第92話 レベルアップとカツ丼と
フィラを巡っての、男爵との一騒動はあったものの、何とか無事にフィラを迎える事が出来たジャズ。
戦闘奴隷を手にしたジャズは、新たな仲間を得て、親交を深めるのでした。
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今日はフィラを連れて、いつもの食事処へと足を運んだ。
「ここだよフィラ、この店が旨い飯を作ってくれる女将さんが居るんだよ。」
「なるほど、ここですか。ご主人様の行きつけのお店というのは。」
フィラと二人、店の中に入ろうと引き戸を開け、店の中へと入る。
「女将さん、こんにちは」
まずは挨拶から。
「おや? 来たのかい。…………んん? その娘は誰だい?」
「ああ、紹介するよ、この娘はフィラ。俺が買った戦闘奴隷だよ。」
ここでフィラが丁寧に挨拶をする。
「初めまして、ジャズ様の背中を預からせて頂いております。戦闘奴隷のフィラと申します。よろしくお願いいたします。」
「はいよ、フィラちゃんね。こちらこそよろしくしておくれよ。」
フィラはしっかりした娘だ、こうして普通にしているととても魅力的だ。
だが、ちょっとでも怒りの感情を露わにすると、途端に戦士としての顔を現す。
(ふーむ、何きっかけで怒るのかな? 今一それが解らん。まあ、気長にフィラと接していけばいいか。)
ここで女将さんから一言があった。
「へえ~~、あんた奴隷なんて買える余裕があるんだね。羨ましい限りだよ。しかもべっぴんさんじゃないかまったく。」
「まあね、臨時収入があったからね。」
「へえ、活躍したって訳なんだね、ちゃんと仕事をしている様で感心だよ。フィラちゃん、これからもこの朴念仁をよろしくしてやっておくれよ。」
「はい。」
褒められた。いい気分だ、女将さんには敵わないな。さて、今日はどんな食事にしようかな。
フィラと一緒にカウンター席に座る。店にはお客さんが疎らに居たが、今の時間は空いている方だ。
「女将さん、今日は空いてるね。」
「まあ、皆、先日の降臨祭の疲れやら何やらで、自分の家で大人しくしているんじゃないかねえ。」
あ、なるほど。そう言う事もあるか。まあ空いているなら静かでいいな。これはこれで。
「今日は何にするんだい?」
女将さんが注文を訊いて来た。うーむ、今日はどうしようかな。
フィラと二人で来たから、がっつり系でもいいし、軽めでもいいし、どうしたものかな?
「女将さんのおすすめってあるかい?」
「うーん、そうだねえ、いい豚肉が入ったから、トンカツなんて物がいいかもしれないねえ。」
な、何!? トンカツだと! それならもうコレしかないだろう。
「女将さん、カツ丼か味噌カツってある?」
「ああ、どっちもあるよ。どうするんだい?」
ならもう、決まりだな。
「カツ丼、カツ丼を二つ頂戴! カツ丼食べたい。フィラもいいよね?」
「はい、ご主人様と同じ物で構いません。」
「はいよ、カツ丼二丁ね、今からとんかつを揚げるからちょっと時間が掛かるけどいいかい?」
「全然待つよ。カツ丼喰いたい。」
「じゃあちょっと待ってな。」
女将さんは料理を始めた。出来上がるまでしばし待つ。
まさかこの世界でカツ丼が食えるとは思ってなかった、カツ丼は好物の一つだ。
子供の頃から食っていたから、一番好きな食べ物だ。
うーん、この脂っこい匂いが堪らん。割り下も期待できそうだ。
料理が出来上がるまで暇だ。フィラと会話するのもいいが、こういう時はフィラも俺も大人しくしている。
あ! そうだ、折角クラスアップしたんだ。レベルの上限が上がっている筈だよな、よーし、ここらで一丁レベル上げといこうか。
経験点が4700もあるから、これで一気にレベルを上げられるな。
確か中級クラスだと一つレベルを上げるのに経験点が1000点必要なんだよな。
よーし、一気に4つ上げられるな。
よしよし、レベル14まで上がったぞ、HPも42だ、これでかなり打たれ強くなった筈だ。
レベルも上がってスキルポイントもその分増えて、SPは70もある。これはかなり増えた事になる。
うーむ、ここらで一丁、上級スキルの更に上、超級スキルを習得するのも悪くは無いな。
しかし、今までのスキルを強化する方がまずは先決だよね。
確か全属性耐性LV4まで取っているから、ここでもう上限のLV5を習得してしまおうか。
必要SPは25ポイントだ。
よし、全属性耐性をLV5の上限まで上げた。これで魔法攻撃に対して100%ダメージを防ぐ事ができる、つまり、実質俺には魔法が効かないという事だ。
「ディスペル」とは違うので完全に防ぐという訳でもないが、それでも魔法攻撃に対してかなり強みになった事は事実だ。
後はそうだな、剣術のレベルを上げるか、………………よーし、剣術LV5になった。
これで接近戦は大丈夫そうだ。残りのSPは40。
よし、超級スキルを取ろう。何がいいかな? 超級スキルはどれも必要SPが10以上だから、余分なものはやめた方がいい。
うーむ、悩むな、命中率と回避率が30%上昇する「見切り」というのがある。
勿論パッシブスキルだ。常時発動型のこのスキルならば、いざという時の不意打ちなどに対処できそうだな。
よーし、「見切り」を習得しよう。必要SPは10ポイントだ。これで残りSPは30ポイント。
後はそうだな、ここはやはり、接近戦の雄、「インファイト」のスキルを習得したいところだな。うーむ、どうしようかな?
ええーい! 俺は前衛だ。「インファイト」を取ろう。
LV1で必要SPは10ポイント、かなり高いが、その分とても強力なスキルだ。
移動力、近接攻撃力、防御力の全てが上昇する。はっきり言ってこれ以外無い。そういうスキルだ。
よーーし! 「インファイト」のスキルをLV2まで習得したぞ。これでかなり接近戦は有利に事を運べる様になった筈だ。
うーむ、ここでスキルポイントを全て使い切ってしまったな、残りのSPは0だ。
だがまあ、有用なスキルを習得したという事で、これで良しとしとこう。
よーし、ステータスを確認してみよう。
ジャズ LV14 HP42
職業 忍者
クラス 上忍
筋力 40 体力 35 敏捷 50
器用 47 魔力 19 幸運 34
ユニークスキル
・メニューコマンド
・精神コマンド 7/7 (必中 不屈 熱血 気合)
スキル
・ストレングスLV5 (フルパワーコンタクト)
・タフネスLV5
・スピードLV5
・投擲
・剣術LV5
・身体能力極強化
・全属性耐性LV5
・見切り
・インファイトLV2
経験点700点 ショップポイント2900 スキルポイント0
武器熟練度
小剣 120 剣 100 槍 35
大体こんな感じになった、うーむ、流石にレベル14ともなると中々見れるステータスになってきたじゃないか。
いや、まだまだだな。上には上が居る。ここで慢心はいかんな。更なる高みへと目指さねば。
しかし、精神コマンドが一日に7回使える様になったのは有難い。
新しく「気合」も覚えたし、気合は確か使用すると気力がプラス10されるんだったな。
気力が上がれば色々といい事があったりするので、中々侮れないものなんだよね。
まずはこんなところか。
よーーし! レベル上げも済んだ事だし、これでまた一歩進んだって感じだな。
勿論、上があるので、まだまだとは思うが、これでも結構強くなったと思うよ。
だが油断は禁物だよね。気を引き締めなきゃ。
そうこうしていると、女将さんから料理が運ばれて来た。
カツ丼だ。旨そうだ。いい匂い。食欲をそそる。フィラも期待に満ちた表情をしている。
「はいよ、お待たせ。」
「やった! いただきます。」
「いただきます。」
先ずは箸を使ってカツを一切れ掴む、うーん、半熟のとろとろとした卵がまたいい感じを出している。
一口にカツを噛む、じゅわりとした肉厚のあるボリューミーな肉がなんとも堪らない。
出汁も染み込んでいて旨い。流石女将さん、いい出汁が利いてる。
ご飯がすすむ。旨い、そしてどこか懐かしい味。
そうか、これ、お袋が作ってくれていた味に似ているんだ。
だからなのか、こんなにも旨いなんて、ちょっぴり涙がでてきちゃったよ。最高だ。
あっと言う間にカツ丼を平らげる、フィラも満足しているみたいだ、また食いに来よう。
「「 ごちそうさまでした。 」」
フィラと二人で両手を合わせ、ご馳走様をする。
う~~ん、お腹いっぱい。食後のお茶を啜り、人心地つく。
「女将さん、いくら?」
「カツ丼は二つで銅貨4枚だよ」
安い、また食いに来よう。女将さんに銅貨を支払って、店を後にする。
「また来てね~」と、女将さんの声を背に、一歩外へと出てクラッチの町中に繰り出す。
さて、休暇も残すところあと一日、何をしようかな? フィラと共に町の中を歩く。
今日はいい天気だ。腹ごしらえもしたし、早速冒険者ギルドへと行ってみようかな。




