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5-10

「面白くないよ?」

「そりゃあお互い様だと思うな」

 僕の方から話せば、海里も自分の事を喋ってくれるだろう。そんな流れに持って行けるかも知れない。そうすれば一気にすべてがわかる。彼女の事はもちろん、ボトルシップの事も。

 いや、本当は単純にこの少女の事が知りたかっただけだろうな。好きな人の事だったら、何でも知りたいもんさ。



 気恥ずかしくなって、僕は視線を空に戻した。パラソルの縁からは、今日も青い空と白い雲が見える。

「僕は今、中学三年生なんだけど」

「年下だったの?」

「そう。海里は?」

 思わず名を呼び捨てにしてしまったが、彼女は拒絶を示さなかった。

「高一」

「えっと……」



 いまだかつて僕は自分の事を他人にアピールした事がなかった。誰も僕には用がないみたいだったし、僕もそれを知っていた。

 そりゃあ無様な自己紹介だったよ。彼女がずっとこっちを見ているのにも参った。僕は誰かに見られていると何でも失敗する。意識し過ぎるんだ。まあ、ここでは要約しておこう。

 僕は結構正直にものを喋る方だし、そもそも辻褄の合う嘘をつけるほど頭の回転が速くない。

「学校行ってないんだ。嫌いだし」

「学校なんかクソ食らえよ」

「その通り」



 同じ言葉に、僕は笑みを返した。内心「どうして?」なんて聞かれなくて良かったとほっとしながら。

 でも、次の質問には困った。

「学校行かずに、何してるの?」

さあどう答えればいいだろう。だって、「なんにもしてない」以外に言いようがないじゃないか? だがストレートにそんな事を言ったらバカにしているとか、真面目に答える気がないと思われるじゃないか。



 海里が他の人たちと同じく、「何にもしてない人間がこの世にいるわけない」って考えてたらどうするんだ? 僕がこの世でただ一人の例外だとわかってくれるだろうか?

「何にもしてないな」



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