表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/7

2話


「カロリーナ! 貴様がユリアに対しておこなった数々の虐め、まことに許しがたい!!!

教科書を破り捨て、私物を盗むだけでは飽き足らず、階段や噴水にワザと突き落とすなどの非情な行いの数々! そのうえ先週は町のならず者たちを嗾けて襲わそうとする始末!

このような犯罪者を私の婚約者にしておくわけにはいかん!!!

今この時をもって、私、ヨーゼフ・フォン・ハントは貴様との婚約を破棄する!!!」


随分唐突な宣言です。


我が国だけでなく、周辺諸国の王侯貴族も出席されている場で、このような宣言をして彼は大丈夫でしょうか?外交や貿易に支障が出る、というレベルではない事を理解しているのでしょうか?今更、無かった事には出来ませんよ?


「そうですか、では了承してさしあげましょう」


婚約破棄を認めて()()()()()ので、一刻も早く婚約破棄の手続きをとらねばなりません。


踵を返そうとすると、


「待て!!!」


待ったがかかりました。


ヨーゼフ殿下が何故か呼び止めたのです。


「貴様、何を無視しようとしている!」


無視?

なんの事でしょう?


「話の途中だぞ!」


あら?

まだ何か話す事があったのですか。

まあ、一応聴いてさし上げましょう。


「ユリアに謝れ!」


あらあらあら。

随分な世迷言を仰いますこと。


「何を謝る事があるのでしょう?」


本当に謎です。


「ひ、ひどいわ!カロリーナ()()!!! 私にあんなに酷い事をして謝らないなんて!!!」


この少女がヨーゼフ殿下の恋人ですか。

綿菓子のようにフワフワした髪に、タレ目気味の目、ぷっくりとした桃色の唇。庇護欲を誘う美少女ですね。


「あ、あなたが謝ってくれたら、わ、私は許しますから!!!」


何の事でしょう?

謝る?許す?仰っている意味が分かりません。

それ以前に、私は貴女など知りません。話した事もないでしょうに。



「お前のような悪魔の如き女にも情けをかけるユリアの優しさに感謝する事だな!」


「貴様の悪事もこれまでだぞ!正義は必ず勝つ!我々の正義の鉄槌を受けるがいい!!!」


「おやおや、だんまりですか?御自分の分不相応な態度を漸く改めなければならない事を理解できたようですね。もっとも、今更改心した処で遅すぎますよ」


「残念でしたね。貴女が関与したであろう証拠の数々はこちらで握っているんです」


「言葉もないようだな!当然だ!我々は帝国の未来を背負うのだからな!」



妙な事を言い出し始めましたが、側近達の躾はキチンとしてくださらないと困りますわ。

まあ“あの主にこの従者あり”といったところでしょうか?主人に似てしまったのでしょうね。ご愁傷様です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ