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DEPARTURES






 ゲレンデに雪がちらついた。


「わあ、ねえ、見て」


「空は青いのに雪が降ってきたよ」


 僕の横で彼女がはしゃぐ。





 神立は何度も来ている。


 彼女とのペアリフトもこれが初めてではない。


 でも、こんなに鼓動が強いのは、ここに僕と彼女の二人だけだから。


 もう、前を見ても振り返っても、仲間の顔はない。


 リフトに乗るたびにジャンケンをする必要もない。


 出会ったその瞬間に、僕は彼女を好きになり、でも、結果を恐れて距離を置いた。


 彼女が僕を好きだとも知らずに。



 だから、これが初めてのペアリフト。





 同じシュプールを描く。


 雪をかけあう。


 これからは二人だけ。



 これからは、ずっと一緒。


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