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そこそこのモブゲーマーが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。  作者: 愛自 好吾


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第17話 軍靴の足音 ⑥

 



 今日で訓練も最終日だ、いつもの様に朝の軽いランニングをしている。


 それにしても、ジャズの体は若くていいな。


 日本に居た時は俺はおっさんで、もう体のあちこちにガタがきていた。


 走るのなんて論外だ、筋力トレーニングも続かないだろう。


 ところがジャズに転生して、痩せてある程度身軽になると、これがまた動けるのなんのって。


 若い体を得てなんだか嬉しくなってくる。若いって羨ましいなぁと思う。


 ランニングも終了し、一汗かいて呼吸を整えていると、リカルド教官がグラウンドに姿を現した。


「珍しいな、軍曹殿が遅れて来るなんて。」


「訓練も最後だからじゃないか?」


 そちらの方を見やると、リカルド教官がこちらに来いと手招きしていた。


「おおーーい、お前達ーー。集合しろおおーーー。」


 言われてすぐさま、軍曹の下へみんなで駆け寄る。


 自分達が最早先輩訓練兵となっている。


 先に卒業した先輩のオブライさんは既に二等兵となり、任務に従事している。


 今では自分達四人が先輩だ、自分達の後に二人新人が入隊してきた。


 その二人も集合する。


「よーし、集ったな。ニール達四人は今日で訓練最終日なのだが、今日の訓練は休みだ。お前等訓練兵は風呂掃除をしておいてくれ、以上だ。」


 教官の命令にニールが質問した。


「風呂掃除ですか? 教官殿、今日は自分達四人は訓練期間最終日なのですが、何があるのでしょうか?」


 この質問に、リカルド教官は言い淀む様な感じで言葉を発した。


「う~む、まあお前達にも関係無くは無い事か、言ってもいいだろう、実はな、先程伝令が来て、王国軍第一レギオンの兵士達が、ある任務を終えて王都へと帰還しているそうだ、その途中、物資補給の為にここ、クラッチ駐屯地へと立ち寄るそうだ。」


「アリシア王国軍の第一レギオン、ですか?」


「そうだジャズ、なので、おそらく疲れてやって来るだろうから、風呂の準備だけはしておいても問題なかろう、よって、お前達に風呂掃除をやってもらう。その後は兵舎で待機、いいな。」


「「「「 は! 」」」」


 風呂掃除か、突然の楽な仕事を回されてきて、何だか拍子抜けしてしまうよ。


 今までキツイ訓練ばかりだったからなあ。


「では、俺はこれからやる事が溜まっている、ここで失礼する。」


 そう言って、リカルド教官はこの場を離れ、司令官室がある建物の方へと向かった。


 ニールとリップが話し合っている。


「第一レギオンだってよ、すげーな。王国軍の精鋭部隊じゃないか、ここへやって来るのか。」


「第一レギオンってそんなに凄いの?」


 リップの質問に、ニールが興奮ぎみに答えた。


「何言ってんだリップ! 王国軍最高戦力だぞ! 第一レギオンが仕留めた大型モンスターの数々は最早もはや伝説になっているんだぞ!」


「そ、そうなんだ。ふーん。」


 第一レギオンか、確かゲーム「ラングサーガ」にも登場していたな。


 テキストデータだけの登場だったが。


 そこで、ルキノさんが皆を呼んだ。


「さあみなさん、早速お風呂掃除をしに行きましょう。いつ第一レギオンの方々が見えられるかわかりませんからね。行きましょう。」


 こうして訓練兵の皆は、兵舎の隣にある風呂場へと足を運ぶ。


 ここの風呂場は大きいんだよな。


 大勢の兵士が一同に入るから、大きく造られているんだろうけど。


 今日中に終わるかな?


 風呂場へと到着して、モップ、デッキブラシ、たわしを探して持って来て、水を出して床を磨く。


 浴槽もきちんと洗うのだが、汚れが酷い。ゴシゴシと力を入れて磨く、しかし中々汚れが落ちない。


「なあ、備品課へ行って洗剤を貰ってきてもいいのかな?」


「そうだな、ジャズ、貰って来てくれないか?」


「わかった。」


 自分一人、一旦掃除を止め、備品課がある別の建物へと行って、備品課の受付カウンターに着いた。


「すいません、浴槽を洗う為に洗剤が必要なのですが。」


 対応してくれたのは、備品課のマドンナ、クリスちゃんだ。


 年齢は17歳、金髪、碧目あおめ、ポニーテールとかわいい女の子だ。


「は~い、洗剤ですね、ちょっと待ってて下さい。今出しますから。………よっこらせ。」


 クリスちゃんは奥の棚から一つの瓶を取り出して、ラベルを確認し、カウンターまで持って来る。


「はいこれ、洗剤です。この用紙に名前と部隊名と使用目的を書いてください。」


「はいはい、これね。」


 用紙にジャズ、訓練兵、風呂場の掃除、と必要事項を記入して、洗剤を受け取る。


「ありがとうクリスちゃん、お仕事頑張ってね。」


「はい、どうもです。」


(かわいいなぁ。ぺこりと会釈するところがまた堪らん。)


 名残惜しいが皆が風呂掃除を頑張っている。早く戻らねば。


 と、そこで入り口から入れ替わる形で一人の女の子が入って来た。


「あ!」


「え!?」


 なんと、その女の子は以前ポエム山賊団に捕まっていた少女だった。


「あ、その節はどうも。」


 俺が軽く会釈し、相手の少女も会釈した。


「よかった、無事みたいだね。」


「はい、あの、ありがとうございました。ちゃんとお礼も言えずに。」


「気にしないで、自分がすべき事をやっただけだから。」


 よかったよかった、あの子が無事で。ここに居るって事は軍でお仕事をしているのかな?


「備品課で働いているの?」


「はい、家族はもう………。なので、一人で生きていかないとならないので。」


 偉いなあ、こんなまだ幼さが残る少女が。


「がんばってね、あまり無理しないようにね。」


「はい、ありがとうございます。ジャズさんも。」


 うむうむ、素敵な出会いを経験し、また一つ青春の1ページが増えた。


 洗剤の入った瓶を持って、風呂場へと戻る。


 風呂場へと戻ってきて、早速洗剤を浴槽に掛ける。


 下の面をデッキブラシでゴシゴシと磨き、横の方はたわしで力を入れて磨く。


 これが中々大変な作業だ。


 風呂掃除って日本でも大変だったなあと思い出す。


 全身泡だらけになりながらも、何とか浴槽の汚れを綺麗に磨き終える。


 後は水の出る蛇口をホースみたいな道具に繋いで、ただ水を掛け流すだけだ。


 この蛇口も一応魔道具らしい。


 ふう~~やれやれ、なんとか今日中には終わったか、心地よい疲れが全身を包む。


 体も服も泡だらけだ。洗濯してもらわないとな。


 タオルで服の上から体についたを泡を拭き取り、一旦風呂場から出る。


 その後はそのまま兵舎へと向かう。


 着替えの軍服を持って兵舎内にある生活衛生課へと足を運び、服を脱いで、新しい服に着替える。


 汚れた服を生活衛生課の人に「お願いします」と言って預け、洗濯して貰う。


 これで一段落といったところかな。


 体が泡でベトベトするので、皆はまず先に風呂に入ろうという事になり、風呂場へ戻る。


 するとそこには。


「やあ、お風呂掃除ご苦労様。今浴槽に湯を張ったばかりだから、もう少ししたら君達もお風呂に入れますよ。」


「これはコジマ司令! コジマ司令官殿に敬礼!」


 皆は慌てて敬礼をする。まさかここにコジマ司令がいるとは思いも寄らない事だった。


 しかも風呂桶に湯を張ってくれていたとは、本当にコジマ司令は腰が低いなあ。


 いい人ではあると思うが。


「楽にしたまえ、君達が泡だらけだったところを見ていたからね、身体も洗いたいんじゃないかと思ってね。」


「は! ありがとうございます! コジマ司令官殿!」


「私はこの基地に向かっている第一レギオンのみなさんを出迎えねばなりません、風呂に入るなら急いで入って下さい。では、私はこれで。」


「お疲れ様でした! コジマ司令官殿!」


 コジマ司令は風呂場を出て行った。


 ビックリした。いきなりこの基地の最高司令官が風呂場にいるんだもんな。


「コジマ司令も仰っていたな、早速風呂に入ろう。」


「「「 賛成。 」」」


 皆は服を脱ぎだし、素っ裸になって風呂場に入る。だが。


「ちょ、ちょっとリップ! なにしてんの!」


「何って? あたしも風呂に入るのよジャズ。」


「そうじゃなくて! お前女だろう! 俺達男が入った後に入れよ!」


「嫌よめんどくさい。それに体中泡だらけでベトベトするんだもの、あたしも一緒に入るからね、あんた等の粗末なモノなんて見ても何も感じないわよ。」


「お、お前なあ! それでも女かよ!」


「なによニール? もしかして恥ずかしがってるんじゃない?」


 なんて事だ、リップも一緒に風呂に入るつもりらしい。


 何と言うか、リップはたまに男気があるところがある。恥ずかしくないのかな?


 チラチラとリップの裸体を見ていると、リップから睨まれた。


「ちょっとジャズゥ、何じろじろ見てんのよ。一応あたしも女なんだからそりゃあ恥ずかしいに決まってんじゃない。あまり見ないで頂戴。」


「あ、ああ、すまん。」


「へへへ、ジャズ、こいつ胸はあるけど色気はねえよな。」


「黙りなニール!」


 それからはあまりリップの方を見ないようにしながら、自分の体を洗い流し、湯船に浸かる。


(ああ~~、気持ちいい。いい湯加減だなあ、こりゃあ。)


 皆で風呂に入って汚れを落とす。ホント、いい湯加減だった。


 風呂から出て、リップの方を見ると、顔は少し上気していてほんのりと赤くなっている。


 なんだか色っぽい感じになっていた。湯上り美人ってやつかな。


 風呂を出た皆は兵舎へ戻り、一応待機と言い渡されているので、そのままベッドで待機となった。


 もう日も傾いてきていた。訓練最終日はこうして幕を下ろそうとしていた。



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