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おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。  作者: 愛自 好吾


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第25話 休日の過ごし方は人それぞれ ④

 



 ぬいぐるみを見つけたはいいが、所々ボロボロだ。


 穴が空いていたり、糸が解れて中身の綿がはみ出ていたりで、中々スプラッタな事になっていた。


 このままこのぬいぐるみをあの女の子のエナちゃんに渡したんじゃ、きっと悲しむだろう。


 ガーネットがこちらへとやって来た。


「あちゃあ~~、これは酷いわねえ。このぬいぐるみで間違い無さそう?」


「ああ、多分だけど、犬が咥えていたんだ。ほら、エナちゃんの説明に犬にびっくりして人形を置いてきたって言っていたじゃないか、その関係で犬がこのぬいぐるみを咥えていたのかもしれなくてさ。確証は無いけど、ほぼ間違い無くこのぬいぐるみだと思うよ。」


 二人してボロボロになったぬいぐるみを見つめて、その場で立ち尽くしていた。


 すると、ガーネットが。


「ちょっと待ってて、今裁縫セット出すから。」


 そう言って、ガーネットはポケットから何かの小さなケースを取り出した。


「裁縫セット? そんなの持ち歩いているの? ガーネット。」


「冒険者ってほら、何処にでも出掛けるでしょ。服とかがあちこち汚れて穴が空いたりするのよ、だけど一々その程度で服を買い換えていたら幾らお金があっても足らないでしょ、だからこうして裁縫セットを持ち歩いて、いざって時に修繕できる様にしておくのよ。」


「なるほど、それでガーネット、このぬいぐるみは直せそうかい?」


「ふふん、任せなさい。少し時間が掛かるかもしれないけど、何とかやってみるわ。」


 そうか、ガーネットは裁縫が出来るのか。


 これは意外と女子力高いのではなかろうか? よく解らないけど。


「何だかガーネットばかりに頼んで申し訳無いけど、裁縫も頼めるかい?」


「いいわよ、ほら、そのぬいぐるみ貸して。」


 ぬいぐるみをガーネットに渡した。


 ガーネットはぬいぐるみをあちこち見ながら「ふむふむ」と呟いていた。


 裁縫セットから針と糸を取り出し、なんと一発で針に糸を通していた。


 手先が器用なんだな。


「ざっと見たけど、これはかなり時間が掛かるかもしれないわ、ジャズはしばらく待っていて。」


「わ、わかった、よろしく頼む。」


 ガーネットはその場に座り、チクチクと針仕事を始めた。


 これでぬいぐるみが直ると良いのだが。


 ガーネットを見ていると、何だか器用に仕事をしているので、つい一言言ってしまう。


「ガーネットってさ、女子力高くて生活力もあるよね、きっといい奥さんになるよ。」


「ごめんジャズ、今は話しかけないで頂戴。針仕事してるし手元が狂うから。」


「あ、ああ、ごめん。」


 そして、沈黙が流れる。


 うーむ、こうなってくるとやる事が無いな、ただブラブラするのも何だし。


 昼寝でもしようかな。


 いや、ガーネットが一生懸命やっている横で昼寝とか、大顰蹙だいひんしゅくを買うだろう。


 ふーむ、どうしようかな。


(あ! そうだ! 折角忍者にクラスチェンジしたんだから、忍者用の武具をショップコマンドを使って何か購入しよう。)


 早速隠しショップを開く為、メニューコマンドからショップを指でタッチする。


 実はこのやり方でもメニューコマンドは機能するのだ。


 よしよし、色んな武器や防具が売られているぞ。


 ランクの高い武具はショップポイントが高いが、そこそこの物なら50から100ポイント程度で買える。


 自分の忍者レベルはまだ5なので、そんなに高性能な武具じゃなくてもいい。


(さてと、まずは防具からいってみようか、忍者なんだから鎧とかじゃなく服系の忍び装束とかかな?)


 まず、忍び装束を買う事にした。


 装備スキルは「隠密LV1」のスキルが付くので、買って装備するだけで隠密LV1のスキルが発動する。


 忍び装束は80ポイントで購入可能だ。


 ちょっと高いが、折角忍者になったのだから、それに見合う装備が必要だろう。


 見た目もいいし。


(色はどうしようかな、紺色なんて良さそうだ。よーし、こいつを購入っと。)


 早速忍び装束を購入した。これで身体の装備は決まった。後は武器だな。


(ふーむ、忍者なんだから鉄の剣よりも、ここはやはり忍刀とか小太刀とかだよな。)


 何がいいかな? 風の小太刀、焔の小太刀、うーむ、こういうのは目立つな。


 あまり目立たない武器っていったら、うーん、ここはやはりいかずちの小太刀に決まりだな。


 見た目も普通の小太刀だし、50ポイントで買えるし、よし! 買ってしまえ!


 雷の小太刀を購入した。鞘と合せて50ポイントを消費したが、いい買い物だった。


(後はそうだな、投擲スキルがあるから、クナイとか手裏剣を投げる為にも、ココは一つクナイと手裏剣の十本セットを購入しよう。)


 ショップコマンドを使い、クナイと手裏剣を各十本ずつ購入。それを収めるウェポンホルダーも合せて購入。


 11ポイント使った。これで合計141ポイント消費した。


 うむうむ、忍者装備を購入したから、これで何時でも忍びとしてやっていけるぞ。


 まあ、レベルは低いが。しょうがない、これからこれから。


 早速新装備に着替える。うむ、悪くない。いいぞ。忍者かっこいい。


 形から入る訳だけど、これでいいのだ。本人のやる気なのさ。


 ショップの項目を見ていくと、何やらネタ的なアイテムもあったりする。


「銀仮面」という顔を隠すアイテムなんかもある。まあ、今は必要無いか。


 丁度その時、ガーネットに変化があった。


 何やら嬉しそうに「よしよし」と言っているみたいだ。そして遂に。


「できたーー! 修繕完了ーー! ああ、終わった。でもこれでばっちしよジャズ。………って、ええ!? ジャズ! 何その格好? 何時の間に着替えたの?」


 ガーネットが立ち上がり、伸びを一回して、こちらに言ってきた。


「ガーネット、修繕が終わったの? えらい! よくやってくれた! 今夜一杯奢るよ。」


「え!? 本当! 約束だからね。一杯奢ってね。」


「あんまり高いお酒は勘弁してね。」


 こうして、ぬいぐるみの修繕は完了した。


 後はこのぬいぐるみを持ち主に返しに行くだけだ。


「さあ、ジャズ。急いでミネラルさん家に向かうわよ。もう日も傾いてきたわ、急ぎましょう。」


「ああ、わかった。急ごう。」


 空き地を後にして、急ぎミネラルさん宅を目指した。


 向かっている途中、町の人達に指を差されて、「あ! 忍者だ!」とちょっとした噂になってしまった。


 まあ、いずれ慣れるだろう。


 ミネラルさんの家に着いた。玄関のドアをノックする。


 するとドアの向こうから「は~い」という母親の声が聞こえた。


 ドアがガチャリと開き、エナちゃんの母親が出て来た。


「え!? な、なぜ忍者がここに?」


「ああ、奥さん、違います、俺っす。冒険者です。」


「え? ああ! 冒険者さん、ちょっと待ってて下さいね、今エナを呼んできますから。」


 そう言って、母親は家の中へと入り、エナちゃんを呼びに行った。


 しばらくして、エナちゃんと母親が玄関に戻って来た。


 エナちゃんは元気に駆け寄り「わーたっくんだー!」と言っていたので、ぬいぐるみをエナちゃんに渡した。


 エナちゃんは嬉しそうにぬいぐるみを抱いて喜んでいた。


「ふう~、これで今回の依頼は無事解決かな?」


「まだよジャズ、ギルドカードを出して依頼主に指をタッチして貰うのよ。それで依頼達成になるわ。」


「あ、そうなんだ。」


 ギルドカードを取り出し、エナちゃんに優しく声を掛けた。


「ねえ、エナちゃん。僕達エナちゃんのたっくんを見つけてきたよ。このカードに指を押してくれないかな?」


「うん、いいよ、………はい。これでいいの?」


 ギルドカードを見ると「依頼達成」と表示されていた。これでいいらしい。


 ここで、エナちゃんの母親から「娘の為にご苦労様でした。どうもありがとうございました」とお礼を言われた。


「いいっすよ」と言いながらエナちゃんの方を見る。


「ありがとう、エナちゃん。じゃあ僕達もう行くね。じゃあね、ばいばーい。」


「ありがとうおねえちゃん、おじちゃん、ばいばーい。」


 はは、おじちゃんか、おにいさんじゃないのか。ちょっとへこむな。


 だがまあ、これで依頼達成だ。


 その後は冒険者ギルドへ戻った。


 受付嬢に依頼達成の報告をして、報酬の鉄貨一枚を受け取り、隣の酒場へと移動した。


 その頃には、他の冒険者達がぞくぞくとギルドに帰還していた。



 {シークレットシナリオをクリアしました}

 {経験点100点を獲得しました}

 {スキルポイントを1ポイント獲得しました}



 おや? 頭の中でまた女性の声が聞こえたぞ。そうか、何やらクリアしたらしい。


 そして、ガーネットが酒場の席に着きながらこう言った。


「ジャズ、約束覚えてる?」


「ああ、一杯奢るよ。何がいい?」


 ガーネットはウエイトレスに「蜂蜜酒ミードを二つくださーい」と大きな声で注文していた。


 お酒は直ぐに運ばれてきた。


「お待たせしました、ミード二つで銅貨三枚になります。」


 ウエイトレスさんに銅貨三枚を渡した。


 そして自分達の座るテーブル席の上に、ミードが置かれた。


 ガーネットも自分もジョッキを持ち、「かんぱーい」とジョッキを打ち鳴らした。


「んぐんぐ、ぷはぁ~、この一杯が堪らないわ。仕事の後はやっぱりこれよ。」


「うん、確かに美味いな、この蜂蜜酒ミード。」


「それで? どうだった? 初仕事は?」


「はは、正直ガーネットに頼りっぱなしだった事しか思い出せないよ。ホント、ガーネット先輩のお陰だよ。今日は手伝ってくれてありがとう。」


「ふふ、初日なんてそんなものよ。これからもよろしくね、ジャズ。」


「ああ、こちらこそよろしく、ガーネット。」


 こうして、お酒を飲みながら今日一日の幕が落ちようとしていた。


 休暇初日、まあこんなもんかな。


 女の子にお礼を言われるのは悪い気はしない。ニヤニヤしながらミードを味わうのだった。


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