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4/10

その4 ~インスト~

※こちらはカドゲ・ボドゲカフェ企画の参加作品となります。

全部でその10まであります。本日6/14はその6までを投稿する予定です。明日6/15にその7からその10までを投稿します。

その4からその6までがゲームのインスト、その7から実際にゲームが始まります。

それでは最後までどうぞお楽しみくださいませ(^^♪

「それじゃあお待ちかね、このゲーム、『子ブタ村と目覚めるオオカミ』について説明をしよう。といってもそこまで難しいゲームじゃないよ。やることは単純で、君たち子ブタ村のプレイヤーは、どんどん家を作っていけばいいんだよ」


 そういってワオンは、箱の中に入っていた赤、青、黄色の、いろんな家の形をしたコマを指さしました。


「それで、一体どんなゲームかっていうと、一言でいえば陣取りゲームみたいなものさ。この三角形のタイルがあるだろう? これ、36個あるんだけど、これをつなげて、正三角形のフィールドを作るんだ。そしてそこにどんどん家を建てていって、一番多く家を作った人が勝ちだよ」

「なるほどな、そういうゲームか。それならわしは得意だぞ。なんせわしは仕事が早くて、どんどん工事をこなせるからな」


 ドンッと胸をたたいて、誇らしげに笑うブーリンを、ウリリンはジトッとした目で見つめました。ですが、やがてウリリンがワオンに質問します。


「そのタイル、裏は全部黒だけど、表はいろいろ絵が描かれてるね。その絵はいったいどういう意味を持っているの?」

「いい質問だね。そうだよ、表には三種類の絵が描かれているんだ。それぞれ、平地、森、山の絵になっているよ。とりあえずまずはフィールドを作るところから始めようか」


 ワオンが三角形のタイルを全部うらがえして、それからガシャガシャと混ぜていきました。ある程度混ぜ終わったら、まるでタイルを並べていくように、辺と辺をあわせて重ねていきます。そしてついに、大きな黒い三角形に並び終えたのです。


「裏側のままだけど、このままゲームを始めるの?」


 ウリリンの質問に、ワオンは首を横にふりました。


「いいや、これはまだ準備の段階だよ。さっきシャッフルしたから、どこに平地、森、山があるかわからないよね。それじゃあ今度は、みんなでタイルをひっくり返して表にしていこう」


 ワオンの言葉にうなずいて、みんなでタイルを表側にひっくり返していきます。さっきまでは黒一色の、なんだかさびしい三角形のフィールドだったのが、全部ひっくり返したあとには、わらの絵が描かれた平地に、木々の緑が鮮やかな森、そしてごつごつした山の絵でいっぱいになったのです。しかも、どの絵もそれぞれちょっとずつ違っているので、本当にこの正三角形のフィールドに、新しい世界地図が描かれているような気分になるのでした。


「平地が一番多いみたいだね。森と山は……同じ枚数かな?」


 じっと冷静に観察していたウリリンが、顔をあげてワオンに質問しました。ワオンは二ッと笑ってうなずきます。


「そうだよ、よく気がついたね。フィールドを彩るタイルは、平地が18枚あるよ。つまり全部の枚数である36枚の半分が平地ってことだ。そして森と山はそれぞれ9枚ずつ。平地より少し少ない枚数だね」


 ワオンの言葉にうなずいて、ウリリンはさらにじっとフィールドを見ていきます。三種類の地形が、均等に配置されていると思ったら、少し偏りができているみたいです。ウリリンから見て手前側に、山と平地がたくさんあり、ぽつんと森が外れてあります。ですが、それ以外には、平地と森がまだらにできていて、たまに山があるといった様子です。ウリリンは考えこむようにブゥッと鳴きました。


「さぁ、それじゃあ次に、建てることができる家について説明するね。まずは君たちに、この『家トークン』をそれぞれ渡しておくよ」


 ワオンは三人に、家の形をした小さなコマを渡していきました。ブーリンは赤、プリンは黄色、ウリリンは青のコマを受けとります。コマをもらうと、やっぱりウリリンはじっとそれを観察して、それからまたしてもワオンに質問したのです。


「家も三種類あるね。フィールドのタイルも三種類だったから、フィールドによって建てることができる家が決まっているってことかな?」


 ウリリンの言葉を聞いて、ワオンは目をぱちくりさせました。


「驚いたなぁ、よくわかったね。そうだよ、この家トークンは、三種類、わらの家、木の家、レンガの家がそれぞれあるよ。そしてウリリン君がいってくれたように、それぞれ、平地からはわらの家、森からは木の家、山からはレンガの家が建てられるんだ」


 ワオンが感心したように笑うのを見て、ブーリンがブーッと不満そうに鳴きました。


「説明は終わりだろ、それじゃあ早くゲームをしようぜ」

「ブーリン兄ちゃん、待ってよ、まだ全然わからないことだらけだよ。こんな状態でゲームしたって、負けるに決まってるだろ」


 ウリリンがしかめっつらでブーリンに注意します。ブーリンはますます不満そうな顔でウリリンをにらみつけます。プリンがあわててワオンをうながしました。


「そ、それで、三種類の家は、それぞれどう違うんですか?」

「あぁ、それじゃあそれについても説明しよう。でも、その前にまずは、このゲームの勝ち負けについて話すね」


 説明しようとするワオンに、ブーリンがにやっと笑って口をはさみました。


「勝ち負けなんてわかりきってるぜ。一番多く家を建てたやつが勝ちってことだろ?」

「うーん、惜しいかなぁ。正解でもあるし、ちょっと違うともいえるね」


 ワオンの言葉に、ブーリンは目をぱちくりさせました。


「どういうことだ? あってるか、間違ってるか、どうしてはっきりしないんだ?」

「うん。なぜならこのゲームは、最初に『子ブタ村のプレイヤー』三人と、『オオカミプレイヤー』に分かれるんだけど、勝ち負けはまず、子ブタ村のプレイヤー側と、オオカミプレイヤーとで判定するんだ。もしここでオオカミプレイヤーが勝ったら、オオカミプレイヤーの独り勝ちになる。でも、子ブタ村のプレイヤー側が勝っていたら、今度はそこから、子ブタ村のプレイヤーで一番を決めるっていう流れなんだよ」


 ワオンの説明を聞いて、ブーリンはちんぷんかんぷんといった表情でしたが、ウリリンはなるほどとうなずきました。


「つまり、おれたちはチームでまずはあんたと戦って、そのあと勝ったら、おれたちのなかで一番を決めるってことだな?」

「そうそう、そういうことだよ。それで、さっきブーリン君がいってくれたように、子ブタ村のプレイヤー側と、オオカミプレイヤーの勝ち負けを決めるときには、子ブタ村のプレイヤーの家の軒数が得点になる。でも、子ブタ村のプレイヤー同士で勝ち負けを決めるときは、作った家の点数が重要になってくるよ」


 ワオンがウリリンの持っていた家トークンをつまみました。


「とはいっても、点数は簡単で、わらの家は1点、木の家とレンガの家はどちらも2点だよ」

「なんだ、じゃあ木の家とレンガの家をバンバン建てれば、わしの勝ちってことだな」


 またしても早口で答えて笑うブーリンでしたが、ワオンはすまなそうに首をふりました。


「だけど、残念ながらそうはならないんだよ。なぜなら、わらの家、木の家、レンガの家は、それぞれ建てるためにかかるターンが違うからね。わらの家は1ターン、木の家は2ターン、レンガの家は3ターンかかるよ」

「ちょっと待ってくれ、ターンがあるってことは、もしかしてこのゲーム、期限があるってことか?」


 ウリリンの質問に、ワオンは口元をほころばせました。


「そうだよ、とはいっても、何ターン目までに家を建てなければならないって意味の期限ではないけどね。このゲームで決められている期限は、ズバリ、オオカミの目覚めなのさ」

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