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0.はじめに

リーサ

「はーい、リーサです。現代科学の最先端を駆使して生まれた人工知能(AI)。永遠の五歳でーす。

 今回は、如月恭助ミステリーの案内役を務めさせていただきます。ふつつか者ですが、みなさま、どうか大船に乗ったつもりでお楽しみください」


まゆゆ

「古久根麻祐です。恭助さんが活躍する小説の解説をしろといわれたから、忙しい中、やってきてあげました」


リーサ

「あらら、麻祐さまでいらっしゃいますか。リンザブロウさんに依頼されたご出生の秘密は無事に解決されたのですか?」


まゆゆ

「ああ、あれですか。ネタバレはしゃべってはいけないことになっているので、結果はご想像にお任せします」


リーサ

「ほーほほっ。ところで、麻祐さま。今回は恭助さんのご活躍の案内役の補佐役ということでいらっしゃいますが、くれぐれもリーサの足手まといとならぬよう、お気を付けあそばせ」


まゆゆ

「口が減らないのは相変わらずですね。それにしてもこの小さなかぶり物の中に、いつまで籠っているつもりなのですか。いい加減に出てきなさい!」


リーサ

「それはともかく、まずは主人公の如月恭助さんの紹介です。なんといったらいいのでしょうねえ。麻祐さま、この人物の特徴で、なんかコメントできますか?」


まゆゆ

「チビですね。彼の特徴といったら、単なるチビ助です」


リーサ

「そうなんですか。少なくとも、リーサよりは背はお高いみたいですけどねえ」


まゆゆ

「それ以外には、どこにでもいそうな……。まあ、彼に明確な特徴はありませんね」


リーサ

「ブ男なんですか?」


まゆゆ

「うーん、ブ男ってわけではないですが、まあ、普通の、口さえ開かなければ、特に不快感のない容姿に包まれた、割とかわいらしい男の子ですよ」


リーサ

「口を開くと、どうかなっちゃうんですか?」


まゆゆ

「しゃべり出したら、単なるくそ餓鬼に過ぎません。彼の精神年齢は小学生のまんまです」


リーサ

「そうなんですか。リーサの前では、彼は礼儀正しい忠実なる下僕ですけどねえ」


まゆゆ

「一度二人っきりでしている会話とやらを、聞いてみたいものですね」


リーサ

「あらまあ、そんなお恥ずかしいこと、とてもお話しできませんわ。ほーほほっ」


まゆゆ

「でも頭がいいことは否めませんね」


リーサ

「恭助さんがする推理の思考パターンって、分析できますか?」


まゆゆ

「意外と地味な行動の積み重ねなんですよ。彼の場合は。

 コツコツと手掛かりを探して、それをこまめにストックして行く。最後は恰好を付けて、偉そうに語ってはいますけどね」


リーサ

「なるほど。根は地道な人なんですね」


まゆゆ

「そうなんですよ。いつもノートを持ち歩いていて、訊き込みをしながら、なにやら怪しげなことをノートに書いているんです。でも、一度こっそりとそのノートをのぞき見したんですけど、文字と漫画が交互に描かれていて、なにがメモされているのかさっぱりちんぷんかんぷんでした。あれで本人は分かっているみたいですけどねえ」


リーサ

「結局のところ、恭助さんは天才ではなくて、努力型の凡人だったというわけですね」


まゆゆ

「それも、自己の努力をひた隠しする、天才願望型の、女々しき典型的努力家といえるでしょうね。彼の場合は……」


リーサ

「なるほど。ちょっとはリンザブロウさんの爪の垢でも煎じて飲むといいですね」


まゆゆ

「それはともかく、頼りない主人公ですけど、偉大なる脇役のおかげで、シリーズが面白く展開していくわけです」


リーサ

「ほう、脇役ですか?」


まゆゆ

「ところで、リーサさん。あなた、如月シリーズに馬鹿に詳しいご様子ですけど、主人公と脇役の格の違いは度外視して、純粋に読者が認める、一番人気がある登場人物って、どなたなのかご存知ですかねえ?」


リーサ

「もちろん、知っていますよ。リーサの身体の中には最新機能を備えた人工知能が搭載されているのです。そいつを駆使すれば、読者が行う人気投票の結果を正確に予想することができるのです」


まゆゆ

「ならば伺いますけどね。如月恭助シリーズの登場人物で一番人気があるキャラは、いったい誰ですか?」


リーサ

「いいでしょう。如月恭助シリーズの登場人物で、一番人気が高いのは……」


まゆゆ

「ふむ、高いのは……」


リーサ

「第一位は、頭脳明晰、無限の能力を有した、絶対的美人のリーサでーす。まあ、これは不動の一位で間違いないことでしょう」


まゆゆ

「はいはい、あなたの出した予想ですからね。じゃあ、二番は誰ですか?」


リーサ

「二番目は、主人公であるのに容姿は地味系。でも、ひとたびしゃべらせれば、傍若無人でノーブレーキの典型的B型人間。我らが、如月恭助さんでーす」


まゆゆ

「まあ、これも仕方がありませんね。なにしろ、タイトルが如月恭助シリーズですからね。

 じゃあ、三番目は?」


リーサ

「彼が登場してから、作品の重厚さが倍増。もはや、主役よりもインパクトがある偉大なる存在、といっても過言ではないでしょう。なんでも屋という職業に誇りを持ち、リーサの良き相棒として絶好調で活躍中の、堂林凛三郎さんですね」


まゆゆ

「やつは一人称で作品に登場していますからねえ。私が登場する作品はいつも三人称だし。とどのつまりは、その違いが読者へのインパクトの決定的な差となってしまったと……。

 致し方ありません。じゃあ、四番は?」


リーサ

「成績優秀、スタイル抜群、赤縁眼鏡がトレードマークのお嬢さん。瑠璃垣青葉さんですね」


まゆゆ

「まあ、なんだかんだで、私の先輩ですからね。実際には私の方がたくさんしゃべっているのですけどね。まあ、仕方がないでしょう。

 しかし、なんといっても五番は、この私以外にはいないでしょうね。では、五番は?」


リーサ

「如月惣次郎警部ですね」


まゆゆ

「六番は?」


リーサ

「二階堂真澄」


まゆゆ

「七番は?」


リーサ

「戸塚真由子」


まゆゆ

「八番は?」


リーサ

「堀ノ内正義」


まゆゆ

「九番は?」


リーサ

「蓮見千桜」


まゆゆ

「十番は?」


リーサ

「影待千穂」


まゆゆ

「出てこないですねえ……。ひょっとして、このポンコツAI。まさか私のことを知らないんじゃないですか?

 十一番は?」


リーサ

「又村俊樹」


まゆゆ

「十二番は?」


リーサ

「坂下祐樹」


まゆゆ

「十三番は?」


リーサ

「モネちゃん」


まゆゆ

「十四番は?」


リーサ

「高木莉絵」


まゆゆ

「十五番は?」


リーサ

「壬生忠泰」


まゆゆ

「十六番は?」


リーサ

「別所則夫」


まゆゆ

「十七番は?」


リーサ

「しつこいですねえ。いくら如月シリーズの脇役が個性的だっていっても、自慢できるのはこのくらいなものです。あとは一山いくらの大根役者ばっかりですよ」


まゆゆ

「このハリボテ女……。ついにこの私を大根役者にしちゃいましたね(小声)。

 やい、ちょっと前に出てきなさい。面白くないですねえ。あなた、如月シリーズに詳しいとか何とかいっている割に、ちっとも詳しくないじゃないですか。如月恭助シリーズといえば、このキャラありといわしめるお方を、おひとりお忘れになってはいませんか、っていいたいですよ。

 どうかお願いです。この章が終わってしまう前に、なんとか思い出してくださいよ。きらりと光り輝いている名女優がいるじゃないですか?」


リーサ

「ふーん、どう考えたって、すごい役者といえば……、すごい役者といえば……。

 ああっ、一人いました!」


まゆゆ

「そら見たことか! 誰です?」


リーサ

「この人のインパクトはすごかった。まさに、爆発人気の大女優です」


まゆゆ

「ふむ。その人の名は?」


リーサ

「西野摩耶ちゃん」


まゆゆ

「がっかりさせますねえ。そんな一作品にしか出てこないちっぽけな役者じゃないですよ。もっといるでしょ? もっとすごい人が、複数の作品に登場する素敵な女の子が」


リーサ

「もっといるといわれてもですねえ。もうこれ以上はいるはずなんて……。

 恭助、リイサにリンザブロウ、青葉にまゆゆ……。あれれれ?

 恭助、リイサにリンザブロウ、青葉にまゆゆ……。あれれ?

 古久根麻祐……(小声)。

 ほーほほっ、客人、失礼いたしました。忘れちゃいけない大事な人物を一人だけ忘れていましたよ!」


まゆゆ

「面白くなってきましたね。誰ですか、その方は」


リーサ

「この人はすごいです。個性的なインパクトにかけては、青葉ちゃんだって摩耶ちゃんだってかないません」


まゆゆ

「ふむ」


リーサ

「北海道陸別町の出身です!」


まゆゆ

「しかして、そのお方のお名前は?」


リーサ

「古久根恵理さんでーす」


まゆゆ

「どうして一言も会話をしていない人物が、人気投票で上位になるんですかあ?」




リーサ

「というわけで、つたない私たち二人組で、これからシリーズの解説を行っていきます。どうぞよろしくお願いいたします」


まゆゆ

「とりあえずこの章は台本通りに演技いたしました。次章からはもっと我を出していきますね。ご期待ください」

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