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ドラゴンに産まれたのでRPGかと思ったら乙女ゲーだった話

作者: あづま

試し書きでほぼ説明だらけ。

さて紳士淑女その他の皆様方。


『ドラゴン』


この単語を聞いて、まずどんなものが思い浮かびますか?


うんうん、まぁゲームですよね。

更に掘り下げると?


……パズル家御曹司と育成RPG家令嬢なCMのゲーム?

まあ流行りのゲームですしね。でもあれぶっちゃけそこまでドラゴン強くない。むしろ神様メインだよね。


はいはい、復讐の為にドラゴンと契約して妹を救おうとする絶望ゲー?あーいいですね「抗え、最後まで」ですね。


召喚獣?ボスキャラ?はたまた育成してパートナーに?


何が言いたいかというと、それらは多少の違いはあるもののRPGものだってことだ。


ドラゴンが敵か味方かは関係ない。

共通して『戦う』ものだ。


……そう、だから私がそういう方向性で鍛えまくってたのは仕方ない。

いざという時に備えて無駄に鍛えてみちゃったりしましたよ。

お陰で理想のお相手像:私よりも全てにおいて優れてて頼れる人

がめっさハードル上がったですよ……誰か棒持ってきて。そして跳んでくだせえ。


……え?現実はどんな方向性だったのかって?


それはですね……



「竜巫女様、ご到着です!!」


「よく来てくれた、異界の姫君。我らが竜族一同、心より歓迎しようぞ」


「えっ、ちょっと、なぁにこれぇ?!」


……誤解のないように言っておきますが、この悲鳴は私じゃありません。


状況を説明しますと、他界と繋がる異門を開いた門番、そしてそこに光を纏って現れた、戸惑いに黒髪を揺らすセーラー服の少女。

そして満足そうに感謝の言葉を述べるのは我らが竜王。無駄に綺羅綺羅しいです竜王。あとこっちが誰でここがどこかわかってない相手に対してその態度はショウジキナイワー感抜群です。


我らが、と私も表していることでお気付きでしょうが、私も竜族です。えぇ、有り体に言えばドラゴンなのです。

だから鍛えたっていうのもドラゴンを倒すとかそういう方向ではなく、ドラゴンとしての能力的な意味だったりします、はい。あ、皮とか牙とか剥いでも装備は作れないんで全国のハンターの皆さんご着席ください。恐暴竜とか雷狼竜とか狩っててください、はい。


で、話は戻りますがこの状況、見ようによっては異世界RPGっぽいですが、違います。


何故なら……わかりやすいようにセーラー服少女視点でご説明しますと、




――いつも歩き慣れていた、通学路。

いつもと変わらない町並み。

いつもと変わらない人々。


幸せではあるけれど、少し物足りなさを感じていた。

そんな時。


突然足元に現れた魔法陣!

そして景色は見慣れない風景、見慣れない人々、そして……――



「ど、ドラゴン……?」


歓迎するよう腕を広げた貴人の横には、隆々たる体躯を横たえ、慈愛に満ちた瞳で私を見つめる黒いドラゴンがいた。

ドラゴン。現実には存在し得ない幻想種。

しかしドクドクと脈打つ心臓も、緊張からか興奮からか、はたまた恐怖からか震える膝も、これが紛れもない真実だと教えてくれる。


つい、とドラゴンが首を巡らす。

促すようなその仕草に従って視線を向けた先で、私の心臓は、一際大きく、忙しなくなった。


――黄色の男性を見た瞬間、貴公子、という形容するのが相応しいと思えた。優雅でありながら近寄り難く、しかしそうとは思わせない柔らかな雰囲気。イエロートパーズの瞳は思慮深さと理知的な印象を与えていた。


――緑色の美丈夫。キラキラとしたエメラルドグリーンの瞳は隠しきれない興味と好奇を映していて、ともすれば近寄りがたさを与える美貌を人懐こいものへと変えていた。


――藍色の麗人。静謐なサファイアブルーの瞳には、優しげな光を湛え、何故か安心感を覚えてしまいそうになる。控えめでありながら、美しい。まるでひっそりと咲く百合のような人だと思った。


――紅色の美青年。レッドルビーの瞳は炎を内に秘めたように見え、その鋭い目つきすらも彼の魅力を高める要素になっている。佇まいですら隙を感じさせず、どこか緊張感すら覚える。



私が全員に目を向けたのを察したかのように、黄色の貴公子が口を開いた。



「――ようこそ、竜の園へ。異界の姫君」



にこにこ、と好奇心を全面に押し出して、緑色の美丈夫が引き継ぐ。



「陛下も仰っていたけれど、歓迎するよ!よろしくね!」



藍色の麗人がはんなりと微笑む。



「お困りのことがあれば、お力になりましょう」



暫く間が空いて、仕方が無いと言いたげな緩慢な仕草で紅色の美青年が締め括った。



「……訳がわからんかもしれんが、まぁ、宜しく頼む」



――こうして、私の退屈な毎日が終わりを告げた。









……とまぁ、こんなところですかね。



はいどう見ても乙女ゲームのプロローグですねどうもありがとうございました!!


ジャンル違いすぎで笑えてきますね!私の努力にセルフプギャーしたい気分です。ちっともヤケクソになんてなってませんとも、ええ。


彼女が呼ばれた理由は至極簡単。

次代の竜玉様を育成していただくべく異世界からお呼びしたんです。

竜玉様とはなんぞや?と言いますと、平たく言えば世界が偏らないように色々なものを調整するバランサーです。

この世界は水、地、火、風の四元素が巡って保たれていまして、どれかが多過ぎても天災くるし少なすぎても天災くるしで非常に危険。

そこで世界に干渉し、四元素すべてが均一になるよう調整するバランサーが必要になる訳で、その役割を担う方を竜玉様、とお呼びしているのです。


因みに現在の竜玉様は陛下の傍らにいらっしゃる黒色の竜、クロノア様でございます。


なんで異世界の協力者が必要なのかと言えば、まぁその世界に干渉するにはその世界の者だけじゃダメってことで。

世界に干渉しようとすると、この世界の要素がなければ完全なる異物として弾かれる(=存在消滅)し、異世界の要素がなければまず干渉できない、と塩梅が非常に難しい。

だからこそ、異界からこの竜の園へと竜巫女を呼び出し、竜玉様を託すのです。



と、脳内トリップしてる内に十分すぎる程に釣れたようなのでお嬢さんに説明を始めるご様子です。

……ほら、目の前にご褒美出されたらやる気出るじゃないですか。

勿論ご褒美(餌)=四色イケメンですよ決まってるじゃないですかやだー。

だからご褒美を見せてから、こちらの要求を述べる。いやー流石陛下きたない陛下えげつない。

手段選びませんね!



あ、ご察しかもしれませんがこの四色イケメン達、各元素において最高峰の能力を持つ竜達です。

黄色が地属性、緑色が風属性、藍色が水属性、紅色が火属性となっております。


大体が地水火風の属性により黄青赤緑と色に現れます。能力の高低やら特性によって色に多少の違いは出ますが、基本はそんな感じです。

例外として、竜玉様は異界の要素が混じるからこの規則にとらわれず様々な色なんだそうで。クロノア様も真っ黒ですしね。




え?私が何色かって?

…………彼女の眼中に明らかに入ってないのでさっきの竜巫女視点ではスルーしときました。えぇ、一応いるんですけどね、完璧目に入ってないですわ。認識されてません。

まあイケメンもイケメン揃いなんで仕方ないですよねー若い娘さんなら尚更です。


……強いて言うなら私は水色です。白とか言われますが一応青色入ってるんですよ。

因みに場所で言うなら藍色の少し後ろ辺りに立ってました。やる気なさげに。


……水色です!青の一種です亜種なんです異界要素なんてないです!!気付かないでいいですからむしろ気付くな!


…………前世が異界の人間だった、っていうのは、異界カウント入るんですかね……?



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