2/90
Prologue 不死者の少年
少年は狂うしか無かった。
不死者として────
一人の科学者として────
とある女性の思い人として────
とある男の親友として────
幼き日のハルネ・ハーネストは狂い、狂い、そして何かが壊れてしまった。
木の枝の様にポキリと、彼の心は折れてしまった。
少年は狂うしか無かった。
最愛の人を失ったあの日から────どうしようも無くこの世界を恨んだあの日から。
そして彼は人の侵してはいけない禁忌に触れてしまった。
────1888年×月×日 イギリスにて