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ドリームキャッチャー
「ドリームキャッチャーって知ってる?」
「ああ。枕元に飾っておけば悪夢を捕まえてくれるという魔除けのことだな。使用者は良い夢だけを見ることができるという」
「それが本当ならとても素敵な魔除けね。夜ぐっすりと眠れそう!」
「ふむ。実はうちにもドリームキャッチャーみたいな魔除けがあるぞ」
「ほんと? 見せてもらってもいい?」
「ちょっと待っていろ……ほら、これだ」
「へえ、これが……話に聞いていたドリームキャッチャーとは似ても似つかない形ね……使い方は同じなの?」
「うむ。ドリームキャッチャーと同じく枕元に飾っておくだけでいい。すると眠っている間に声が聞こえてくるんだ」
「……それなんだか不気味ね……ちゃんと効果があるの?」
「もちろんだ。その声を聞き続けるとだな、冒険者や吟遊詩人といった職につこうと考えていた人間が、なぜかその夢をあきらめて安定した職を目指すようになってしまうんだ」
「それドリームキャッチャーじゃなくてドリームキラーじゃないの!!」




