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8/10

その8 ~ゲーム本編~

※こちらはカドゲ・ボドゲカフェ企画の参加作品となります。

全部でその10まであります。本日6/15はその7からその10までを投稿します。

その4からその6までがゲームのインスト、その7から実際にゲームが始まります。

それでは最後までどうぞお楽しみくださいませ(^^♪

 ワオンが目覚めを告げる時計の針を、最後の10のところへ動かしました。ここまでの途中経過は、ブーリンがわらの家を9軒、プリンが木の家を5軒(1軒は時間トークンが一つ置かれています)、そしてウリリンがレンガの家を3軒建てています。そして最後の10ターン目、ブーリンはもちろんわらの家トークンをつまみました。


「へへっ、残念だったな、ウリリン。お前の陣地とやらの平地には、わしが全部わらの家を建ててやったぜ。そして最後のターンも、もちろんわしはわらの家を建てるぜ!」


 ウリリンの陣地は、すでにわらの家で埋まっていましたので、ブーリンは自分の陣地にわらの家を建てました。そして、にやりと笑ってワオンを見ます。


「さぁ、これでわしは10軒家を建てたぞ。ごほうびに猟師トークンをもらおうか」


 ブーリンにいわれて、ワオンは目を丸くしながらも、猟師トークンを渡します。へへっと得意げに笑うブーリンでしたが、プリンは不安そうにフィールドを見ています。


「でも、そのおかげで森も山も全然うまってないよ。ブーリン兄ちゃん、このままじゃどこにだってオオカミは出ちゃうんじゃないの?」


 そういいながらも、プリンは残っている時間トークンを取り除くしかできません。そして、とうとう最後にウリリンの番になりました。


「さぁ、お前はどうするんだ? お前はレンガの家3軒、対してわしはわらの家10軒だ。レンガの家はわらの家の得点の二倍だとしても、このままじゃわしの勝利は確定だぜ」


 ブーッと喜ぶように鳴くブーリンでしたが、ウリリンは黙って、真ん中らへんにある山にレンガの家トークンを置きました。もちろん時間トークン二つもいっしょに置きます。


「おいおい、この期に及んでまだレンガの家を作るのか? そろそろわらの家を作っていかないと、ホントに点数が足りなくなるぜ」

「ブーリン兄ちゃん、おれはおれのやりかたでやるから、ほっといてくれよ。……それより、これで10ターンが経過した。ここからはオオカミプレイヤーも動き出すよ」


 ブーリンの言葉を聞いて、ワオンは紅茶のカップを受け皿に置き、それからふーむとフィールドをよく観察していきました。


「なるほど、ウリリン君の手前側と、真ん中あたりに集中して家が建てられているね。ウリリン君の手前側にはわらの家が、真ん中あたりはプリン君が建てた木の家が多いなぁ。それじゃあおいらは、まずは真ん中のこの森にオオカミトークンを置こうかな」


 ワオンはオオカミトークンを一つつまんで、それから正三角形の真ん中あたり、ちょうどとなりにブーリンのわらの家、そしてプリンの木の家が建てられている森へと置きました。プリンが真っ青な顔でワオンを見ます。


「どうしよう、とうとうオオカミが目覚めちゃったよ! あぁ、だからやっぱりみんなで森に建物を建てておいたほうがよかったんだ。このままじゃぼくたちみんな、食べられちゃうよ!」


 ガタガタふるえるプリンでしたが、ブーリンは自信満々でにやりと笑ったのです。驚くプリンに、ブーリンは胸をぐいっとそらしました。


「あたふたするんじゃないぞ、プリン。なんのためにわしが、どんどんわらの家を建てていったかわからんのか?」

「なんのためって……あっ!」


 ブーリンが先ほどもらった猟師トークンを指でつまんで、見せびらかすようにふったのです。プリンがなるほどとうなずきます。


「そうか、それを使えば、オオカミトークンを!」

「そうさ。しかもワオンのやつ、まんまとわしの家のとなりにオオカミトークンを置いたからな。さぁ、それじゃあわしの手番だ。もちろんここのわらの家に、猟師トークンを置くぞ!」


 ブーリンはすぐさま、ワオンが置いたオオカミトークンのすぐとなりに、猟師トークンを置いたのです。


「これでオオカミトークンは、猟師トークンといっしょに取り除かれちゃうわね。ワオンさんったら、もうちょっとフィールドをよく見てから、オオカミトークンを出したほうがよかったんじゃないの?」


 モンブランケーキの最後のひとかけらを、フォークで刺してパクリと食べてから、ルージュがおかしそうに笑いました。しかし、ワオンはなぜかくやしそうな顔もせずに、へへっとほくそ笑んでいたのです。ルージュは「ははーん」と納得したようにうなずいて、それからちらりとプリン、そしてウリリンを見ました。


「でもよかったぁ、これでひとまず安心だね。じゃあ今のうちに、残っている森と山に家を建てていこうよ」


 そういって木の家トークンをつかむプリンに、ウリリンが待ったをかけました。


「ちょっと待って、少しだけ考えさせて」


 目を皿にして、フィールドを観察するウリリンを、ブーリンが意地悪くせかします。


「おいおい、お前の手番でもないのに、どうして待たなくっちゃいけないんだよ? プリン、お前の手番なんだから、さっさと木の家を置いて森を埋めちまえよ」

「だから待ってってば! プリン兄ちゃん、まだ置いちゃダメだよ。……もし今木の家を置いたら、多分おれたち負けちまうぜ」


 自分の手前側の陣地をしっかり見ながら、ウリリンがプリンを止めます。プリンはおろおろしていましたが、持っていた木の家トークンをそっと手元に戻しました。


「いったいなにを考えているんだよ? オオカミトークンはやっつけたんだし、あとはもうおれたちの勝ちじゃないか。それなのになにを迷うことがあるんだよ?」


 ブーリンがさらにあおるようにいいます。すると、ウリリンがムッと顔をしかめて聞き返したのです。


「でも、またオオカミトークンを出されたらどうするつもりだよ?」

「あぁ、なんだ、そんな心配をしてたのか。どうせお前のことだから、わしが考えも無しに家を建てていたと思っているんだろう? 残念ながら、わしはきちんと考えているぞ」


 ブーリンがにやにやしてからいい返すので、ウリリンはわずかに首をかしげました。


「どういうこと? ブーリン兄ちゃんは、いったいどんなこと考えてるっていうんだ?」

「なんだ、じゃあウリリンは気づいてなかったのか? ふふん、やっぱりわしのほうがちゃんと考えているってことだな。じゃあ教えてやるが、今フィールドには、全部で18軒家が建っている。それに対して、オオカミトークンは残り2つだ。そしてオオカミトークンの点数は1つにつき7点。つまり、どう頑張ってもワオンは14点しか稼げないってことだよ。つまり、わしらの勝ちってことじゃないか」


 胸をはって自信満々にいうブーリンでしたが、ウリリンは感心したようにブーッと鳴いたのです。これにはブーリンも驚いてしまいました。


「あれ、なんだよ、お前がわしのいうことにかみつかないなんて、めずらしいじゃないか」

「だって、ブーリン兄ちゃんがそこまでしっかり考えていたのが、うれしくってさ。おれはてっきり、また考えなしにどんどん作業を進めていたのかと思ったけど、よかった、違ったんだね」


 なんだかほめられているのか、バカにされているのかわからない感じのいいかたでしたが、ブーリンはもうほくほくに顔をほころばせて、へへへと照れたように笑いました。


「へへっ、なんだ、お前けっこうかわいいところあるじゃんか。ま、とにかくわしもしっかり考えているってことだよ」

「だけど、残念だけどこのままじゃやっぱり負けちゃうよ」


 うれしがっているところに、ウリリンが冷静につけくわえます。ブーリンのほくほく顔がすぐに固まってしまいました。

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