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休憩前

えーっと、多分 年内最後の投稿になります。


山田さんの方とこちらと、どっちが迷ったんですが……


親父の方がサクサクとすすんだんで……


小説情報で評価点が入るのが快感になってきてます。宜しければ、是非是非評価して下さいね。


本年はご愛読いただきありがとうございました。

読者の方々に2011が素晴らしい年になりますようお祈り申し上げます。


来年も宜しくお願いします。


では、良いお年を!

コンビニまでの道のりでは、5体のゾンビを引っ掛けるだけで、10体以上の集団は避けて通るようにした。


次の角を曲がれば目的地というところで道には20体ほどのゾンビがたむろっていて、どうしたものかと悩んでいると


いつの間にか、道案内だとか言ってドロンジョを抱いたまま助手席に収まっていていた少女が、眉間に皺を寄せてゾンビ達を指差して


「あのバケモノ達……いっつもお店の前で騒いでる連中ですよ。うちって、店長が空手3段でバイト君もムキムキマッチョなんで……店の周りやお客さんにはちょっかいは出さないんですけど………毎晩、どっかから湧いて来る中坊なんです。」


てことは、生前の行動習慣が反映されるとすればいずれはコンビニ前に集まってくる可能性が高いってわけだ。


20体を挽き殺すとなると、車のダメージが心配だな。近寄って、スリングショットで始末するか?


悩んでいると、いきなりバックミラーにライトが反射した。


すげぇ勢いでダンプカーがこちらに走ってきている。


思わず路肩に車を寄せるとその脇をかなりのスピードで過ぎ去り、その勢いのまま、たむろするゾンビに突っ込みあっという間に10体ほどを、その巨大なタイヤに巻き込んでいき、ブレーキをかけて横滑りで止まり器用に切り返し残りのゾンビを全て挽き潰して行った。


ダンプカーのタイヤはゾンビの血と油でベットリなんだろう、走り去るダンプカーは微妙にスリップを繰り返し遠ざかって行った。


「……………………」


少女は助手席で目前で20体のゾンビが次々に潰されて行くのを唖然と見ていた。


おいおい!そんなに馬鹿みたいに口開けてっから……………涎垂れるてるぞ!


注意をしようとした時に少女は我に返り、涎に気づいて『じゅじゅじゅっ』とすすり


「い、今の見ました。大きい車って凄いですよね。

あんなに、勢いよくされると、怖いとか気持ち悪いとかじゃなくて、バケモノがかわいそうになっちゃいますよね。

窓を開けてたら、グチャ!グチャ!って音が聞こえたんでしょうね!」


よほど涎顔が恥ずかったんだろう、喋れば喋れるほどドツボに嵌っていってるぞ!


「………………。見た?」


「あん?」


彼女の名誉のためにしらばっくれることにしてやった。


「おじさんって、優しいんですね。あんなに大きな音で涎を啜って……気づかれない方がおかしいですよね。

もう!今日は さ・い・あ・くぅ〜〜。お漏らしに涎顔に!?」


「きゃゃゃゃ〜」


自分でお漏らしをバラして、顔を真っ赤にして俺をバシバシ叩いてどうすんだよ!


ひとしきりバシバシ叩いてから


「ごめんなさい↓」


「気にすんな。それより、邪魔者がいなくなったんだ。早速、寝床となるコンビニに出発だ。」


コンビニの前には、1体の年老いたゾンビがいた。


「山田のじいちゃんだ!」


「知ってるの?」


少女は暗い顔で頷いた。この後の老人の末路がわかっているからだ。


「80過ぎてるのに、商品出してると直ぐにお尻触ってくるセクハラ爺ちゃんなんだ。止めてって言っても人生唯一の楽しみだって…………」


セクハラ爺ちゃんの話しをする時は少し明るくなっていたが……


「でも、殺さなきゃなんないんでしょ?」


また暗い顔に戻ってしまった。


「爺ちゃんのあの姿の方が不憫だと思わないかい?

ただ、食欲…人肉だけが生きがいになっちまってるんだ。」


俺はある決意を決めて、車の周囲を見渡し他のゾンビがいないことを確認して、運転席から降りて助手席側にまわりドアを開けた。


「エッ?な、何なんですか?」


俺は黙って彼女の手を引いて車から下ろした。


振り向くと爺ちゃんが手を前にしながら、ヨタヨタとこちらに向かっていた。


俺はバットを持ち爺さんに近づきながら、少し屈んだ感じで爺さんの手の届かない範囲から、力一杯に膝頭を叩いた。膝の皿を曲がる方向とは逆にぶん殴ったんで、爺さんの右足は普通なら曲がらない方向に曲がってしまい、ばったり地面に倒れ込んだ。


さっき轢いたゾンビと同じように必死に手をつっかえて立ち上がろうとしているところを、申し訳ないが左肘を同じようにに叩き、続いて右肘を叩き潰した。爺さんを地面に這いつくばるしか出来ない状況にした。


注意深く周囲を確認し(助かるのは明日オープンと言うからか、店は宣伝用にだろうが目一杯照明を照らしていてくれた)彼女に近づき右足の鞘から蛮刀マチェットを抜いて、彼女の右手に握らした。


無言で厭々と駄々をこねる彼女に向かい


「いいかい。君がバケモノと呼んでいる、そいつらはゾンビなんだ。

動いてはいるが……既に死人なんだ。

たゆまない食欲のためだけに生きて、ひたすらに人肉を食べることにしか興味がないんだ。

咬まれたら勿論だが、多分引っ掻かれたりしても奴らの仲間入りするだろう。

今!今のうちに奴らを殺す覚悟を決めておくんだ!

次、遭遇するゾンビは……仲の良かった友達かも知れない。もしかしたら大好きなお母さんや家族かも知れない。

俺だって…いつまで君を守れるかわかったもんじゃない。

もしかしたら、俺がゾンビになって君を襲うかもしれないじゃないか。

警察も………多分…自衛隊もあてには出来ないだろう。

自分の身は自分で守らなきゃならないんだ。」


納得したのかはわからないが、少女は蛮刀マチェットを両手で握りしめて、這いつくばるゾンビに対峙する位置まで自分で歩いて行った。


少女はたっぷりと3分は固まったようにじっとしていた。かわいそうだが……乗り越えて貰わなきゃなんないんだ。

俺は心を鬼にして、少女自身が殺さない限り自分は手を貸さない決心でいた。


固まったその場を変えたのは、爺さんゾンビだった。


左足が動くことに気がついみたいだ、それまでやたらと腕を動かそとしていたのを断念して?左足だけで器用に少しずつ前進しようとし始めた。


「ヒィィッ!」


そんな状態でも、自分に迫ろうとする……自分を食べようと必死に近づこうてしているゾンビの醜悪な姿に少女は小さく叫びをあげた。


少女はおもむろに蛮刀を引き上げて、ゾンビの眉間に真っ直ぐに突き入れた。



「バイバイ……エロ爺ちゃ……ん」最後は嗚咽にまみれた泣き声にかき消された。


俺は必死に泣き声を押し殺している少女を、後ろからそっと抱きしめてやるしか出来なかった。しかし、何時まで泣かせておくわけにはいかない。

ゾンビの額に突き刺さったままの蛮刀はきつく握りしめられていたが、出来るだけ優しく指を一本一本と剥がしていき、爺さんの服で血をぬぐい取り鞘にしまった。


かなり離れたところだが数体のゾンビが見えたところで、俺は少女の顔を覗き込み少女の目の焦点が定まっていることを確認し


「さあ!車に戻って店ん中に入るぞ。1人で車まで歩くんだ!大丈夫だろ!」


「もぅ、結構おじさんってスパルタなんだね。もう少し甘えさせてくれたっていいじゃん!」


少し笑顔が戻ってきたみたいだ。


「見てみな!」


俺は駐車場の右外に向かって真っ直ぐにバット指した。


「うわぁ~~~。いち・にい・さん・しぃ・ごぅ。まだ、その後ろにも居てますよ。やっつけないんですか~?」


泣いたクセにもう笑ってやがる、現金な年頃だわな。


「馬鹿なことを考えるんじゃないっ!戦うのは最後の最後だよ。

見つけたたんびに始末していくなんざぁ。命を捨てるようなもんだ。

やり過ごせる時には、無理はしないほうがいいって」


たったと車に戻り始めると


「『攻撃は最大の防御なり』って言いますよ?」


追いかけながらも、しつこく食い下がってきた少女に


「俺たちゃ、非戦闘員なんだよ。攻撃力もないのに、何が『『攻撃は最大の防御なり』だよ!こんなときには、三十六計逃げる勝ちだよ!」


車に乗り込み、ドアロックをかけ彼女の指示通りに店の奥まったところにある従業員用の車庫に車を入れた。


いつでも、車で避難できるように最低限の物資だけを持ち出した、確実にドアがロックされていることを確認した後、振り向きながら少女にたずねた。


「店に入る方法は、店の表玄関と、この車庫からの扉以外にある?」


少しの間考えから少女ははっきりと断言するように言った。


「店の裏に扉が1つあります。けど、最後に出るときに内側からチェーンロックをかけているんで、裏口からは誰も入れないかと思います。

車庫には、車で入る場合はこのコントローラーで扉を開けます。それ以外は、もう一つの車庫の横に出入り用の扉があります。今は鍵を閉めてます。扉の鍵は、店長と私だけしか持ってないです。内側からは暗証番号で開けるんです・・・・・・・

車庫から、店への出入りはそこのキーBOXに暗証番号を打ち込むんです。暗証番号といっても、バイト用の社員番号ですけど」


「キーBOXに暗証番号を入力して出入りか!コンビニもハイテクになってんだなぁ」


俺は、思わず関心してしまった。


「その代りにタイムカードとかはないんです。入店する暗証番号を入力した時点がスタートなんです。だから、シフト時間の30分前と1時間後までしか入力を受付ないんです。今は、店長がいないんで、私の番号はオールフリータイムで入力できるんですけど・・・」

少女はそう説明しながら、テンキーの数字をタッチしていた。


「ピィー」という認証音と同時に「ガチャッ」という鍵が外れた音がして、少女は左手で扉を押しながら右手で壁のある電気のスイッチを押した。

入ったところは通路のようになっていて、少女はどんどんと10メートルほどの通路を進んでいった。通路が途切れたところに従業員用だろうか?トイレがあり、右側に店に通じていると思われる扉があった。丁度レジの横側の死角に出て回り込むようにレジに入るようになっていた。


誰もいない売り場は、思っていたより大きく感じられた。


「誰もいないと、結構広く感じるもんだね。」


田舎者のように、キョロキョロとしながら俺は店の中を何を探す訳でもなくブラブラした。


「通常のコンビニより30%程広いんだそうです。確かに前のお店より広くなりましたよ。何か、普通のスーパーみたいに冷凍食品なんかが豊富になったんです。

オープン前だから、惣菜パン、菓子パン、おにぎり、お弁当なんかはないですけど・・・・・」


「あっ!2階に夜勤用の仮眠室があるんです。仮眠室と言っても、普通の2LDKの部屋なんです。冷蔵庫やお風呂もあるんです。」


もう、日付が変わる時間になっていたので、二人で手分けしながら、数日分程度の食料などを買い物かごに放り込み数度と2階を往復した。


さらに、俺たちは1階で何とか工夫すれば入れそうなところ、例えばトイレの小窓などを補強したりした。(とは言ってもガムテープと段ボールと、車から材料と道具を使い入りにくいように針金で窓に蜘蛛の巣みたいな蓋を作り、ネジで壁に取り付けただけだが)


補強しながら1階の間取りを覚え、扉を開ける暗証番号などを教えてもらいながら作業をして、気がつくと深夜の2時を過ぎていた。


2階に上がる途中で少女はダウンしてしまい、何とか抱きかかえて2階のベッドまで運び寝かしつけた(既に食料を運び入れた時に暖房をいれておいて助かったぜ!)ところで、本来、風邪引きでくたばっていた俺の身体はゾンビ騒ぎで溢れ出ていたアドレナリンを使い果たんだろう、グルグルと回る天井を眺めながら俺の意識も、遥か彼方に吹っ飛んでいった。



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