「使命」
「ったく.....殴らなくてもいいのに....」
しかし、日も落ちてきたしそろそろ寝床等を確保しとかないとな
「我が身に宿りし「創造」の力よ、今我の命によりその力を解放せよ!」
(毎回詠唱しないといけないのがだるいな.....)
「我の前に衣食住を揃えよ!」
男女一人づつの衣類
二人で1ヶ月は凌げるであろう食糧
設備が整った住宅
「我ながら上出来~っと言っても、どうしてメラルの分まで作ってしまったんだろう...アイツが戻って来るかもわからないのに....」
「これはすごい.....」
「ん?アンタ誰?」
「これは申し遅れました、私、バシル様の命にてやって参りました、ラチックと申します。以後お見知り置きを」
「バシル様の命で!?ということはあっちからここに来たってことか!?」
「その通りでございます。」
「じゃ、じゃあここから出る方法も.....?」
「もちろん存じております」
「ならそれを教え.....」
「それには及びません。貴方は彼女....破壊神の教育を任されたのでしょう?」
「でも俺は「はい」なんて言ってな....」
「世の中には適任という言葉が有るように生きるものには何かしらの使命があるのです。そして生きるもの達はその使命をなにがなんでも果たさなければいけません。今回は、貴方の「使命」がたまたま破壊神の教育であっただけなのです」
「そんなこと言われても俺に出来るわけが....」
「「使命」というものはその者に見合った物をつけるもの、絶対に出来ないという物を押し付けるのは違います。かといって簡単過ぎる物を....という訳にもいきません。「使命」というのはその者の果たすことが出来る物が必ず付くのです。ということは貴方に課せられた「使命」は貴方に見合った、貴方にふさわしい「使命」なのです!」
「使命、使命って言ってるけど、俺はそんなもの受けた覚えがないぞ」
「「使命」はいつ、いかなるとき課せられるかわからぬもの、貴方の「使命」がいつ課せられたのかを知るものなど、一人を除いてこの世に存在しません。」
「一人を除いてって、そいつは誰なんだ?」
「貴方にお伝えする義務はありません。私は人に「使命」の存在、素晴らしさを伝える事が私の「使命」でございますからね。それ以外の事は喋っても無駄でございましょう」
「その使命を拒否することは?」
「「使命」を拒否?ハハハ!笑止!生きる者が「使命」を拒否することなど出来ません!」
「無理矢理にでも拒否すると言ったら?」
「笑止!どうやら貴方はハズレのようですね。バシル様からは「使命」を果たす気がないと判断すれば私の好きなようにしても良いと命じられております。本来私は戦闘向きの神ではないのですが、致し方ありません。」
「まて!俺を殺せば誰がメラルを教育する?お前が俺を殺せば俺の中にあるアンタの言う「使命」が破棄されることになるんだぞ!」
「誰も貴方を殺す等とは言っておりません。私は貴方の精神を潰し新たな精神を埋め込むのです。新しい....「使命」を果たすことしか出来ない精神をね!」