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小さなラブソング
あなたは私を抱いて波打ち際まで歩いていってね。
私はあなたの耳もとに、優しくささやくの。
“愛してる”
って。
そして空が赤く染まったら、
海からの風に、あなたと渚のテーブルにたたずみたいな。
指きりしてね。
「いつまでも一緒だよ」
って。
もしもあなたがギターを弾いたなら、私は歌うの。
想いをこめたあなたへの歌を。
二人で夢みてた、南の海の島。
あぁ、なんか幸せだなぁ。
小さな窓に映る微笑み。
その向こうに彼の横顔。
え?
不意に、彼女の手に彼の手がそえられた。
振り向くと、笑顔があった。