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その9 ~ゲーム本編~

※こちらはカドゲ・ボドゲカフェ企画の参加作品となります。

全部でその10まであります。本日6/15はその7からその10までを投稿します。

その4からその6までがゲームのインスト、その7から実際にゲームが始まります。

それでは最後までどうぞお楽しみくださいませ(^^♪

「負ける? どうしてだよ?」

「ブーリン兄ちゃん、一つだけ見落としていることがあるんだよ。……オオカミトークンは、動かせるだろう? そしておれたちの建てた家を壊すことができる。つまり、ワオンの点数は14点で止まるわけじゃないんだ」


 ウリリンの言葉に、プリンはもちろん、ブーリンの顔からも血の気が引いていきました。


「あ、あ、そうか……! でも、でもよ、わしが猟師トークンを手に入れたみたいに、お前かプリンが10軒建物を建てて、猟師トークンを手に入れたらいいじゃないか!」

「いい考えだけど、ワオンがそれを許すと思う? 今、プリンが5軒でおれが3軒建物を建てている。だから、最速で猟師トークンをもらうには、プリンがあと5軒家を建てないといけない。……つまり、あと5ターンもかかるんだよ。だけどさ、その間にワオンがプリンの家を壊したら、プリンが10軒建物を建てる前に、おれたちの負けになってしまうよ」


 ウリリンが熱っぽくしゃべるので、ブーリンの顔がどんどん険しくなっていきます。プリンもおろおろしながら、フィールドとウリリンの顔を交互に見ます。


「でもさ、それじゃあいったいどうすればいいの? このまま負けるのをじっと見てるしかないの?」


 心配そうに聞くプリンに、ウリリンは首を横にふりました。


「いいや、大丈夫。おれに考えがあるんだ。だからプリン兄ちゃんに待ってもらったんだ。プリン兄ちゃん、次は木の家じゃなくて、ここにわらの家を建ててくれ」


 ウリリンが指さしたのは、ウリリンの手前側、ブーリンがわらの家をたくさん建てたところのすぐ近くでした。目をぱちくりさせるプリンに、ウリリンは説明します。


「ワオンがプリン兄ちゃんの家を壊そうとするなら、できるだけばらけて建物を建てたほうがいいだろう? だからここなんだ。うまくばらけて建物を建てて、オオカミトークンをたくさん動かすんだよ。そうすれば、その間に10軒建てられるかもしれない」

「なるほど、そうか! それならワオンさんも、移動するのに時間がかかって、猟師トークンを手に入れるチャンスが増えるってわけだね」


 プリンはさっそく、木の家トークンではなくわらの家トークンをつかんで、ウリリンが指示した平地に置きました。これでプリンの家は6軒になります。そしてウリリンの手番ですが、まだレンガの家に時間トークンが2つ残っているので、それを1つ取り除きます。そして再びオオカミプレイヤーであるワオンの手番になります。


「ふうむ、ウリリン君はうまい手を使ったね。プリン君の家を壊していきたいから、プリン君の家の近くにオオカミトークンを置きたいけど、プリン君の手前側は、ほとんど森が埋まっていてもう置けないんだよなぁ。それにばらけて家を建てられたら、移動するのに時間がかかって、しかも途中にそんなに家がないから、あんまり点数も稼げない。これは困ったぞ」


 ワオンもウリリンのように、フィールドをじっとながめて考えこみます。ワオンだけでなく、ルージュもやはり同じようにフィールドを見て考えています。


「……それなら、ちょっと距離はあるけど、途中にたくさん家を壊せる、こっちの森にオオカミトークンを置いたほうがいいかもだな」


 最終的にワオンが選んだのは、ウリリンの手前側にぽつんと残っていた森でした。その森のまわりには、ブーリンが建てたわらの家がたくさんあり、その外側に、いくつかウリリンの建てたレンガの家があります。ブーリンが悲鳴をあげました。


「うわぁっ! そこはやめろよ! わしがせっかく建てた家を壊すな!」

「ごめんね、ブーリン君。でも、これもゲームだから、悪く思わないでよ」


 そういって、ワオンはへへっと得意げに笑い、ウリリンの陣地にある森にオオカミトークンを置いたのです。これにはブーリンだけでなく、プリンも「ああっ!」と悲鳴をあげます。


「まずいよ、ウリリン、このままじゃブーリン兄ちゃんのわらの家も壊されて、その先にあるぼくの家も壊されちゃうよ!」

「おい、ウリリン、お前のせいでわしの家が標的にされたじゃないか! どうしてくれるんだ!」


 プリンとブーリンがわめきますが、ウリリンはあわてるどころか、にやりと笑ってワオンを見たのです。


「……よかった、どうやら引っかかってくれたみたいだね」


 ウリリンの自信に満ちあふれた顔を見て、ルージュもくすっとほほえみました。


「ということは、やっぱりウリリン君は気づいていたみたいね」

「えっ、ルージュさん、いったいどういうことだい? ウリリン君も、いったいなにをいっているんだ? だってこのままおいらがどんどん家を壊していけば、それで勝ちになるんじゃないのか?」


 目をぱちくりさせるワオンでしたが、ウリリンはその質問には答えず、ブーリンに目を向け指示したのです。


「ブーリン兄ちゃんは、そこの山にレンガの家を建ててよ。プリンはそのとなりの山だよ」


 これにはプリンはまん丸い目をきょろきょろさせて、首をかしげてしまいます。しかし、ブーリンはブーッと怒りに満ちた鳴き声をあげて、思わずウリリンにつめよります。


「お前、この期に及んでまだレンガの家なんか建てさせようとするのか! このままじゃわしらみんな食われちまうんだぞ! そうなる前に、少しでもたくさん家を建てないといけないっていうのに、なにをのんきなことを」

「ブーリン兄ちゃん、落ち着いてよ! 大丈夫、二人が今おれがいったところにレンガの家を建ててくれたら、それだけで勝てるんだよ! 本当だ!」


 ブーリンにつめよられても、ウリリンも一歩も引かずに声を荒げます。二人の剣幕に押され、おろおろしているプリンでしたが、フィールドを見てから思わず「あっ!」と声をあげたのです。


「待って、これ、オオカミトークンが動けなくなるぞ!」

「はぁ? 動けなくなるだって? お前までなにをいってるんだよ。だってどんどんわらの家を壊して、真ん中のほうへ行けばいくらでも動けるじゃないか」


 プリンを信じられないといった表情で見るブーリンでしたが、プリンは興奮気味にウリリンが指さした山を示します。


「だってほら、見てよ! こことここにレンガの家を建てたら、ワオンさんのオオカミトークンの道をふさげるよ! つまり、真ん中のほうへ行けずに、レンガの家にふさがれるんだ!」

「いやいや、そんなことないだろ! だってここのすき間を通っていけば」


 あわあわいうブーリンでしたが、ルージュが首をふって口をはさみました。


「すき間を通ったりはできないわ。オオカミトークンは、辺で重なっているタイルにしか移動できないもの。もし頂点が重なっているタイルだったら、そのすき間を通ることもできるかもしれないけど、辺なら無理だわ」


 三角形を指でなぞりながら、ルージュが説明しました。まだ口をパクパクするブーリンに、ウリリンは続けて説明します。


「さらに、閉じこめられた中にあるのは、わらの家が3つと、オオカミトークンが出てきた森、つまり荒れ地が1つだけだよ。つまりオオカミトークンは、あと3つしか家を壊すことができないってわけだ」

「でもよ、家を一軒壊すごとに3点入るだろう? だから3つ壊したら9点だ。それに、オオカミトークン2つで14点、全部合わせて23点も入るんだぜ! わしらの家は、今全部で、えーっと……19軒しかないだろう? 4点差で負けてるじゃないか!」


 家トークンを数えてから、青い顔でブーリンがいいます。しかし、ウリリンは首を横にふって続けました。


「それは今の時点だろう? ワオンが建物を壊すまで、あと3ターンある。その間におれたちで建物を建てていけばいい。ブーリン兄ちゃんとウリリンが、このターンからレンガの家を建てるとしても、おれがこの手番からどんどんわらの家を建てて、ブーリン兄ちゃんとウリリンも、レンガの家が建ったあとにわらの家を建てれば、3軒分家を壊されるとしても……うん、ぎりぎりで1点、おれたちが勝ってるよ」

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