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世界シリーズ番外編

傭兵が辞めた後の世界状態

作者: 448 23

 旅が終わった。

 キルキアリー・オードの使命は果たされた。彼の命によって。

 だがしかし、実際にはどうなのだろうか。彼は「柱」のための存在。命というのは、彼にとっては道具だったのかもしれない。でも、そんなことがあったら……。

 今更だ。聞きたいことがたくさんある。知りたいことがある。でも、知ったこともある。

「残念だったね……お気の毒に」

「ありがとう、おばさん。最期まで母の近くにいてくださって」

「いいや、これくらいしか私にゃ出来んのさ」

 母が死んだ。病によって床に伏していたらしい。手紙を届けなかったのは、それが不治の類だったからだとか。とにかく、母は私に報告するのを嫌がったらしい。



「久しぶりです、リガルトンさん」

「レスイートか」

 母が死んでから、私は孤児院に金を寄付するようになっていた。そのために、再び猟師になった。傭兵は辞めた。成長期の子供には食料が必要だ。気がつくと、狩った動物も与えていた。毒性を持つものが少ないため、院長も喜んでいた。

「何故はるばるここへ?」

「はい。リガルトンさんに、キルからの伝言を」

「伝言? 彼がか?」

 オード一族ということもあって、私は彼には少しきつく当たっていた。今思えば、なぜそんなことをしたのか自分でもよく分からない。羨ましかったのかもしれない。はっきりとした使命を持った彼が。

「あと、彼が最期に言った言葉を届けようかと」

「そうか……わざわざすまない」

「いえ。そういえば、探し物は見つかったんですか?」

「……ああ、見つかったよ」





 これは、傭兵の物語。旅を辞めるとともに見つけた答え。



 彼の遺言とも解釈できる言葉を胸に刻む。

 故郷に帰って、「世界」を知った。

 亡き母よ。あなたこそ、私のたった一つの世界でした。

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