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おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。  作者: 愛自 好吾


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第57話 下着ドロボウを追え ②

 



 下着ドロボウのしでかした事を追って、今、俺は備品課のクリスちゃんの元へと急いで向かっている。


「下着ドロボウめ、まさか備品課のマドンナ、クリスちゃんの下着まで盗むとは、中々いい趣味しているじゃないか。………いや、そうじゃなくて、え~と、許せん! 必ず捕まえてやる!」


 確か、同じお花柄のパンティーばかり狙われたって、リップが言っていた。


 花柄のパンティーは下着ドロボウにとって人気の品なのか? 


 よくわからんが、まずは被害者のクリスちゃんに話を聞きに行こう。


 食堂を出て外を歩き、基地内の大きな建物の方へ向かい、中へ入る。


 備品課はそこにある、よーし、早速クリスちゃんを発見した。


 いや、ちょっと待てよ、下着ドロボウの被害を受けた人ってのは、もしかして心が傷ついている可能性が高いかもしれない。


 ここは慎重に言葉を選ばなくては。


「クリスちゃん、おはよう、気持ちのいい朝だね。」


 まずは挨拶から、俺はいつもの様に手を上げ、いつもの様に挨拶する。


 声も大き過ぎず、平坦な声で朝の挨拶をしてみる。


「………あ、ジャズさん、おはようございます。」


 うーむ、一応挨拶は返してくれたが、何やら元気が無い様子だな、まあ無理も無い。


 自分の下着が盗まれたんだ、ショックが大きいのかもしれない。


「クリスちゃん、元気出して。きっと下着ドロボウは直ぐにでも捕まるよ。俺も今、サキ少尉達と一緒に犯人逮捕に向けて動いているからね。大丈夫、きっと取り戻してみせるからね、だから、元気を出してね。」


 それと無く励ましたつもりだったのだが、クリスちゃんは何故だか俯いた状態で、体が震えていた。


 可哀想に、よっぽど怖かったんだな。下着ドロボウめ、必ず捕まえる。


 しかし、クリスちゃんは何か心配事でもあるのか、声が小さかった。


「そうですか、とうとう男の人にまで話が広まってしまいましたか。………どうしよう、このままじゃ。」


「どうしたの? クリスちゃん? 何か困っているの? 俺で良ければ相談に乗るよ。」


 何だろうか? クリスちゃんはどこか浮かない顔をして、俯いたままだ。


 そんなに下着が盗まれた事がショックだったのか。そうだよな、女の子なんだよな、クリスちゃんも。


 いつも元気に俺達に対応してくれるクリスちゃんだが、今回の事で心を痛めているのかもしれない。


「………ジャズさん、実は今、大変困っています。」


「そうだろう、そうだろう、困っているだろう、何でも聞くよ。」


「実は、私は、いえ、私が犯人なんです。」


「そうだろう、そうだろう、クリスちゃんが犯人だろう………へ?」


 何かの聞き間違いかな? 今クリスちゃんが自分が犯人と言ったような。


「私なんです、私が女性兵士の下着を取っちゃったんです。」


「そうだろう、そうだろう、クリスちゃんが下着を取っちゃったんだろう。………へ? クリスちゃんが下着を取っちゃったの!?」


「はい、そうです、そうなんです。私なんです。私が悪いんです。」


 ま、まさか、クリスちゃんが下着を? 何かの冗談だよな。


 いや、クリスちゃんはそんな冗談を言っている感じでもなさそうだ。


 まさか、そうなのか、クリスちゃんなのか?


「ど、どういう事だい? クリスちゃん、花柄のパンティーを盗んじゃったのかい?」


「いえ、盗むつもりは無かったんですが、結果的にそうなってしまいました。話を、私の話を聞いてくれますか? ジャズさん。」


「も、勿論聞くよ。聞くに決まっているじゃないか。どうしたっていうの、何かのっぴきならない事情があるんじゃないの? 話してごらんよ。きっと何か理由があるんだろ。俺に話してみなよ。」


 クリスちゃんは俯きながら、小さな声で語り始めた。


「私、お風呂に入ろうと、昨日、他の女性の皆さんが入った後にお風呂に入りました。」


「うん、それで?」


「着ている服を脱いで、洗濯籠に入れたんですが、その時は気付かなかったんですが、お風呂から出て、体を拭いて、新しい下着に着替えようとした時、ふと洗濯籠を見たのですが、そこには私と同じ柄の、お花柄のパンティーが五枚入っていました。」


「同じ柄の?」


「はい、その時、私は気付きました。本来ならば、私のような基地に務めている人は、スタッフ専用の洗濯籠があるのですが、そこに入れるべきだったのに、私は女性兵士用の洗濯籠に入れた事に気付きました。」


「なるほど、間違えて洗濯籠に入れちゃった訳なんだね。」


「はい、その時までは、全く気付かず、私は慌てて自分の下着を取り出そうと、お花柄のパンティーを洗濯籠から取り出しました。そして、自分の下着がどれなのか、その時は解らなかったので、全部のお花柄の下着を持って、一旦自分の部屋へ行きました。」


「あちゃあ~、持ってきちゃったの? そうか~。」


「………そして、一枚一枚実際に履いてみて、遂に自分の下着を見つけました。今それを履いてます。」


「そうか、クリスちゃん、他にはどんなパンティー履いてるの?」


「………。」


「あ、いや、そういう意味じゃなくて、決してやましい事で聞いている訳じゃなくて、ほら、他のパンティーと間違えている可能性も考慮に入れなければならないなと思っただけだから。」


「そうでしたか、………そうして、その後すぐ、持ってきちゃったパンティーを元の洗濯籠の中に入れようと思い、女子寮へ行ったのですが、私が女子寮へ着いた時は、もう既に事態は動き出していて、大変な騒ぎになっていたんです。」


「そうか、そりゃあ焦るよね。」


「はい、それで、下着を戻すに戻せず、今のまま私の手元にお花柄のパンティーが四枚あるのです。私は一体どうすれば………。」


 なるほど、そういう事だったのか。誤解が生んだ事件だったという事だな。


「ジャズさん、私は一体どうすれば?」


 うーむ、クリスちゃんは今、困っている。何とか力になってあげたい。


 問題は花柄のパンティーを返しにいく事だよな。


 しかし、今返しに行けば、間違いなくクリスちゃんがひどい目に合わされる事があるかもしれない。


 うーむ、何とかうまい事、パンティーを女子寮の洗濯籠へ入れる事が出来ないだろうか? 


 夜中にこっそり、………いや、駄目だ、見つかったら何されるかわかったもんじゃない。


 返すなら、寧ろ騒ぎが大きくなり過ぎていない今しかない気がする。


 よーし! クリスちゃんの為だ。俺が何とかしてみよう。


「クリスちゃん、残りの花柄のパンティーを俺に預けてみないか? 俺がちょっと女子寮へ行って、お花柄のパンティーを洗濯籠の中に放り込んでくるよ。」


 俺は自分の胸に拳をトン、と叩き、俺に任せろアピールをして事態の収拾を図る為に、俺が動こうと進言した。


「そんな!? 危険ですよ、今は女性兵士達がピリピリしていますから、きっと犯人に対して容赦しませんよ。もし見つかったら只では済みませんよ。」


「大丈夫、俺はプロだぜ。何とか気付かれずに女子寮に潜入して、パンティーを返してくるよ。大丈夫、俺に任せてみないか? 上手く事を運んで、この事態を終わらせるよ。俺に任せてみないか。クリスちゃん。」


 クリスちゃんは最初、申し訳なさそうにしながらも、自分でもこのままでは駄目だと思ったのか、俺に花柄のパンティーを四枚預けた。


 俺はそれを受け取り、懐に仕舞う。よっしゃ! 一丁やってみますか。


「お願いしますジャズさん。ですが、決して無理はしないで下さい。もし見つかったら、私の事を正直に話して下さい。いいですか。」


「ああ、わかった。だが、俺だってそう簡単に見つからない様にするつもりだから、きっと上手くいくよ。大丈夫。任せて。この任務、必ずやり遂げてみせるから。」


「よ、宜しくお願いします。ジャズさん。ですが、私が皆さんに正直に話して問題を解決した方がいい様な気がしなくもないですが、ジャズさんにお任せします。」


「ああ、任されて、じゃあちょっと俺、行ってくるよ。」


 さあ、目指すは女子寮。


 この四枚の花柄のパンティーを洗濯籠の中へ入れる。


 そして脱出する。


 この任務。やってみる価値はある筈だ。いくぞ!



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