アイム、パワーレス
女子高生の日常……を描いた物語。
少しずつ壊れていく友達と、その傍にいる女の子のお話。
読んでいただけたら、うれしいです。
私は、ひとりで昼食を摂っている。
教室の中で、ひとりで。
「独り」と表記するのは、あまりに悲しいから、平仮名表記を許してほしい。
別に、ひとりで昼食を摂りたいわけじゃない。
私だって、一緒にお話をしながら食べたい。
だからといって、表面的で浅くて、「腹の足しにもならないような」つまらない人間関係を一から築くのは面倒だ。加えて、くだらない。
スマートフォンで、携帯ゲームをしながら、ひとり、嗤う。
教室のド真ん中の席に座っていながら、私は、クラスの真ん中にはいなかった。
はじっこにもいなかった。
なんだか、同じ空間に居ながら、心だけは、みんなと異空間だった。
そんな中、変な子がいた。
いつも、教室で早弁をして、お昼休みに居ない子。
その子は、休み時間の度に話しかけてきた。
変な子。私は、そう思った。
他人に無関心そうで、暗くて、ひとりの私に話しかけてくるなんて、変。
教室で人間関係を築く上で、間違っている。
変。
でも、悪い気はしなかった。
ひとりよりも、ずっといい。
彼女は、いつも気まずい雰囲気のときも、無理に会話を繋げてくれた。笑いかけてきてくれた。正直、心地よかった。
彼女は、私には無理をさせずに、一緒に居てくれた。
私は彼女に訊いた。
「お昼休み、どこいってんの?」
と。
すると、彼女はこういった。
「コントラバス。発表会が近いの。下手だし、先輩居ないから頑張らなきゃ」
私は、
「へー」
と感嘆をあげた。
数日後、彼女は、
「一緒に、お昼たーべよ」
と話しかけてきた。
彼女は、新しいクラスになった時一緒にお昼を摂る友人がいて、クラスに馴染んでいた。
不思議だった。なぜ、自分と、食べようとするのか。
また、私は、彼女が発表会を終えていないのに、一緒に昼食を摂れることを不可解に思いながらも、快く了承した。
彼女は、お弁当だった。
スプーンとフォークを、不器用に使いながら食べていた。
手が震え始めた。
彼女は、よわよわしい笑顔で言った。
「手、痛めちゃった」
私は、こんな彼女の状況を喜べないはずだ。でも、一緒に昼食が摂れるようになったことは、とても嬉しかった。
しかし、私は、その事を口にできなかった。まだ、素直になれなかったのだ。
「大丈夫?」
そんな当たり障りのない科白を言った。そうして、後悔した。大丈夫な筈が無い。毎日お昼休みまで削って、練習に励む彼女が、大丈夫な筈……
「へへへ、大丈夫だし」
彼女は、変な笑い方をした。
私は、何も出来なかった。
そうして、私たちは一緒に過ごすようになった。
私たちは、はみ出し者だった。
教室の中で、「みんな」の持っているルールを守ろうとしなかった。いわゆる、「スクールカースト」に従おうとも思わなかった。
自分たちが、やりたいように、自由に、小さくはみ出していた。
彼女は、また、そういう人間を好むようだった。
クラスの中での、そんなもう2人と、私たちは過ごすようになった。
それは、まるで、心地の良いぬるま湯だった。
一緒に過ごし始めて2か月。彼女は、私たちの間にできた会話と会話の間の「ちょっと気まずい瞬間」に、突然笑い始めた。
「まだまだだね」
そう言って、一人、余裕で笑う彼女は私にとって、やっぱり「変な子」だった。
どうして、そんなことを余裕で言えるのか。
どうして、気まずくて堪らない瞬間を笑い飛ばす余裕と、豪快さと、強さを持てるのかが不思議だった。
いつからか、彼女はいつも、不器用な笑顔を浮かべるようになった。
そしてたまに、猫のようにすりよってきた。
「食欲無い……」
一緒に過ごし始めてから、半年。彼女はよく、そう言った。
たまに、酷く無表情で、怖い。
そうかと思うと、話しかけると、気持ち悪いような、貼りつけられたような笑顔。
「大丈夫?」
私は、彼女がまた、
「大丈夫」
と答えるのを分っていながら、同じ問いを繰り返す。
何も出来ないのは、ずっと、おなじ。
はじめまして。
みもざ、と申します。
この度は私の小説を読んでいただき、ありがとうございます。
初めての作品で、いたらないところが多々あると思います。
温かく見守っていただけたら、うれしいです。
□
しょうせつをかくことって、とても崇高で、とくべつなことだとおもってた。
でも、違うみたいです。
そのことに気付いて書き始めたのは、中学一年生の時。
きっかけは、高校の文化祭へいったときに渡された、本です。
特別なことです。
やっぱり。
でも、私なんかでもかいても良いものだと知った時、なんだかとても嬉しかった。
言葉を持つ人間で、小説を書きたいと思える人は、誰もができる。
そのことが嬉しくて堪らなかった。
物語を完結させたことのない、中途半端で、弱虫で、ダメな人間がかいた小説です。
やっと、完結することのできたこの物語は、私にとって宝物です。
ただの、自己満足でかいたこの小説です。至らないところは山ほどあるでしょう。(重複ですね汗)
それでも、此処まで読んでくださった忍耐強いあなたに、私はお礼を言いたいです。
……しかし、それも叶わぬこと。此処は、書上ですからね。
冗談や、軽口はさておき、
誠にありがとうございました。