夢ゴコチ
おいおい、さっきからずっと見つめられちゃってるよ。
星が見たいって言うから軽い気持ちで誘ったけど、こりゃちょっとまずくないか?
おいおいおいおい、脚、組みなおしたぞ。
うっわぁ、太ももが…。
オレは見かけよりもその気になりやすいのに。
や、やばい…。
どうしても目がいっちゃうよ。
う、運転できねー。
―あっ。
ほら、オレの中の悪魔が顔を覗かせちゃったよ。
「今日はいちだんと素敵だね」
―って、言ってる場合か?
みろ、彼女、満更でもなさそうにうつむいちゃったじゃん。
しかも意識するからか、会話がはずまねえし。
どうする?
なあ、どうするよ、オレ。
おおー、なんかドキドキしてきたー。
―も、もう、いっちゃうか?
いくとこまで、いっちゃうか?
―やっ、やばい、顔が…。
あっ、あああああー、天使が離れてくー。
「着いたよ」
「今、ルーフ、開けるからね」
う~ん、甘い香りが…。
夜風までが俺を誘ってるよ。
「―ほら、綺麗だよ」
って、もうオレ、星どころじゃねえし。
彼女もせっかくの星空なのに、うわの空になってんじゃん。
「今夜は君を離さないよ」
「もっと深く知り合おうよ」
「そうしたら、もっと遠くへ連れていけるんだけどな」
くわー、こんなチャンスもう二度とこないかもしれないのに、こんなセリフしか言えねえのかよオレは。
―え? お、OK?
ほ、ほんとに?
―こっ、これは、凄いことになってきたぞ。
すっ、すげーぞ、おい。
こんなこと初めてだ。
―ゆ、夢じゃないよな。
じゃ、じゃ、じゃ、じゃ、じゃあ、今夜は甘い一夜ってわけだ。
うおー、もうすでに爆発寸前だー。
―え?
あ…。
な、なんで?
―そんな…。
―お帰りなさい、天使さん。