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第二歩

自分の作品に癒やされてます。

もう少し右上か?若干の修正をして先ほどより強くゴムを引いて2発を放った。


命中!だったが……狙ったゾンビの奥にいた奴の耳辺りに当たったようで、当たったゾンビはそのまま崩れるように倒れていった。


結果オーライとしておこう。


3発目も狙ったゾンビではない奴の目に当たり、崩れるようにして集団の中から消えていった。


余りにもラッキーヒットに馬鹿らしく思いながらも、4発、5発と………

黙々と俺はパチ玉を撃ち続けた。


集団の数が減るほどにラッキーヒットは少なくなり、後5匹となったところで1匹がこちらに気づいたようだ。


1匹だけ、電柱を離れて両手を前に突き出してこちらに向かって歩き始めた。


まさしく、真正面にいてる状態だ。


段々とコツが掴めてきた俺は慎重に狙いを定めて、必殺必中の1発を放った。


見事にパチ玉は額の真ん中を射抜き、膝から倒れてこんでいった。


それから5発で、4匹のゾンビを始末することが出来た。


23発のパチ玉で14匹のゾンビを倒したことになる。これって効率がいいんだろうか?命中率としては60%位だよな。

おっと!くだらない計算をしてる場合じゃないぞ。


電柱のところへ車で行くのは放置車両の関係で諦め、もしもの場合に備えて車のエンジンはそのままにして、周りを警戒しながら車から降りて電柱に近づいた。


(お約束の他の生存者に車を奪われましたなんてまぬけな話しは、映画か小説の中だけにしてもらおう、俺はキッチリと予備キィーで施錠はしてるから、あ〜鍵!鍵なんて心配は無用だ)


電柱の真下に到着して、声を掛けようと上を向いた俺の目には、ピンクに包まれたまあるいピチピチのお尻が飛び込んできた一部真っ赤な部分まで丸見えだった。


思わず見入ってしまった後に、降りてきてからが気まずいかな?と思い直して数歩下がってもう一度上を見上げようとした途端に


「右横!」と叫ぶ声がした。


声の主を確認する間もなく、右を見ると……男子学生が手を突き出して迫って来ていた。


先ほどの戦いで余裕がついたのか、俺は2歩、3歩と下がりながら背中の木刀を抜き終えた途端に、木刀を突き出しながら一気に学生の顔目掛けて突進した。


木刀はものの見事に学生の喉元から首を突き抜けた。


学生の腹辺りを蹴り出すようにして木刀を引き抜いて、周りを見回したが他にはいてそうになかった。


改めて電柱に目を向けると、そこには少女の姿はなく、慌てて視線を下げると器用に電柱を降りるお尻が見えた。


おい。おい。スカートが捲れ上がってんぞ!


この世代(娘と同じくらいだろう。学生服着てるんだから)が、扱いにくいのは骨身に染み込んでいるんで、敢えて後ろを向いて見ていませんよ。とPRしておいた。


ドン!とぶつかられたが……周りにはゾンビがいないことは確認済みだったので、落ち着くまでしゃがみつく少女を放っておいた。


大声はゾンビを引き寄せるのがわかっているのだろう。

声を押し殺して泣いている。

そりゃそうだわ。この地獄のような状態をみたら……泣かずにはいられない。


2〜3分ほど経ったところで、50メートルほど先にゾンビが2匹ほど現れたのを見て


「嬢ちゃん。悲しいだろうけど………

また、襲われるのはもっと悲しいだろ。

車まで行けるか?」


俺の襲われると言う台詞にびくりと反応して、少女の身体が僅かに離れた。


「車はわかるな?静かに素早くな!」


俺は、ゾンビが現れた方向から目を離さずに車に戻り始めた、距離が離れていたこともあり無事に車にたどり着き後部のスライドドアを開けて少女を入れ、続いて俺も後部座席に乗り込んでスライドドアを閉めロックを掛けた。


少女は俺が運転席ではなく、後部座席に乗り込んできたことを勘違いしたのだろう身を固くし硬直してしまっていた。


俺はそんな少女を無視して、後部座席の後ろから中型のボストンバックを取り出し、更にその横のボストンバックから厚手のバスタオルとハンドタオル、ウェットティッシュを引っ張り出した。


それら一式を少女の横に置き、黙って運転席に戻りかけるために少女と真っ直ぐに相対する形になった。


更に、見間違えることなど出来ないように硬直は増し、目には大粒の涙が溢れんばかりに溜まっていた。


あちゃー!こりゃぁ、完全に誤解されちまってるわ!


下手に声をかけない方が得策と、そのまま黙って運転席に移り運転席に収まったのち、おもむろにに振り返って運転席と後部座席との間にある仕切り用のカーテンを引いた。


「嬢ちゃん。怖がらせて悪かったな。ボストンバックに娘の着替えが入ってるから……ビニール袋は外側のポケットに入ってる。まずは履き替えな。気持ち悪いだろ。

俺は、前から来てる奴らを挽きながら移動するから、嬢ちゃんの相手をしてる間ないから……」


返事も待たずに車を発信させた。


まぁ、ピンクのパンツの半分が赤く見えたと言うことは………まぁ、そのだな……怖くて……お漏らししちゃったってことだろう、いい年頃の娘さんに直には言いにくいからなぁ〜


微かに、止まっていた息が漏れる音とクスッと笑ったような声が聞こえた。


ゾンビは20メートルほどに迫ってきていて、やっぱり狭い歩道では避けて通るのは無理そうだった。


真正面から挽き殺した場合、タイミング悪くフロントガラスにぶつかられるのは、強度と見映えから考えてもできるだけ回避したい。


仕方なく、狙いをすませてできるだけ、車の四隅に引っ掛けるようにハンドルを小刻みに左右に動かし既に遅いかも知れないが、後部座席に一言かけた。


軽いショックが連続して車体から伝わり、見事に2匹のゾンビを左右に吹き飛ばすことに成功した。


数メートル先で一旦停車しバックミラーを覗いたが、カーテン柄が見えただけだった。自分で閉めておいておおぼけだわな。


改めて左右のドアミラーで確認したところ左側のゾンビは車が衝突したかなにかで折れた街路樹に頭から突き刺さっていた。

右側のゾンビは、左足?が千切れかけていて、立ち上がろとしても足が使えないのでひっくり返り、それでもまた立ち上がろとしてひっくり返っていた。


延々とやっていそうな……鬼気迫る感じに、得も知れぬ不気味さを感じて、俺はアクセルに置いた足に軽く力を加えて車を前進させた。


発車間際にドアミラーの向こうではゾンビが3度目に挑戦し、前回と同じようにひっくり返えっていた。


運転席と後部座席を仕切るカーテンが静かに開き、少女が伏し目がちに現れた。


バックミラーで少女の顔色を確認しながら


そういやぁ、噛まれか?とか引っかかれたか?って聞いたかな?

聞いてないよな?いきなり襲われたらヤバいよな。


気付かれないように顔をかくふりをしながら、さりげなく左胸元のサバイバルナイフをいつでも引っこ抜ける体制で少女を観察した。結構巨乳だ。て、こらぁ!どこ見てんねん。1人で呆け突っ込みしててもしょうがない。本来の目的の観察に戻ろう。少女は、少し顔がうっすらと赤い感じ以外は特に変わった様子は見られなかった。


「た、助けていただいてありがとうございます。そ、それと汚れた……その……あの……パ、パンティまで!

後で洗濯してお返ししま…………でも〜どうやって洗濯したらいいか………。」


ポロポロと涙を出してビニール袋に入ったパンツを握り締めていた。


普通の中年なら洗わずにそのまま下さい!てなるんだろうが……


女系家族の我が家では、お漏らしパンツなんぞでびびってなんかいられない。


内緒の秘密だが(人に話したのがばれたら3日は飯抜きだぜ)………濁った血だらけのパンツが洗濯機に放り出されていることなんざぁ日常茶飯事なんで……珍しくも何ともなかった。


まぁ、少女のパンツを履いたお尻は可愛かったがな。


「そんなことはいいから、気にしなくていいよ」


「にゃぁぁぁぁー」


まるで私を忘れてませんか?てな具合にドロンジョが少女の隣にカーゴルームから飛び込んできた。


「うわぁ?猫ちゃんだ!」


少女はガバッとドロンジョに飛び付くよう勢いで抱き寄せた。


「かっわいい~」


少女に頬ずりをされてドロンジョは


喉をゴロゴロと鳴らしていた。


稀代の女殺しのドロンジョ姉さんはあっと言うに少女の心を掴んだようだ。


「にゃゃゃゃ~ん」(ボヤッキー、女性はこうやっておとすんだよ!アンポンタン!)


雌猫のくせして女たらし(去勢してるのに雌と言っていいのか?)……たぁ、生意気な猫だ!晩飯抜いてやるからな!


何にせよ良かった。少女に笑顔が戻ってきていた。


「参ったな」


思わずぼやいてしまってから、少女が後ろに座っていることに気づいた。

少女はドロンジョをグッと強く抱きしめながら


「ど・どうかしたんですか?」


「いや、そんなに心配するほどのことじゃないから……警察署に行ことしてたんだが……

この道からじゃ残念ながら、無理みたいなんだ。」


警察署に向かう道には、事故車両や放置車両が道一杯に広がっていた。


「警察署に避難するんですか?」


相変わらずドロンジョを抱きしめながら少女はたずねてきた。


「う~ん。一応知り合いの警察官がいるんでね。もしかしたら、武器とかも手に入れることが出来るかもしれないしね。

しかし、かなり迂回しなくちゃ駄目みたいだ。」


「しかも、一旦郊外に出なきゃならないから……な。」


「郊外は駄目なんですか?人が少ないからバケモノも少なくないですか?」


「いや、郊外だと今晩の天気じゃ……見通しが悪すぎてね。わざわざ危険なところに行くのも、考えどころなんだわ。

かと言って安全な場所もないしね。」


さてさて、どうしたものか?

一旦、家に戻ると言う手も無きにしも非ず何だが………。

市街地まで一本道。夜の時点で様子見の連中が日の出から一斉に動き出したら……ヤバいよな。この状況で渋滞は……考えられないぞ。


一気に郊外を抜けるか?ある程度警察署の近くまで移動した方が得策か?


「あの~う。」


「ん?何だい?」


「ここから、郊外に出て警察署に向かうって言うことは、桜木町から松木町に出て池波町から警察署に向かうんですか?」


俺は、頭の中で地図を思い浮かべながら、少女の言ったルートの地名を思い出そとしていた。


「桜木町と松木町はわかるんだが…池波町が、ピンと来ないなぁ。」


「池波町は、ほら先月ディスカウントストアが出来たところ辺りなんですけど…」


なる程!あそこか!警察署まで車で2分くらいだな。


「道はわかったけど…君、何か当てがあるの?」


「ディスカウントストアの500メートルくらい手前にコンビニがあるんですけど、ご存知ですか?」はて?在ったっけか?家からディスカウントストアに向かった場合は通り過ぎりことになるんだよな。いかん、わからんわ。


「いやぁ〜、ディスカウントストアから奥はほとんど行ったことがないから、記憶にはないなぁ。で、コンビニがどうかしたのかい?」


「私、そこでバイトしてるんです。改装してて、明日の19時オープン予定なんです。

エコステーションコンビニってコンセプトで太陽光発電と蓄電池で、3日間は停電でも大丈夫だって、店長が言ってました。

24時間なんですが、今はシャッターが降りてますし、店長やバイト君の自家用車がイタズラされて困ってて、改装に併せて従業員用の車庫が店舗横にあって、車を降りたら外に出ないでお店に入れるんです。」


「そりゃ、現時点ではベストな避難先だけど……鍵がなけりゃな」


小説でも有り得ないベタな展開に……でも鍵がないんです。でもトイレのガラスを破ったら!なんてパターンか?を期待してしまうじゃないかよ!


「あ、あの……店の鍵と車庫のコントローラーなら持ってるんですけど……

バイト君は私用で無断利用しそうだし、店長は一昨日から赤ちゃんが産まれるとかで奥さんの実家の九州で……

明日は本部の応援と私でお店スタートさせるんで………」


ん~~ん 思わず抱きしめたくなる展開!助けて良かった。


俺達は、郊外に向けて発進した。


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