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年上として

「ほらっ!! 今その話をしても仕方のない事でしょうっ!! シャーリー様も旦那様も逃げ出す時は逃げ出す時に考えれば良いのですっ! それよりもシャーリー様は長旅で疲れていらっしゃるでしょうから先にご飯を食べて、お風呂に入り今日の所は寝てしまいましょうっ。詳しい話は翌日に回して、今日は旅の疲れを取る事が先決ですっ。疲れていては頭も回らないでしょうしねっ!! ほらほらっ」


 そして少しだけ気まずい雰囲気になった所でミヤーコが『パンパンッ!』と手を二回たたくと、これからの話は翌日に回して今日は長旅で疲れた身体を癒すことに専念しようと、強引に私とソウイチロウ様の背中を押して部屋から追い出し、食堂へとそのまま案内してくれる。


 食堂に着くと、既に使用人たちが揃っておりテーブルに座って待っていた。


 ソウイチロウ様やミヤーコもそうなのだが、皆見慣れない衣服を着ており、この場所だけみると私だけ異質な感じに映ってしまい、元から肩身が狭いのがより一層そう感じてしまっていたところ、


「ふむふむ、見た感じ高校生くらいでしょうか? 旦那様……衛兵を呼んで来ましょうか? あ、こちらの世界では十四歳から成人という事は警察を呼んできた方が良いですかね? 可哀そうに、怯えているじゃないっ」


黒い髪をショートカットにしていてお転婆そうな私より少し年下くらいの、恐らくミヤーコと同じ衣服を着ている所から見てもメイドであろう女の子がソウイチロウ様に対してまるで犯罪者だと言ったかと思うと、私にギュッと抱き着いてくるではないか。


 流石にいちメイドが雇用主であるソウイチロウ様へこのような事を言って大丈夫なのか? 


 ここは年上としてちゃんと指摘してあげるべきなのだろうか?


 などと思っていると、件の女の子は『お人形さんみたいで可愛いっ!! 旦那様には勿体ないっ!!』と言いながら私の頬に自らの頬をすりすりして来るではないか。


 そんな彼女に対して私は困惑しつつも、まるで猫みたいで可愛いと思ってしまう。


「大丈夫だからね? お姉ちゃんがあの変態から守ってあげるかねっ!!」

「…………え?」

「え…………?」


 そんな彼女が、私の事を年下だと思っている事に驚き、思わず口にその戸惑いが出てしまったようである。


「まったく、杏奈のせいでシャーリーさんが困惑しているじゃないのっ!!」

「痛っ!?」

「お前はもうすぐ二十歳になるというのにいつになったら落ち着く事ができるんだか……」

「うるさいなぁ……私の落ち着いた大人の色気でノックアウトしてその言葉絶対に謝罪させてやるんだからっ!! あ、そういえば自己紹介がまだだったねっ! 私は山田杏奈、あ、山田が苗字で杏奈が名前ねっ! そして今月二十歳になるピチピチの大学生で、あそこのロリコンにメイドとして屋敷の掃除やら何やらのバイトをさせられていますっ!!」 

「わ、わざわざありがとうございます……っ。私はシャーリー・フェルディナン・ダルトワ……いえ、ここへ嫁いで来たのですからシャーリー・フェルディナン・シノミヤですね。 そ、それで……えっと、アンナの年齢がもうすぐで二十歳というのは本当ですか……?」

「そ、そりゃ平均よりも身長は低いし、胸もそこまで大きくはないけど、もうすぐで二十歳というのは本当よっ! あぁー、でも確かに西洋人からすれば日本人は若く見えるみたいだしねっ!」


 そしてヤマダ・アンナはミヤーコと旦那様から叱責されるもどこ吹く風といった感じで私に自己紹介をしてくるのだが、私は彼女の年齢を聞いて何かの間違いではないのかと再度確認をするのだが、彼女からは肯定する返事が返ってくるではないか。


 まさか年下だと思っていたアンナが私よりも五歳も年上だなんて、あの見た目で誰が分かるというのか。


「あっ!! まさかシャーリーさん私の事を年下だと思っていたでしょうっ!? 表情に出ているからねっ! そういうシャーリーさんの年齢は何歳なのよ!?」

「うっ、も、申し訳ございません。 私今年で十六、今現在は十五歳です……」


 そしてどうやら私はアンナが思っていた以上に多く歳を取っている事に驚いていのが表情に出てしまっていたようで、それがアンナにバレてしまったようである。


 言い訳すらできないと判断した私は素直に謝罪をして、自分の年齢をアンナに教える。


「はぇー……もしかしたら十八歳くらいかもと思っていたんだけど、やっぱり日本人と違って大人びて見えていたのは当たっていたわねっ!! とりあえず、私のほうがお姉さんなのだから困った時はいつでも頼って良いからねっ!! 例えばあそこにいるロリコンに押し倒されそうになったとかっ!!」

「……いい加減にしろ」

「痛いっ」


 アンナは私が年下であると分かるといつでも頼ってくれて良いと言ってくれた後に余計な一言を言ってソウイチロウ様に頭を叩かれてしまう。


 その一連の流れで周囲に笑いが起き、私もその楽し気な雰囲気に当てられ少しだけ不安が消え、この家に来る前よりかは大分楽になった。


 そしてその事はアンナにはお見通しであったようで『どう? 緊張は、少しは解けた?』と声をかけられたので、首を小さく縦に振って返事をすると『良かった』とアンナが呟いているのが聞こえた。


 この流れに乗じて私は食堂にいる使用人たちへと自己紹介をして『ぺこり』と頭を下げると、皆笑顔で拍手をしてくれ『ようこそ四宮家へ』と私を迎え入れてくれ、各々の自己紹介が五分ほど続く。


 今まで王国の妃として厳しい教育下で暮らして来た私は、皆のその優しさが胸に染みわたり、温かい気持ちがじわじわと胸いっぱいに広がってくる。


続きが気になる、面白いと思った方は評価とブックマークをしていただけると嬉しいですっ!!(*'▽')ノ

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