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真実の愛  作者: 瀬名 杏子
3/4

第二王子と第六王子

とこれどころ手直ししていきますが、大筋は変えない予定ですm(_ _)m

「まあ、チェイス様?商業都市ガンダスの視察から戻られたのですか?」


会いたくない方に会ってしまいました。


燃えるような赤毛に鋭い翡翠色の瞳。


ご兄弟の中でも長身で、触ったことはないですが、鎧のように硬い筋肉。


猛禽類を連想させます。


私の天敵と言っても過言ではない第二王子チェイス様。


今日は不在と聞いて安心しておりましたのに。



「誰かと思ったらアンネローゼか?あの美形の異母弟は元気か?」


此処で怯んではいけません。


背筋を伸ばします。


「チェイス様、私にはもう異母弟はおりませんわ。先日、廃嫡されましたの」


「随分あっさりしてるな!薄情な姉上だ」


「私が泣き叫んでも事態は変わりませんのよ。チェイス様にはご兄弟が多くて、羨ましいですわ」


全く羨ましいと思っておりませんけど…?


「王太子の婚約者を辞退すると聞いたが、お前のような強欲な令嬢が本気では無かろう?」


口元の歪んだ笑みがむかつきますわ。


第一王子レオポルド様には心根が卑しいと罵倒され、第二王子チェイス様には強欲と蔑まれ、私に何か恨みでもお有りになるのでしょうか?


私これでも三大公爵家のフォーセント公爵令嬢ですのよ。


「何はともあれ、私がチェイス殿下のお隣に並び立つことはございません。ようございましたね」


「そうだな、やはり俺には美麗なマリア・サーベラス公爵令嬢かサンドラ・ウッド侯爵令嬢が相応しい」


私が不美人だと仰りたいのでしょうね。


専属護衛騎士と親しげなマリア・サーベラス公爵令嬢と厚化粧で有名なサンドラ・ウッド侯爵令嬢ですか?


派手(華やか)な顔立ちのご令嬢がお好きかしら?


血を吐くような王妃教育に浮ついたお二方が耐えられるとは、とても思えませんが、一応エレナ様に御報告しておきましょう!


「アンネローゼお姉様、いらしてたのですか?」


可愛らしいお声に振り返れば、そこには第六王子フラン様。


8歳のフラン様は第二王子チェイス様の同腹の弟君で、母君譲りの赤毛と翡翠色の瞳は同じですが、ふっくらとしたほっぺが愛らしいですわ。


「フラン様!フラン様にお会い出来るのであれば何かお菓子をお持ちすれば、良かったですわ」


フラン様は、フルーツとカスタードクリームがたっぷりなタルトがお気に入りでしたわね。


うっかりしていましたわ。


「そんな毒入りの菓子はいらん」


いや、毒入りの菓子は流石に私でも作りませんわ。


家の者が間違って食べたら大変ですもの。


「そう言えば、チェイス様は年頃のご令嬢や妙齢のご婦人から怪しげな惚れ薬や媚薬入りのお菓子をよく頂くそうですね」


「子どもの前で余計なことを言うな!」


「うふふ、おモテになって何よりですわ」


扇子で口元を隠します。


私が全身から放つ怒りの冷気に周囲がピキピキと凍り始めます。


私は、氷魔法が得意です。


そして、チェイス様は火焔魔法が得意、私達は何処までも相入れません。


私が氷漬けにしたいもの第1位はチェイス様で、第2位は王城ですわ。


あら、もしかして私、国一番の危険人物なのでしょうか?


「アンネローゼお姉様、寒いです!」


「私としたことが、つい魔法を発動させてしまいましたわ。まだまだ私、鍛錬が足りませんわね」


後で温風乾燥(ドライヤーマジック)で溶かしておきましょう!


「僕もこれから兄上に剣術のお稽古をつけて頂くのです」


「フラン様のお稽古、私も一度拝見させて頂きたいですわ」


一生懸命に剣を振るフラン様の姿が目に浮かびます。


「これからでは、駄目なのですか?」


「本日はエレナ様からお呼び出しを受けて、王城に参りましたの」


「王太子妃の件ですか?僕はアンネローゼお姉様に本当のお義姉(ねえ)様になって欲しいです」


「あら、フラン様は私にプロポーズして下さらないのですか?」


「えっ?」


勿論、冗談です。


「そんな年増な妃はいらん」


「チェイス様より、3歳年下ですわ」


「フランより、9歳も年上ではないか?」


「年の差など、御子が授かれば問題ないではないですか?」


「貴様、斬られたいか?」


受けて立ちたいところですが、そろそろ時間です。


エレナ様は時間にも厳しいのです。


「フラン様、私次はいつ登城出来るかわかりませんが、挿絵の綺麗なラタトゥール王国のご本をお持ちしますね」


「どんなご本ですか?」


「ラタトゥール王国の創世記ですわ。私も幼い頃に読みましたが面白いのです」


「ラタトゥール王国の創世記を読む時間があれば、剣術の稽古をした方が良いぞ」


私がフラン様に贈り物をする度に、文句をつけてきます。


チェイス様は私の存在そのものがお気に入らないのでしょう!


「チェイス様、フラン様、剣術のお稽古では、お怪我にお気をつけ下さいませ。それでは私は失礼致しますわ」


「お姉様、ご本楽しみにしています」


「行くぞ、フラン」


「はい、兄上」


チェイス様の後を早足で付いて行くフラン様も可愛らしいです。


さて、私も目的の場所に向かいましょう!





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