おつまみ
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「……なんだかウキウキしてない?」
「おっと、そう見えるか? また新たな食料品が完成しそうでな。そのせいかもしれんな」
「いつもの出店の新商品? あなたの創造力は凄いんだけど、大抵変な方向に行くから不安なのよね……」
「今回使う予定の食材はまったく特殊じゃないから心配するな。むしろ皆がよく知っているものだ。夏の定番と言っても良い」
「夏の定番? 冷製パスタやかき氷でも作ってくれるの?」
「ふむ、冷製食品もそのうち提供したいが……今回は手軽に食べられるおつまみだ」
「へえ、それはそれで悪くないわね。ビール片手に食べたいものだわ」
「そんなお前に朗報だ。実際、ナッツのような味でな。きっとビールとの相性もバッチリだろう」
「それは楽しみね! 冒険後に一杯やるのは冒険者のたしなみだから、きっと繁盛するわよ! 私も夏の間は毎日出店に寄ろうかしら」
「ありがとう。今回の食材は地上で活動する期間が短いレアものでな。エネルギーがぎゅっと詰まってるのか栄養も豊富なんだ」
「……なんだか少しだけ嫌な予感がしてきたから、念のためにその食材の正体を教えてくれない?」
「……それは言えない」
「嫌な予感的中ね!! 今回もいつものように怪しい食材を使う気なんでしょう! 夏の定番なんじゃなかったの!?」
「おいおい、俺は何も嘘は言ってないぞ。皆がよく知っているものだし、夏の定番でもある」
「……いまいち信用できないんだけど……じゃあせめて商品名だけでも教えてよ」
「なぞのおつまみ、アブラゼミンだ」
「商品名を聞いた瞬間に行く気がなくなったわよ!!」




