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7/10

その7 ~ゲーム本編~

※こちらはカドゲ・ボドゲカフェ企画の参加作品となります。

全部でその10まであります。本日6/15はその7からその10までを投稿します。

その4からその6までがゲームのインスト、その7から実際にゲームが始まります。

それでは最後までどうぞお楽しみくださいませ(^^♪

 じゃんけんの結果、子ブタ村のプレイヤー側は、ブーリン、プリン、ウリリンの順で進めることになりました。ワオンは目覚めを告げる時計の針を、さっそく1に動かしました。


「さぁ、それじゃあゲームスタートだよ。……といっても、最初はオオカミプレイヤーのおいらは、なにもすることがないからね。君たちがどうやって建物を建てていくか、じっくり見物させてもらうよ」


 紅茶のおかわりを入れながら、ワオンがにっこり笑いました。縄をほどいてもらったルージュも、ワオンからもらったモンブランケーキを食べながら、ワクワクでいっぱいといった顔をしています。


「よし、それじゃあわしからだな。といってもわしの作戦は当然、どんどんわらの家を建てることさ」


 そういってブーリンは、自分の赤い家トークンの中から、わらの家を取り出し、フィールドの真ん中あたりにある平地にドンッと置いたのです。ウリリンが目を丸くしました。


「えっ、真ん中に置くの?」

「なんだよ、文句あんのか?」


 ギロッとウリリンをにらみつけるブーリンを、プリンがあわててなだめます。


「まぁまぁ、ブーリン兄ちゃん、落ち着いてよ。まだゲームは始まったばかりじゃないか。さ、次はぼくの番だね」


 そういって、プリンは自分の黄色い家トークンの中から、木の家を取り出しました。


「ぼくはどんどん森を木の家に変えていくよ。そうしないと、オオカミトークンがどんどん出てきちゃうからね」


 プリンはフィールドをさっとながめて、それからブーリンのすぐ近くにある森に木の家を置きました。


「あ、そうだった、プリン君、木の家トークンといっしょに、これも置いておいてくれ」


 ワオンが思い出したように、ビー玉ぐらいの大きさの、小さな時計の形をしたコマを一つ渡しました。三人は目をぱちくりさせてそれを見ます。


「これ、なに?」

「時間トークンだよ。ほら、木の家とレンガの家は、どっちも建て終わるまでターンがかかるだろう? で、いつ建てたかわからなくならないように、木の家は時間トークンを一つ、レンガの家は時間トークンを二つ置くのさ。それで、次のプリン君の手番になったときに、時間トークンを一つ取り除くんだよ。そうすれば、時間トークンがなくなって、家が建ったってことが分かるだろう?」


 ワオンの説明に、ブーリンとプリンは「なるほど」と同時に声をあげました。その様子が面白かったのでしょうか、ルージュが思わずくすりと笑います。ですが、ただ一人、ウリリンだけは、真剣な表情でじっとフィールドを見つめています。


 ――あら、あの目……。なるほど、ウリリン君も気づいたみたいね。このゲーム、適当に家トークンを建てていくと、あとでオオカミトークンにどんどんやられちゃうってことを――


 ウリリンの鋭い顔つきを見て、ルージュは一人うなずきました。その視線には気づかず、ウリリンはフィールドをさらによく観察していきます。


 ――今回のフィールドは、バランスはそんなに取れていない。とくにおれから見て手前側は、山と平地がたくさんある。そして、森がぽつんと外れにある。……この森が、今回のキーになるな。そしてそれ以外には、平地と森がバランスよく配置されていて、ところどころにときどき山があるって感じか。ワオンは、それに気づいているかな――


 ちらりとワオンを盗み見ると、ワオンはショートケーキを食べるのに夢中になっていて、フィールドを見ていませんでした。ウリリンはにやっと笑って、それから今度はブーリンとプリンを見ました。


 ――プリンはうまく説得できると思うけど、ブーリン兄ちゃんは、どうせおれの話を聞いてなんてくれないだろうからな。でも、下手に動かれて()()()()()()()()()()()()()()()、あとがやっかいだな。それじゃあ――


 フーッと小さく息をはいて、それからウリリンは顔をあげました。ブーリンが意地悪そうに笑ってウリリンを茶化します。


「おぉ、やっとでどうするか決めたか。まったく、お前もわしみたいにパッパと決断して、さっさと仕事をしなくちゃ、世界一の大工にはなれないぜ」

「うるさいなぁ、ブーリン兄ちゃんはいつも一言多いんだよ。それよりさ、おれが家を建てるの邪魔をしないでくれよ」


 ウリリンのぶっきらぼうないいかたに、ブーリンはブーッと思わず怒ったように鳴きました。まん丸い目をギラギラさせてウリリンをにらみつけます。


「なんだと! わしは邪魔なんてしてないじゃないか!」

「いいや、邪魔だよ! おれだって真ん中から攻めていこうと思ってたのに、建てられちゃったからさ。……それならこうしようよ、みんな自分の手前側、つまり自分に近いところを陣地としてさ、そこにしか建物を建てちゃダメってことにするんだ。これならケンカしなくていいだろう?」


 ウリリンの提案に、ブーリンはすぐに反論します。顔を真っ赤にして、鼻息荒くどなりかえしたのです。


「なんだと、なんでお前が指図するんだよ! くそっ、気分悪いな、せっかく楽しくしようとしてたのに、ケチつけられたじゃないか!」


 プリプリ怒るブーリンは無視して、ウリリンは手前側にある山に、青色のレンガの家トークンを置きました。


「ワオン、おれにも時間トークンを二つくれよ」


 ウリリンに声をかけられて、ワオンはあわててスプーンを置いて、それから時間トークンを二つ渡しました。その間にも、ブーリンはカンカンになって、ぎりぎりと歯ぎしりしていましたが、やがてにたぁっと意地悪そうに笑いだしたのです。


「そうかそうか、レンガの家ってことは、お前はしばらくのあいだお休みってことだな?」


 ブーリンに聞かれて、ウリリンは努めて冷静に聞き返します。


「そうだけど、それがどうしたんだよ?」

「いやいや、お前さっき、自分に近いところを陣地としようとかなんとかいってただろ。でも、お前の近く、たくさん平地があるっていうのに、そこを自分の陣地にするのはずるいだろ」


 にやにやしながら、ブーリンはわらの家トークンをつまみました。そしてそれを、あろうことかウリリンの手前側、つまりウリリンの陣地にある平地にドンッと置いたのです。ウリリンが「あっ!」と声をあげます。


「へへっ、誰がお前のいう通りになんかするもんか! こうなったら徹底的に、お前の陣地にわらの家を建てまくってやるぜ!」

「ブーリン兄ちゃん、やめろよ! だいたいわらの家ばっかり建てても、オオカミトークンが出てきたら壊されちゃうんだぜ。そうなったら、こっちの建物は減って、ワオンは3点プラスされるんだ。だからレンガの家を建てて、壊されないようにしなくちゃダメだろ」


 文句をいうウリリンですが、ブーリンはどこ吹く風といった様子で首をふりました。


「だからお前はダメなんだよ。いいか、オオカミプレイヤーは、()()()()()()()()21点が保証されているんだぜ。だったらわしらも、ちんたらレンガの家を建てていたって、勝てないだろう? どんどんわらの家を建てて、建物の数を稼ぐしかないじゃないか」


 ブーリンの得意げな顔を見て、ウリリンは苦々しげな顔をして見せましたが、心の中では別のことを考えていました。


 ――やった、かかったぞ。これでブーリン兄ちゃんは、意地でもおれの陣地、つまり手前側にわらの家を作っていくだろう。しかもさっきブーリン兄ちゃんは、()()()()()()()()21点っていった。つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()も考えているってことだ。あとは――


 険悪な雰囲気になっている二人を見て、プリンはおろおろしていましたが、ひとまず時間トークンを一つ取り除きました。ウリリンも同じように時間トークンを一つ取り除きます。そして……。

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