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妹大好き姉の内緒のお手伝い  作者: 蔵河 志樹
第六章 アニスとシズア、火の山に赴く
138/303

6-17. アニスとシズアは試練の門を開きたい

試練の門のなんちゃって再現をブログで公開しましたので、よろしければお試しください。


●小説「妹大好き姉の内緒のお手伝い」の第六章試練の門の再現

https://tsuretsu.blogspot.com/2024/03/blog-post_10.html


「ねぇ、シズ。次どうする?」

「ちょっと待って。頭を整理するから」


シズアは手元の紙を眺めながら、懸命に頭を回転させる。

そこには、次のように書かれていた。


1234 : 1-1

1111 : 0-0

2222 : 1-3

2561 : 1-1

2460 : 1-1


これまで試してきた結果だ。

四つずつ並んだ魔石のうち下二列については、一回試すごとに順番に一つずつ消えていくので、残り回数を表しているものだろうと見当が付いていた。


最初、下二列の八個とも点灯していたが、五回試した今は、最下行の左側三つだけが残っている。

なので、試せるのは後三回。


そして、これが数字当てなら、上二列は答えに近付くための手掛かりを示している筈。

2を四つ並べた時の結果から、最上列は位置が正しい数字の数、二列目は位置は間違っているが、答えに含まれている数字の数だろうとシズアは推測していた。


なので、1は含まれず、2は含まれているのは確実。

3と4はどちらかが含まれていて、5と6もどちらかが含まれている。ならば、7と0もどちらかが含まれていなければならない。


それが四回目までで確かめられたこと。

それで、まずは偶数のみで試したのが五回目だ。結果は4、6、0のどれか一つだけが含まれている。


「どうしよう」

「悩んでるね?」


「可能性が色々とあるから。ねぇ、アニー、4と6と0のどれが当たりと思う?」

「えっ?私に聞くの?分かんないよ、全然」


慌てたように首を横に振るアニス。


「分からなくて良いの。(かん)で」

「勘?んー、だったら6かな?」


「なら、2376でお願い」


4と0が違うなら、必然的に3と7が合っていることになる。アニスの勘が正しければ。


アニスがダイヤルを回し、『確認』(ボタン)を押す。


「あ、一番上が二つ光った、その下も二つ」

「アニー凄い。当たりよ。これで四つの数字が分かった」


シズアは「2376: 2-2」の一行を紙に書き足した。


四つのうち、二つは位置も合っている。

最初に試した1234では一つ合っているが、それが2なのか3なのか。

仮に2の位置が合っているとすると、3の位置が違う。


その前提で四番目の2561と五番目の2460を見ると、2の位置が間違っているのだから、6が正しい。となると、後は3と7を適当に配置してみる。


「7263で」

「おけ」


シズアの言われた通りにアニスは試すが、その結果に首を傾げた。


「全部場所が違う?」

「え?」


とシズアは紙を見直し、六番目の2376の結果が反映できていなかったことに思い至る。


「しまった。二箇所合っていたのに、四つとも場所を変えてた」


思考していたことの矛盾に気付けず、肩を落とすシズア。


「シズならできるって。てか、一発で当てちゃうつもりなの?」

「そうしたいところだけど、後一度だから分からないわね」


「別に間違っても気にする必要無いよ。まだ日暮れまでは時間があるし」

「そう言って貰えると助かるわ」


気を取り直し、シズアは紙を見直す。


つまりは、最初にやった1234の2の位置が正しいと言う仮定は成立しないので、2の位置が間違っていて3の位置が正しい。

四番目と五番目の6の位置が間違っていて、2が正しい。


「2637かな?」

「それで良い?」


「良いと、思う」


だが、結果は二つの位置が間違っている、だった。


「ううっ、よく考えれば2736だと分かってた筈なのに」


八番目でも間違いを冒したことに気付き、シズアは打ち(ひし)がれる。


「気にしても仕方が無いよ。もう一回やろう?ところで、この光り方、何か意味あるのかな?」


これまでの法則とは違う場所の魔石が光っていることにアニスが首を傾げる。

一番下の列にある四つの魔石は消えているが、上の三列の魔石がバラバラに光っているように見えるのだ。


「それは、答えを表しているのよ。一番下の列は意味がなくて、下から二列目が1、上から二列目が2、一番上が4の値ね。で、一番左は上から二列目だけが光っているから2、左から二番目は三つとも光っているから7、その隣が3、最後が6。分かる?」

「そか、ちゃんと答えを教えてくれるんだ。親切だね」


嬉しそうにアニスが見ると、シズアは頷いた。


「推測が正しいことの裏付けにはなるわね。でも、実は一つ大きな仮定があるのだけれど、それが正しいかは分からない」

「どんな仮定?」


「答えの中に同じ数字が二つ以上含まれないこと」

「あー、そか。それは確かめようが無さそうだね」


「ええ。そう言う問題にぶつかったら不運と思うしかないわ。ともかく、アニーの言う通り、もう一回やりましょうか」

「おけ」


暫くしてから光った『始め』の(ボタン)をアニスが押して、二回目に入る。

シズアが考え、それをアニスが確かめていく。

だが、健闘むなしく、また失敗してしまう。


「うぅ」


シズアは唸りながら書いた紙を眺める。


1234 : 1-1

1256 : 1-2

1567 : 2-0

3256 : 0-2

1642 : 2-1

1452 : 2-0

1362 : 3-0

1360 : 2-1


「最後にどうして2を切り捨てちゃったかなぁ」


答えは1062。

改めて見返してみると、七度目で3が正しいと錯覚してしまったのが敗因だと分かる。

回数を重ねると、どうも頭の中がこんぐらかってきていけない。


「もっと早いうちに決着を付けないといけないわね」


段々と不甲斐ない自分に腹が立って来るが、ここで諦めるつもりは勿論無い。


「シズ、次に行って良いかな?」


不機嫌そうな表情のシズアに対し、遠慮がちにアニスが問い掛ける。


「え、あぁ、良いわよ。アニー、お願い」


返事をした時のシズアは普通の様子だったので、気にし過ぎだったかなと思いつつ、アニスは再度『始め』の釦を押す。


最初はいつも通りに1234で試し、最上列が一つに、二列目も一つ。

次に2561を試すと、最上列が二つに、二列目も二つ。


「あれ、これ行けるんじゃない?」


二度目にして四つとも分かったのだ。これなら当てられそうに思える。

アニスが期待を込めた視線をシズアに向けると、シズアも微笑んでいた。


「私もそう思うわ」


1234 : 1-1

2561: 2-2


1と2は最初の位置で、どちらかが合っている。

仮に1が正しい位置だったとすると、二回目の2は間違った位置だし、1も違う。つまり、5と6は合っている。

なら、次に試すのは。


「1562でお願い」

「はーい」


もし、初回で2の方が正しければ、二回目の2と5の位置が間違っていることになり、5261が正解になる。

いずれにしても、四回目で正解できる筈。


そう考えれば少し気が楽になるが、それでもこれで当たっていて欲しいと願いながら結果を待つ。


いつもの待ち時間を経て、アニスが『確認』釦を押した結果は。


「おー、当たったよ、シズ」


三度目なので、外れていればすべてが点灯したままとなる筈の最下行がすべて消え、上三列に答えが表示されていた。

それに合わせて、扉の鍵のカチッと開いた音がする。


アニスが把手を持って手前に引くと、扉が開いた。


「やったね、シズ。これで試練の道に進め――あ」


扉の向こうを見たアニスが固まる。

そしてシズアの方に振り向く。


「シズ、何かもう一つ扉があるんだけど」

「あら、なかなか簡単には通してくれないのね」


二人は二つ目の扉の前に進む。


「今度は魔石が横に三列しかないね」

「となると、四回以内に当てないといけないってことかな?」


「やってみる?」

「ええ、やってみないと始まらないし」


前の扉と同じように魔力を籠めるところから始め、『確認』釦が点灯したところで、それを押す。

すると十二の魔石があちこち点滅した後、最下列を残して消えた状態となる。


「あれ、一番下の列、全部が点いてないよ」


アニスの言葉通り、最下列の橙の灯りが左側二つしか点いていない。

それはシズアにも見えている。


「四回どころか、二回で当てないといけないとは大変そうね」


先程は三回で当てたが、それも運が良かったからだ。


「でも、これができなければ先に進めないんだから、やるしかないわ。アニー、さっきと同じように1234から試しましょう」

「うん」


アニスが試し、結果を見る。


「1と1だね」


つまり、一つは位置が正しく一つは位置が正しくないが含まれている。


「流石にこれで次を当てるのは厳しいかな。さっきの答えの1562で試して貰っても良い?」

「勿論」


ある意味、前回の正解で願掛けしたようなものだが、残念ながら祈りは通じなかった。


「ねぇシズ、これ、答えかな?1360って読めるけど」

「そうだと思う。問題の解き方は同じようだけど、前と同じにやってもできそうな気がしないわね」


「どうする?」

「それでもやるしかないわ。アニー、続けて」


「おけ」


それから二人は何度も二つ目の扉の問題に取り組んだが、扉を開けることはできず仕舞いだった。

ただ、やっていて分かったのは、試せる回数が毎度変わると言うこと。

四回試せることもあれば、一回しか試せないこともある。


だが、それが分かっても問題が解けるようになる訳でもなく、十回失敗して十一回目に取り組んでいる途中で魔石がすべて消えてしまう。


「あれ?どゆこと?魔力切れ?」

「いえ、時間切れだと思うわ。暗くなって来ているから」


「あー、そか。もう街に戻らないといけないんだ。続きは明日ってことだね」

「ええ、街に戻りましょうか」


二人は門の中に入る際に兵士に教えて貰った横の扉から隣の通路に出て、街の方へと歩く。

そして、門の前の広場に出た。


と、その広場の一画に佇む集団が、自分達に目を向けていることに気が付いた。

何となく見覚えのある人物がいるような。


そう考えていると、その集団にいた女性がつかつかとアニス達の前にやってきた。


「やっと追い付けた。今日、試練の門に入った冒険者がいるって聞いたからもしかしてと思ったけど、やっぱり貴女達だったのね」


女性は腰に手を当て、ホッとしたような表情をしている。


「あの、どちら様でしたっけ?」


アニスが問うと、女性は険しい表情で前屈みになった。


「ダリアよ、ダリア。貴女達に推進板の賭けを持ち掛けられたダリアよ」

「あー」


随分前のことではあるが、確かにそんな話があったなと辛うじて記憶を掘り起こしたアニスとシズアだった。


アニス達とダリアの再会は、第三章以来だったでしょうか。


試練の門は手強いですね。実際、どれくらいのものか試してみるためにブラウザ上で動く物を作ってみまして、まあ、大丈夫そうとの感触は得ております。


皆さんにも試していただければ良かったのですが、ブログへの掲載方法が分からずで、残念ながら断念しました。ごめんなさいです。



(2024/3/10 12:18追記)

試練の門のブログ上での再現について、再度試したら、できました!!


と言うことで、前書きにURLを記載してます。


完成度を追求していないため、「なんちゃって再現」と呼んでますがご容赦を...。

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