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第一歩

2話目です。


活劇の予定ですが…毎度のこだわりが抜けずに……モタモタしてます

装備をしこたま身体中に身に付けて1階に降りた俺に、我家の3番娘、野良猫から家猫に華麗に転身した黒猫のドロンジョが


「ニャァ〜ァ」(飯は?ボヤッキー)


と階段の上で催促している。


何時帰れるか?


帰るつもりだというのがおこがましいが……


はてさて、どうしたものか?


バイオハザードでは、犬とカラスはゾンビになったが猫は登場してないよな?


映画でも、犬は無視されて、ノコノコと銃砲店に入って行ったよな?


しかし、ミャーミャー言われてゾンビに追いかけられるのは面倒くさいし……


まぁ、元を正せば野良猫なんだから、はぐれたらはぐれた時か


俺は階段を上がり直し、猫の餌をバックパックに詰め込んだ。


「なぁ、ドロンジョさまよ。あんたの大好きな姉ちゃん二人を助けに行かなきゃならんのだわな。付き合うか?」


わかったのか餌が欲しいのか


「ニャァ〜〜〜〜ン」と犬の遠吠えのような返事をした。


「ついてきな!

あっ!それと腐った人間の肉は喰うなよ。何せ、お前らはネコ科。

ライオンの親戚筋だかんな。」


俺の足元をスリスリしてるところを見ると、ついて来そうな感じなので、とっとと、出るとするか。


一応2階の窓から明かりを消した状態で外を見た限りではゾンビはいなそうだった。


しかし、200メートル先の町内会長の家はこうこうと明かりを点けたままなので、3分匹ほど家の前にたむろされていた。


静かに、静かに玄関を開けたつもりだが、意識してると案外デカい音がすることに気付くな。


いつもなら、道路にはそれなりの交通量があるはずだが……外出禁止令が守られているのか?


まぁ、それ以上に血だらけの死体が歩いて、襲ってくるんだから普通は外出なんてしないわな。


素早く車に駆け寄り、ドアを開けて運転席に乗り込んだ。


自分で車のドアを閉める音にビックリしながら、ドロンジョを忘れていたとキョロキョロと見まわすと、ちょこんと助手席に座ってやがった。


「ニャ!」(間抜け!私はそんなにドジじゃないよ!)


しかし、習性ってのは怖いもんだ。やっぱりゾンビだけじゃないな、人は普段の習性が間違いなく出るわ。


あれだけ、音には注意といいながら、焦れば焦る程デカい音をだしてしまう。


車のドアなんかいつも同じで勢いよく閉めてしまった。


あれこれ迷っても仕方がないか。


メーターのガソリンを確認しところ、良かった!満タンだ。


実はこいつも(車)対ゾンビチューン車なんだ。

チューンと言っても車体からナイフが出るとかミサイルを装備してるかという攻撃を主体に置いたのではないんだぜ。


1ボックスの軽自動車だが


まず、タンク容量を通常の45リットルから5割増の63リットル。


荷台背面に20リットルの予備タンクと予備タイヤ(スペアじゃないぞ)

ウィンドガラスは、はめ込みのところは通常の1.5倍の厚み、電動は重さのギリギリで1.2倍。人間の手では絶対に割れない。はずだ…


エアバックも非装着にしている。


何故って?映画や小説では簡単にゾンビを車で轢いているが…何体も轢いてたらエアバックが作動するはずなんだか……ご都合主義なのか、触れられていないんだ。


バンパーは外側は割れにくい軟性樹脂性だがバンパー自体は鋼材で骨組みして、車体には小型のショックアブソーバーで繋いでいる。

衝撃に強く簡単には割れずにかつ相手には確実に衝撃を与える予定なんだか、力学的に正しいのかはわからない。


まさか、各パーツメーカーに人を轢いても大丈夫ですかとは聞けないだろ?


あとは、寒冷地仕様のバッテリーの二重化にライト関係の強化に追加ってところかな。


ルーフポッドもつけているので非常食も適当にはあるんだ。


まぁ、この車なら便所のことを考えなければ500キロ程度なら無給油で、ほぼ1週間なら独自で過ごせるんじゃないかな。


セルスターターを回してエンジンを灯してギヤをドライブに入れて、静かに駐車場を後にした。


一旦停車し、見納めとなるかも知れない我家を見上げた。


「!」


見上げた視線の片隅のバックミラーには、町内会長の家の前から3体のゾンビがこちらにヨタヨタて歩いて来る姿が映し出されていた。


俺は、アクセルを踏み車を街の中心部に向けた。

数分も走らないうちに、家の周りにゾンビがいなかった理由や車の往来がなかった理由がはっきりした。


この街の駅を中心とした一角はあちらこちらに放置や衝突したらしき車が放置されていた。


18時に非常事態宣言がされたわけだから、その数時間前からゾンビが大量に発生してたみたいだ。


車は衝突の際にガソリンが漏れたのか、燃えていたり、くすぶっていたりしていた……


地面には所々に血が撒き散らかされている。


まさしく、映画のバイオハザード2のアリスが病院から出てきたシーンとそっくりだ。


「肝心の主役のゾンビが見当たらないな?」


言いながら、自分が主役をゾンビと認めてしまっていることに苦笑いしてしまった。


まだまだ、主役の座を明け渡したとは認めたくはないな。


事故車両・放置車両が道路一杯に埋め尽くされていて、さすがの軽自動車でも隙間を縫って走るのは無理そうだ。


仕方なく、俺は車を歩道に乗り上げて歩道を走ることにした。幸いに見える範囲の歩道に死体などは見当たらないので気兼ねなく走らせてもらわせた。


電力は活きているみたいで店舗や街灯で街中は明いから助かるな。


ドガ−−−ン


爆発音に思わずそちらに目を向けたら、車が派手に吹き飛んだ瞬間だった、ガソリンタンクに火がついたんだろう。


「すげぇ〜」


思わず見入っていたら、ドスン、ゴリッ・ゴリッと音がして車が何かに乗り上げ、一瞬ハンドルを取られてしまった。


直ぐバウンドしたかのように地面に着いたかと思ったとたんに後輪が同じ動きをした。


慌ててブレーキをかけて、思わず車から降りて後ろを見に行ってみると………


見事に……ゾンビをひき殺していた。


左腕の肘から先がなく、顔半分の皮膚や肉もなく頬骨が見えていた。


映画や想像の世界では、見慣れたつもりであったが流石に実物を直視すると胸糞が悪いな。


俺には、両手で合唱のポーズを取って冥福を祈ってやるしかなかった。


ガシャン!と音がした。


ビクッとした俺は音の方向に顔を向けた瞬間に、現実を思い知らされた。

そこには3体のゾンビが、映画よろしく両手をキョンシーのように前に出しだらしなく上下しながら迫って来ていた。


1体が道路に設置されていたごみ箱にぶつかった音がなければ、俺は奴等の腹の中に納まっていたかも知れない。


初めてのゾンビ退治は、よそ見運転でのひき殺しだったが自分の意思で武器を持ち初めてゾンビに対峙することに、不思議と恐怖はなかった。


俺はジリジリと車の運転席の方に後ずさりをし、運転席横に立てかけてあった、木刀を鞘から抜き出し、見よう見まねの正眼の構えをとり、ゾンビを木刀で殴れる距離までにじり寄り


「いっけぇ〜」


木刀を振りかぶり。先頭のゾンビの頭めがけて力一杯振り落とした。


「ヘッ?」


あまりに力一杯振り落としたので、力みすぎてゾンビの右肩を思いっきり叩いた状態になってしまった。


ゾンビは身体を右方向にガクリと下げたが、歩みは止まらなかった。


やばい!俺の心で何かが弾けた。


瞬時に木刀を構え直し、改めて先頭のゾンビの頭に木刀を叩きつけた。


両手に何かを叩き潰した感触を味わいながら、先頭のゾンビを回避するように左側から寄ってきたゾンビに思いっきりの前蹴りを食らわし後方に弾き飛ばし、もう1体の右側のゾンビに向かって思いっきり木刀を突き出した。


大きな口を開けて飛びつくように迫って来ていたゾンビの口の中に木刀は吸い込まれていき、見事に頭を貫いていた。


ゾンビの身体に足をかけ蹴り飛ばすようにしながら木刀を引き抜き蹴り飛ばして転がっているゾンビに向かい、頭を思いっきり足の甲で蹴り飛ばした。

クリーンヒット!正にロベカルの弾丸シュートも真っ青なくらいにキレイに入り、ものの見事に首が変な方向に向いていた。


蹴り終え、周囲を見回しながら3体のゾンビを木刀で突っつきながら、死んでいるのを確認した。

大丈夫なようだ。


木刀についた血を、倒れているゾンビの服の比較的きれいなところに擦り付けるようにしてふき取り、車の運転席に戻り、ロックをした後に、ハンドルに覆いかぶさるように突っ伏した。


思わず、大粒の涙がポロポロと目から溢れ出していた。

ゾンビという化け物とは言いながら、『人』と同じ形の生物を殺したのだ。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっ」


これが、最初で最後の涙にしよう!この先には、もっと多くのゾンビを殺さないといけないんだ!

「ゾンビになりたくてなったんじゃないよな?

生きていたら色々なことがしたかったんだろうな?

もっと楽しいことを味わいたかったよな?

死ぬときは人間らしく死にたかったよな?」


生まれたから初めて大声を出して泣いた。


「にゃ〜〜〜ん、にゃ〜〜〜〜〜んっ」 


ドロジョが心配してくれているのか、ダッシュボードに駆け上り俺の頭をやさしく撫でてくれていた。


俺はひとしきり泣き尽くした。


「行こうか?」


ドロンジョは未だダッシュボードに座り込んで俺を見つめてくれていた。

倒した3体を改めて見直した、必死で気がつかなかったが、最後に蹴ったゾンビは学ランを着た学生だった。


「童貞だったのかな?」

男として、そうではなかったことを祈りながら車を発進させた。


歩道作戦は成功みたいで比較に順調に車は警察署に近づいて行った。


警察署まで後少しと言うところで助手席のドロンジョがさかんに鳴き声をあげはじめた。


最初は気にもせずに車を進めたが、ドロンジョに左腕を引っかかれてしまった。


「何なんだよ?」


車を止めて、会話ができるはずもない猫を相手にしている自分を滑稽に思いながらも、さっき慰めてくれたドロンジョを無視もしにくかった。


ドロンジョはいきなり後部座席から後部トランクスペースまて軽やかに飛び跳ねて行き、しきりに後方に対して鳴き声をあげていた。


何か大事な物でも見過ごしたか?


仕方なく、車を徐々にバックさせて行くと50メートルほどバックさせたところで亡き止んだ。


何があるんだ?と周囲を見渡すと、左後方10メートルほどのところにゾンビが10体近く競うように空に向かって何かを掴むような仕草をしていた。


「何だぁありゃ?新興宗教の信者の集団ゾンビ軍団か?」


車の天井が邪魔をして何に向かって争っているのかわからないんで、俺はサンルーフ(通常のサンルーフより50%増しで広くしている。本当ならツインサンルーフにしたかったんだが……)の開閉スイッチを開にした。

1人じゃ、さっきみたいに死角が出来るからな!

開いたルーフから上半身を出した俺が見たものは……


萌え萌えの制服姿、しかも股下数センチと言うスカートをはいた女の子が電柱の中ほどにしがみついている光景だった。


相手も既にこちらに気づいているらしく、しがみついている手のひらを小さく振っていた。


この寒空に何時間しがみついてるんだろか?見上げた根性だな。


叫ばないところを見ると、ゾンビが音に反応することもわかってあるみたいだ。


1、2、3、4…14か!14体のゾンビに白兵戦では勝てる気がしない。


飛び道具しかないか。


俺は、ゾンビ達から目を離さずにバックパックを車から引っ張り出して、目的のスリングショットを取り出した。

確か、底に磁石を仕込んだパチ玉ケースがあったはずだ。


お目当てのケースを見つけて、車の屋根に固定して、玉を取り出してゾンビに向かって撃ってみた。


玉はゾンビの肩辺りに当たった。


流石に簡単には頭に当てられないな。しかし、間違いなく身体にはめり込んでいるから、狙いさえよければ……






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