19/116
2-8
悩むのに疲れ果てると、だんだんそんな疑問はどうでも良くなってきた。まあ、いつもの事だ。僕はすぐ自暴自棄になって疑問を放り捨ててしまうんだ。どうにでもなれ、知ったこっちゃない。
スウェットと下着を脱ぎ捨てると、新しいのに着替え、毎日繰り返される不快な作業、睡眠に取りかかる。だがその日はいつにも増して眠れず、結局夕方まで寝返りを繰り返す事になった。
翌日の夜中、目覚めると同時に、僕は多分僕以外の人であってもそうするであろう結論を出した。つまり、なかった事にしたのだ。アメリカ大統領だったとしてもきっとそうするさ。
あれが本当にあったとかなかったとか、そんな事はどうでもいい。記憶とか疑問には知らんぷりして、何事もなかったように日々を過ごせばいいんだ。
せいぜいあの体験に関する記録と言えば、ネットのブログに「こんな夢を見た」と書き込んで投稿した程度だろうか。
もちろん、それでおしまいにはならなかったんだけど。