伝えたかった事は
もう、十年以上前
職場で出会って半年ほどして
ねぇ、連絡先教えてよ!
照れた笑顔で
突然そんなことを言われた
ふっはぁ!?
まだ二十歳にもなってないあの子からまさかこんなおじさんにそんな事を言ってくるなんて思ってもみなかった
清掃仕事をしてた事もあり後ろから急に言われて変な返しになってしまう
知り合って三ヶ月くらいは会話らしい会話もない
こっちは歳もかなり離れたおじさん
たまに当たり障りのない程度の事を
話すくらいの関係
若い子が苦手で、いや仕事以外では
話したこともないんだけども
そんなにも気にも止めてなかった
初めからあの子は俺にタメ口
なんで?なめられているのか?
はじめは少しイラッとしたけど
今の若い子はこんな感じなんだろうと
思って接していた
慣れてくるとタメ口が新鮮で
心地よかった
同時期にバイトで同じ会社に入る
自分より仕事もテキパキでき
明るくてコミニケーション力もあり、
少しヤンチャな感じでしかも可愛い
男性社員達からそりゃモテモテ
ご飯に誘われたりくどかれてるのも
遠目にたまに見てたり本人から自慢げに聞いてた
ごはん誘われたっちゃんね〜
よかろう?うらやましい?
まぁ、君もがんばりたまえ!
はっはは!!
もちろん羨ましい
でも仕方がない事
あーそうですか
よかったですねぇ
そう返すのが精一杯
本当は少しショックだった
男ばかりでむさ苦しい前の職場
会話はパチンコ、麻雀と賭け事の話ばかり同僚とは会話もなく
すぐに帰宅してネットゲームしてた
数年で辞めた
そして今の会社
人生ではじめて若い子と少しずつ、
本当に少しずつだけど話せるようになり楽しかった
二人で倉庫の清掃していると後ろから
ねぇ、連絡先教えてよ!
ふっはぁ!? 何?
電話番号言うから登録してよね
めんどくさいなぁ
はっきりと聞こえてたけど
でも、すぐにニヤけそうになる自分を
抑えて気持ちが悟られないように
よくない感じに答えてしまった
すごくうれしかったのにね
そういえばしばらくして車の中で
何故か急にあの子に
私の事好きなくせにー!
って、何気ない会話中にいきなり
爆弾投げてきた
その時は本当に否定するのに
アタフタして言葉にならなかった
後にも先にもあんなにも頭の中が
真っ白になった事はない
今なら
どうしてわかった!?
え?もう、付き合ってたと思ってた!
くらいの冗談は言えたのにね
この時はこんなに仲良くなれるなんて思わなかった
こんな若くて可愛い子から電話番号なんてうれしいやろ?
自分で可愛いって言う!?
可愛いからあたりまえやん!
そんな会話のやり取りがドキドキして
楽しかったのを今で覚えている
連絡先交換したって連絡なんて
ほとんどしなかった
こちらから連絡なんて恥ずかしく出来ないし何を話していいかも分からない
まぁ、こんなもんだよな、て
自分に言い聞かせて諦めてた
もうすぐ出会って1年近くなろうと
した頃に問題が起こった