囚人
情景描写ってこんな感じでいいのかしら…。
薄暗い地下牢の中、私はただ蹲っていた。
周りは無感情な石ばかりで、私の声を汲み取ることはない。
ろくに食べられず、喉も潤せず、外の景色を夢見ることもできなくなった。
手足に付けられた重りは、心にすらものしかかる。
外はもう冬だろうか。時折上の方から風が吹き荒れる音が聞こえる。
聞きようによっては生霊の断末魔とも取れる低く重苦しい音である。
もしかしたら、私を呼んでいるのかもしれない。あるいは、その生霊は私なのだろう。
手足がかじかんでくる。四肢の枷も血を啜るかのごとく冷え込んでいく。
今まで嵌っているだけだったはずだが、ついに人を殺すことを覚えたらしい。
やがて、わずかに感じていた温かみもなくなってしまった。
床が冷たい……苦しい……。
体を締め付ける黒い重圧に耐えかね、私は横たわった。石床の冷たさが魂ごと私を蝕んでいく。
もう死ぬんだ……嫌だ……嫌だぁぁ……。
無情な牢獄は、嗚咽すらも許してくれないらしい。
上で休憩中の看守が笑い声を上げた。地上の住人にとっては、ここなど無きに等しいのだろう。
人で賑わう夜の街を星空が優しく見下ろす中、私のすべては薄暗い森の深くに閉じ込められた。