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獣と共に夢の中  作者:
奏(そう)
56/60

五日目の夜から六日目

もう、狼目線では詰みも近い。

ここから村は確実に狼を吊って行かないと、勝てない状況に陥っていた。

神は相変わらずやる気が無さそうだったが、いつも通りリビングに集まった夜中、言った。

「なんともお粗末な事になってしまったが、まだ明日次第では巻き返しもある。今夜は、弘を噛もう。それで狐でなければもう、狐はいない。昨日共有が噛まれたのだ昴は弘を守らず司を守るだろうが…そろそろCOするはずなので、どのみち守り先は分かるだろうし、判断は出来るだろう。それによって、永二に黒を打つか、弘に黒を打つか決める。」

奏は、言った。

「レアケースとして玲史が狐って事もあり得ますよね。狂人は潜伏したまま消えたとか。」

神は、ため息をついた。

「君までそんなことを。私達目線では、まず噛めたことで帆波は狂人だった。亜子が狂人ならあそこまで抵抗しないだろうし、役に立たな過ぎる。狼を探している気配もなかった。そして、狂人なら怖くないはずの占いをかなり怖がっていた。噛んだ早苗も全く狂人の動きはなかった。里美も狂人の動きは一切していない。後は弘。狐でないとは言えないので、私目線では亜子が限りなく狐だろうが、念のため今夜噛んで確認する。ということで、玲史は、限りなく狂人だろうと考える。別に、最後に昴でなく玲史を噛んで見てもいいがな。どうする?」

克己が、腕を組んだまま、言った。

「別に、いいんじゃね?」奏がそちらを見ると、克己は続けた。「オレは玲史と個人的に話してるから言うけど、限りなく狂人だ。それにあいつは、オレ達に狂人だと知らせるために、わざわざ黒を打って知らせたんだ。狐だったら、結果は合わせておいて、村に真だと思われていた方が都合がいい。何しろ、噛みは怖くないんだからな。襲撃では死なないわけだからさ。」

良樹も、頷いている。

奏は、息をついて頷いた。

「みんながそう言うなら。占いを怖がっていた亜子と、呪殺で死んだ征由が狐ってことで進めていいね?」

神は、頷いた。

「君が何を言いたいのか分かる。これは賭けだからな。だが、それぐらいのリスクがあっても良いんじゃないか?このゲームは、退屈過ぎるのだ。これで終わりだなんて、まだ何かあったらと期待してしまうのだよ。だからこそ、まだ続けても良いかと思う。」

奏は、つまり神にも、亜子が狐であったという確証はなくて、そして玲史が狐である可能性はあると思っているが、そのまま続けると言っているのだ、と思った。

リスクはあるが、それでも神が続ける気持ちになるのなら、その賭けに乗るしかないのかと、奏は覚悟したのだった。


六日目だ。

弘に噛みが通っていたら、神が永二に黒を打って、永二吊りを促せば終わりだった。

だが、弘が無事だったら、昴の護衛位置を何とかして確認してから、黒出しする必要があった。

もう点呼の必要もなく、神も何も言う事もなく、ただぞろぞろと階段の方へと集まって行った。6人居る。

「…あれ、弘は?」

奏は、言われて7号室の扉を見た。

「…開く様子がないな。」

…噛みが通った。つまり、弘は狐ではない。

奏は司と目を合わせて取っ手を掴むと、それをそっと開いた。

きちんと整頓された部屋…もう、見慣れた光景だった。

奏は、不必要にゆっくり歩く司に、もう遺体を確認したくないと思っているのに気付き、さっさと先に行って、弘を見た。

そして、確かに死んでいるのを確認し、振り返って言った。

「…死んでいる。昨日の襲撃は、弘だ。」

狩人を探した噛みだと皆には見えているだろう。

すると、上階から良樹、克己、美奈子、昴が降りて来た。

「…弘か。」

昴が言う。

司が頷くと、昴はキッと顔を上げて、言った。

「弘を噛んで来たって事は、狼は狩人を探してる。追い詰められているんだ。」

玲史が、頷いた。

「だろうね。オレ視点じゃあと二匹。昨日の里美さんは、白だった。」

指示した通りだ。

奏は、思った。

美奈子は悲壮な顔で頷いた。

「里美さんは白だった!もう駄目よ!狂人が居るんでしょ?!狼が四匹、パワープレイよ!」

神が、回りを見回しながら言った。

「…パワープレイなら、もうここで言ってくれないか。無駄な議論時間を消費したくない。克己?」

克己は、息をついた。

「オレには分からないね。狼に聞いてくれないか。」

神は、頷いて永二を見た。

「永二。教えてくれ、パワープレイなのか?」

永二は、驚いた顔をした。

「どういう事だ?え、まさか…まさか、オレを占ったって言うつもりか?」

神は、頷いた。

「私は永二を占った。永二は黒、人狼だ。」

皆が、永二を見る。

渚が、慌てて首を振った。

「違うわ!永二さんは人狼に黒を出されてるから白よ!私は奏さんを占って、黒だったわ!って事は…狼が四人と、狂人二人で、パワープレイなんじゃないの…?」

奏が、首を振った。

「どこに狂人二人と狼四人居るんだよ。オレと神さんと後誰と誰なんだ?君目線で永二が白なら…ええっと、良樹と、克己が狂人だから、昴か?」

渚は、頷いた。

「そうなるわ!永二さんは人狼に黒を打たれてるから白、克己さんと玲史さんは狂人でしょ?数は合うじゃないの!もう間に合わないけど…。」

昴は、首を振った。

「僕は狩人だ!」皆が驚いた顔で昴を見る。昴は続けた。「司は知っていた。弘を噛んで狩人を噛めたつもりだったのかもしれないが、あいつは素村だぞ?それにな、渚さん、神さんならこんな回りくどい事はしないんだ。なぜなら、神さんはもう、二日目から僕が狩人なのを知ってたんだ。狼なら、とっくに噛んでるはずなんだ!残念だったな!美奈子さんは偽、君も偽だ!」

神が言った通りだった…ここでCOして来た、と奏は思った。

神が、言った。

「そうなって来ると、内訳だな。渚さんが狂人、克己も狂人、美奈子さんが、もしかして最後の黒なのか?それとも克己が狼で、美奈子さんは狂人…?」

克己は、笑った。

「だからオレは最初から狼だって言ってるじゃないか。」

神は、克己を睨んだ。

「パワープレイじゃないな?」

克己は、ふんと笑った。

「どうだろうな。」

克己が言うはずはない。

そもそも、パワープレイではない。狼目線では、狂人は二日目に落ちている…帆波だ。

「…この様子だと違うな。とにかく玲史目線で後二匹。吊り縄はあと四。今夜永二を吊って昴が襲撃されて明日8人。神さんに美奈子さんを占ってもらって白が出たら克己を吊り、黒なら美奈子さんを吊って終わりだ。狂人が二人居ても、まだ間に合う。」

奏が言うと、司も昴も頷いた。

神が、言った。

「…村はそれで本当にいいのか?」神がいきなりそんなことを言うので、皆驚いた顔をした。神は続けた。「初日から私を真だと盲信し、私が出した白を信じてここまで来た。確かに私目線ではもう詰みだ。美奈子さんは真ではあり得ない。だが、渚さん目線ではそうではない。渚さんと美奈子さんが真であったなら、私と奏は狼だ。狂人が何人残っているのか、渚さん目線では確かではない。しかし今日パワープレイが起こっていないということは、どこかで一人落ちていると考えると辻褄は合う。狐が居たらもう無理だろうが、この感じだと光一、亨、亜子さん、里美さん辺りに居たのかもしれない。村がもし、その線を追うのなら、私か奏を吊るべきなのだ。どうする?しっかり考えろ。」

司は、ぐ、と黙った。

渚も、わけが分からず目をうろうろと動かしている。

美奈子も、どうして神がそんなことを言うのか全く分からなかった。

狼陣営の者達でも分かっていないだろう。分かっていたのは、恐らく奏一人ではないだろうか。

どうしてか分からないが、自分は神をよく知っているのだ。このままでは面白くないので、自分の身を危険に晒してでも、思考のバトルをしたいと心底思っているのだろう。

「…そんなことをしていたら、狼の思う壺だ。間に合わなくなる。」昴が言った。「神さんは狼じゃない。狼だったら昨日は僕を噛んだはずだ。いや、もっと前に噛めたんだ。なのに噛まなかった。弘はグレーだったのに、残しておけば黒を擦り付けられた。なのに狩人っぽい発言をしたからそこを噛んだ。狼は狩人を知らない。だから神さんは真占い師、渚さんが狂人、永二が狼で、美奈子さんか克己に狼が一人だ!」

司は、何度も頷いた。

それを見て奏は、完璧に神の伏線がはまってしまっていて、村の思考がロックされているのを感じた。

永二は、言った。

「そんなもの!神さんは偽なんだ!オレは今日やっと分かった!今日はどうしても神さんを吊らないと勝てないぞ!神さんが狩人を知っていたって、それがなんだ!神さんなら予測して護衛位置を外す事だって雑作なかったはずだぞ?!だったらそれを利用して、残しておいたらこうして信用されるんじゃないのか?!お前らは騙されてるんだぞ?!」

その通りなんだけど、村の考えは固定されてるからなあ、と奏は思った。

あろうことか神は、永二の言葉に頷いた。

「これだけ詰まれば護衛成功が出たところで問題ないだろうからな。確かに私が狼でもやるだろう。それを踏まえて、皆はどうするのだ。何を信じる?」

神の事をよく知らない、玲史が困ったような顔をしている。

狼陣営でもそうなのだから、司は、苦悩している顔をした。

「…昨日、渚さんの真も追う事になって、その指定先から吊りました。神さんは克己さんを吊った方が良いと勧めましたよね?でも村はそれを選ばなかった。結果、確定白が出た。狐だったのかも知れないけど、狼陣営なら狐は消したいはずだ。グレーの弘は襲撃で死んで狐ではなかったし、昴は狩人。永二は黒。あと神さん目線奏だけですけど、なんなら明日占っても良い。克己を吊って狂人の数を減らして、最終美奈子さんで終わり。それで良いと思います。神さんは、最初から最後まで村のための発言をしていて、決めていたのは村のオレ達です。一度も強制していなかったし、なんなら渚さんの意見も尊重するように促していた。ずっと考えろと言って、村の意見に従ってくれました。だからあなたが真で良いと思います。」

神は、それをじっと聞いていたが、頷いた。

「…それが君たちの選択ならばそれに従おう。私目線では、まだ間に合う。昴が狩人を明かしてまで私を守ろうとしてくれたしな。ならば今夜は、永二を吊ろう。また考えが変わったら、会議を召集してくれ。私は投票時間まで好きに過ごしている。」

そうして、神は自分の部屋の方へと歩いて行った。

奏もその後を追うように歩いて行くのに、永二の声が言った。

「待ってくれ、オレは村人なのに!」と、司を見た。「信じられないかもしれないが、神さんが偽なんだ!よく考えてくれ、亨さんは真占い師だったんじゃないのか?!神さん目線では狂人が多過ぎるじゃないか!」

昴が首を振った。

「亨さんは狐かもしれない。もしくは克己が狼で、美奈子さんが狐。どっちにしろ神さんが美奈子さんを呪殺してくれるから、数はおかしくない。破綻してない。」

そうして、司を促して歩き出した。

「待て!本当にオレは…!」

だが、司も昴も聞いていなかった。

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