6/7
6.人形の街
野坂オートマタ美術館に展示されているオートマタの幾つかの実演を見て考えたイメージ創作です。
人形の動きを表現しながらそこに自分のイメージを追加した作品となっています。
どこからともなく女の口笛の音が聞こえた
街角に立つ娼婦が口笛で男を誘っているのだ
他にも何やら楽器を奏でている者がいるようだ
今日は雲一つない美しい月夜だからだろうか
窓の外のベンチを見ると、酔っ払いがワインを片手に酔い潰れていた
近くにストリートオルガンがあるがもしかしたら壊れたのかもしれない
月の美しい静かな夜
睡魔が私を夢に誘う
気がつけば机の上の燭台の火が消えていた
どうやら眠っていたようだ
再び燭台に火を灯し、私は筆を動かした
脳裏に浮かぶは彼女の笑顔
一つ一つは何の繋がりもないオートマタ
しかし繋ぎ合わせれば一つの街の情景すら浮かび上がる
人も同じ
出会いによって生まれた縁が
互いの人生を鮮やかに彩っていく事もある
繋がる事で見える世界も この世にはあるのだ