての使い道はあるのそれ? ただの装飾品にしかならないような……」
「きっとお前なら良い使い方を見出してくれる。そう信じてこの剣を譲り渡すのだ」
「体よく押し付けられただけのような気がするわね……まあいいわ。デザインは好きだし、ありがたく貰っておくわね」




