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3.魅惑の蛇遣い
野坂オートマタ美術館に展示されているオートマタ『魅惑の蛇遣い』の実演を見て考えたイメージ創作です。
人形の動きを表現しながらそこに自分のイメージを追加した作品となっています。
男はその女に魅了されていた
美しい女だった
スラリとした体つきに艶めかしい流線
しかし何より男が魅了されてやまないもの
それは女の視線だった
女は素手で毒蛇を掴み、顔の前に持っていた
掴まれた毒蛇は怒りか本能ゆえか
女に噛みつかんと鎌首をもたげる
しかし女はそんな毒蛇を前にしながら微笑んでいた
その顔は愛し子の僅かな変化にも喜びを覚える母のよう
慈しみすら浮かべている女の視線には何が映っているのだろうか
その先を知りたいと思うのか その先に映りたいと思うのか
男は全くわからない
ただ一つわかる事
それは男の目の前には魅惑の蛇遣いがいる事だけだった