男なのに・・・
今日本で有名な、ものすごく有名な歌手がおりました。
それは2人組みのユニットで、どちらとも女の子です。
・・・・・外見は。
そのうちの1人、ゆーき(芸名)は正真正銘の女の子。
でも、もう1人のさくや(本名)は、実は、男の子です。
ニューハーフ?
いえいえ。フツーに男子校生です。
2人でユニットを組んで、もう3年になりますが、未だに誰も気付きません。
というか。
なぜこんなことになったのか。
それは、ゆーきが面白半分でさくやに自分の中学生の時のセーラー服を着せ、写真を撮り事務所に送ってみたところ、受かってしまったのです。
そのあとに事務所さんに「ウソです」なんて言えるはずもなく・・・。
2人でユニットを組むわけになったのです。
ゆーきはもう18歳。もうすぐ卒業です。
さくやはまだ16歳。新1年生です。
さくやは幸い変声期が来ないし、細いし、顔は中性的だったので、未だにバレません。
いつかはいつかは・・・とか思いながらも、こんなに有名になってしまったからには何も言えず・・・。
さくやの正体を知っているのはゆーきとお互いの家族だけなのです。
この前家で、さくやはこんなことを言われました。
「さくやぁ、もうそろそろ言ったらどうなの?」
「誰に? 何を?」
「自分が男だってことを、事務所とかファンの皆さんに」
「ムリだよ。ぜってームリ」
そう言い返し自分の部屋へ行きました。
彼はベッドに思い切り飛び込み、大きなため息を漏らしました。
どうせ言わなくてはならないのです。
もうすぐ彼にも変声期がきて、体格も男性らしくなっていきます。
今の芸能界が死ぬほどイヤというわけでもありません。
先輩方とのお話や、ゆーきと一緒に歌の練習をするのも楽しいのです。
でも。
高校生の友達や、普通に男の子として生きたいという気持ちもあるのです。
できれば、男としてデビューしたかった。そう思うことも度々あるのです。
彼の中には2人の自分がいます。
1人はこのまま芸能界にい続け、バレてしまったらそのまま引退する決意を持っている。
もう1人はすぐさま芸能界を引退し、男としての浅春を送りたいと思っている。
2人の人格は、どっちにしろ彼自身。
選ぶのは彼。
これからどうなっていくのでしょう?