表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真実の愛  作者: 瀬名 杏子
1/4

婚約破棄ですか?

体調不良の為、更新が遅れます。

後二話で終わる予定です。

「アンネローゼ・フォーセント、貴様のような心根の卑しい令嬢とは婚約破棄し、私はこの純粋無垢なミシェルと新たに婚約することをこの場で誓う!」


「...ミシェルとですか?」


「ああ、私達は真実の愛を貫くのだ!」


一体何が起きているのでしょうか?


第一王子レオポルド様の横には、怯えながらも王子に抱きつき、潤んだ瞳で私を真っ直ぐ見つめるミシェルがいます。


淡い金髪に長い睫毛に縁取られたマリンブルーの瞳に桜色の唇、魅惑的なミシェルがレオポルド様の心を奪ってしまったのですね。


見目麗しいレオポルド様と大変良くお似合いですが、王家主催のパーティーで他国の賓客もいらっしゃるのに、何故この場で?


(わたくし)がお父様を目で探しますと卒倒したお継母様(かあさま)を支えていらっしゃいました。


私も卒倒したいですわ。


ですが、ここでどうしてもはっきりさせておかなければいけないことがあります。


「レオポルド様、フォーセント公爵が長女アンネローゼはレオポルド様の婚約者ではありませんわ」


「何を戯けたことを?」


「私は王太子の婚約者なのです。現時点で立太子されていないレオポルド様の婚約者ではありません。従って婚約破棄は必要ございません」


「だから、私が貴様の婚約者だろうが?」


教育係は今まで何をしていたのでしょうか?


レオポルド様は王太子に選ばれる自負がお有りなのですね?


残念ながら、レオポルド様より優秀な第二王子チェイス様と第三王子カイル様が有力ですわ。


お二人に万が一のことがあっても、第五王子タイラー様がいらっしゃいます。


第五王子タイラー様は私より2歳年下ですが、共通の趣味がありお話は合いますの。


「レオポルド、何をしておる?」


普段は温厚な陛下が別人のように怒気を孕んでいます。


レオポルド様とミシェルと卒倒したお継母様以外のこの場にいた全員が、何故穏便に話を進めなかったのかと心の中で考えていました。


レオポルド様が愛でた一輪の花。


ミシェル・フォーセントは婚約破棄(?)されたアンネローゼ・フォーセント公爵令嬢の異母弟(おとうと)だったのです。






ミシェルは私の異母弟ですが、お父様に懸想したお継母様が従兄弟の陛下に無理矢理頼み込み、陛下がお父様に押し付けたのです。


まだ赤子の私を王太子の婚約者にするという交換条件を持ちかけましたが、それでもお父様は首を縦に振りませんでした。


侯爵家が多額の持参金を積み、最終的に陛下に押し切られて嫁いできたのです。


王太子の婚約者という話も当初はただの口約束でしたが、公爵家の家柄と年齢差で反対がなかった為、なしくずしに決まったそうですわ。


お継母様は、お父様の前でも私に対する敵意を隠そうとはしませんでした。


私は、産後の肥立ちが悪く若くして亡くなった母に似ています。


年頃になって、私もお継母様のお気持ちが少しはわかるようになりました。


お継母様に料理が口に合わないと何度も作り直しをさせられた料理長が、私と執事と一緒に領地で暮らすと言い出しました。


お継母様は知らなかったようですが、料理長は親の代から公爵家で働いており、身分の差を越えたお父様の幼馴染でした。


料理長の妻も私の亡くなったお母様が公爵家から連れて来た侍女です。


男爵令嬢でしたので反対されましたが、お父様が口添えして何とか結婚出来ました。


そんな経緯が有りましたので、お継母様からの明らかな害意から使用人達が身を呈して私を守ってくれました。


すぐにお父様はお継母様の為に敷地内に離れを建て、私とは食事も別にしました。


ミシェルは私の異母弟なのですが、他人のようなものなのです。


レオポルド様が真実の愛を貫かれるのであれば邪魔はしませんが、ミシェルの異母姉としては困った事態になりました。


「お父様、保留とはどういうことですか?」


「王妃教育は時間も金も掛かる。それにお前以上の適任者はいないと言われた」


「その適任者が世界に一人だけの可愛い異母弟に自称婚約者を奪われたのですが?」


「それを言ってくれるな!ミシェルを廃嫡した以上、公爵家からアンネローゼを嫁がせるわけに行かない」


私以上にお父様が精神的に参っています。


お父様はミシェルには、親として愛情を注いでいました。


私がミシェルに近づくとお継母様やお継母様付きの侍女達が煩いので、私はミシェルの側にも寄れませんでしたが…。


私がいなければ、親子3人もっと幸せに暮らせたのかもしれません。


お若く見えたお父様が婚約破棄騒動で十は老け込みました。


「第二王子のチェイス様から、貴族令嬢の頂点を極めるはずだった私が異母弟に男を寝取られたと嘲笑されましたわ」


ミシェルが本気でレオポルド様を愛していればいいのです。


学業でも魔法でも私に勝てなかったミシェル。


そのミシェルを異母姉に負けるなと連日焚き付けたお継母様。


異母姉に勝つ為にレオポルド様に近づいたなんてことありえませんわよね?


魚心あれば水心ですわね。


「私の立ち位置は微妙ですわね。ミシェルの方がレオポルド様に言い寄っていたと侍女や護衛騎士が証言したのでしょう?」


「ああ……」


「相手がミシェルでなければ王家に慰謝料を請求出来ましたのに!」


全く忌々しい!


「今更だが、アンネローゼはミシェルの言動に何も気づいていなかったのか?」


あら、お父様?私に責任転嫁なさる気ですか?


「レオポルド様とは挨拶程度でしたし、ミシェルは言わずもがな!レオポルド様は私のような生意気な令嬢は好かぬと日頃から口外されてましたわ」


しっかり私の耳にも入っていましたが、第一王子レオポルド様が王太子に選ばれることはないと私は確信しておりました。


王太子の婚約者である私は節度をわきまえて王子達に接して居りましたの。


他の令嬢達と違ってあからさまに媚びて来ない私を第一王子レオポルド様も第二王子チェイス様も面白く思っていなかったのです。


そういう殿方に限って、少しでも微笑みかけたらご自分に気があると言い出しますのよ、きっと!


「王妃様のお加減は?」


「庭を散策したり、お食事は召し上がっているようだ」


「そうですか?」


王妃様は大国アマイラスの第三王女で、正妃の産んだ第一王子のレオポルド様が王太子になれると何の疑問もなく思い込んでいらしたそうです。


流行り病で亡くなられた第三王子カイル様の母君のシャーロット様が王妃様の代わりに政務を担当し、シャーロット様亡き後は、宰相の娘で第五王子タイラー様の母君のエレナ様が担当されています。


王妃様はお人柄は決して悪くないのですが、王妃として政務をお任せするのは不適なのです。


エレナ様が私の王妃教育も任されて、いらっしゃいます。


婚約破棄騒動のせいで、嫡子のいなくなったフォーセント公爵家から王太子の婚約者の辞退を申し出ました。


後釜に自分の娘を送り込みたい貴族達が、騒いでおります。


その前に王太子を立太子していただきたいですわ。


「第三王子のカイル様が、アンネローゼに話したいことがあるそうだ。書簡をお預かりしている」


「カイル様ですか?」


「カイル様は真摯にアンネローゼの今後を心配して下さっている」


「有難いことですが、爵位目当ての殿方から、婚約の申し込みが殺到しておりますのよ」


フォーセント公爵家に婚約を申し込む為に円満だった婚約者と婚約解消を企てる殿方も少なくないそうですわ。


あくまで噂ですけど…?


「カイル様がアンネローゼの婚約者候補筆頭だったのだが…?」


シャーロット様がご健在であればすんなりと王太子はカイル様に決まったと思われます。


カイル様のことは、私好きでも嫌いでもありませんの。


皮肉屋の第二王子チェイス様よりは第三王子カイル様の方が同志として連携していけそうでした。


カイル様は、お手紙で傷ついた私を労って下さるのでしょうか!


第一王子レオポルド 王妃の子供 20歳


第二王子チェイス 20歳 第六王子と同腹 間に12歳の妹がいる


第三王子 カイル 19歳


第四王子 17歳 アンネローゼと同い年


第五王子タイラー 15歳 宰相の孫

趣味は絵を描くこと


第六王子フラン 8歳 第二王子と同腹 アンネローゼになついている


第七王子 6歳 母方の生家の養子になっている


第八王子 3歳

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ