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獣と共に夢の中  作者:
奏(そう)
47/60

三日目夜から朝

奏は運んで行ったもの達と一緒にリビングへ戻って来た。早く終わらせて先に進めたいので、無駄な会話は一切せずにいたので、他のもの達には奏が亜子の死を重く受け止めているのだと思っただろうが、生憎奏は、少しも気にしていなかった。

司は言った。

「じゃあ、占い先を決めよう。渚さんがあんな様子だったから、決められないんだけどな。」

神が、息をついた。

「征由を占うと言っていた。仕方がないから、渚さんの指定先は征由にしよう。黒を打たれるかもしれないがな。」

征由は、肩をすくめた。

「みんなそう思ってる。という事は、その黒の効力はあんまり強くないと思うけどな。」

なんとなくホッとしているようにも見える。

征由は、渚を偽だと思っているのだろう。大半の村人がそう思っているのだから、それはそうだろうと思われた。

司は、残ったグレーを見た。

「じゃあ…神さんは、昴、亨さんは…弘にする?克己?」

神が言った。

「両方亨に振り分けてどっちか決めさせたら良い。私は昴と、渚さんの白先の早苗さんを指定させてもらうよ。あれだけ私に突っかかって来るから、彼女の真贋がますます怪しくなっているのでね。どちらかを占おう。」

昴は狩人だろうからな。

そしてそれを、司は知っている。なので、神はもっともらしい理由をつけて、昴をグレーに残したまま、早苗で何かやるつもりだろう。

何も知らない司は、頷いてため息をついた。

「渚さんの態度は、もし真だとしても許せるものじゃないですよね。ついイライラして、あんなことを言ってしまいましたけど。」

神は、息をついたが答えない。恐らく呆れて物も言えないのだろう。存分に戦いたい神にとって、やりがいのない相手なのだ。

良樹が、言った。

「ああいう態度を取ったらまずいって分からないのかな?今夜吊られた亜子さんだって、もっと発言してたら、頑張ってる様子だけでも白が拾えたかもしれないのに、最後は渚さんが必死に自分を庇ってるのに黙り込んで。あれじゃ自分から吊られる理由を作ってるようなものだ。」

玲史が、言った。

「もう、死んだ人の事は悪く言うのはよそう。それより、明日だ。今夜結果が分かるから、今日はもう休んで明日に備えよう。」

玲史にとって、狼に足を引っ張るからと切り捨てられた狼かもしれない亜子を、あまり悪くは言いたくないのかもしれない。

対抗霊能者の美奈子でさえも、それには反対しなかった。

皆は、もう慣れたようにキッチンへと立ち寄って、夜の分の食べ物と飲み物を手に、それぞれの自室へと引き揚げて行ったのだった。


時間になり、いつものようにリビングへと集まった四人は、ソファに座って向かい合った。

神は、ハアとため息をついて、言った。

「やはり昴が狩人だった。」皆がえ、と驚いた顔をすると、神は苦笑した。「部屋へ帰る前に司に水を向けてみたら、あっさりわかった。」

良樹が、顔をしかめた。

「そんなにあっさりバレていいんですか?昴に同情するよ。」

克己が言う。

「じゃあ、今夜は昴を?」

神は、首を振った。

「いいや。あのお粗末な真占い師が呪殺を出すかもしれないからな。あんな奴でも能力は確かだ。まあ、そうならなくても私の占い先が死ねば、真を確定させたくなかった狼の噛み合わせを追わせられる。なので、絶対に守っていないだろう早苗を襲撃して私の呪殺を追わせる方向にする。この手は何度も使えないから、今回だけになるし征由狐に賭けるしかないがな。」

奏は、頷いた。

「亜子さんは狐だと思います。でも、征由と対立していたので違うかもとも思ったんですが…亜子さんがあんな感じなので、切り捨てたとも考えられますね。」

神は、頷いた。

「私が征由でも同じ事をしただろう。最初に、恐らく保身のためだろうが、疑われている征由を攻撃したのは亜子の方だった。なので征由も切ったのだろう。私はそう思っているが…如何せん、情報が少な過ぎて分からないのだ。ただの白かもしれないしな。どちらにしろ、亜子は狐だったと私は思っているので、呪殺が出て二人処理出来るのを願っているがね。」

克己が、言った。

「じゃあ今夜は早苗さんで。それで、今夜はオレが亨さんの指定先になってますよね。弘はあの通り白いから、多分オレに黒が出ると思うんですけど…狼COしようかなと思ってるんですけど。」

良樹は、眉を上げた。

「吊られるつもりか?明後日黒結果が出て亨さんが真占い師って事になるんじゃ。亜子さんとことは玲史に黒と言えと言ったんだろう?明後日も黒と言わせたら、玲史目線、めちゃ詰まるじゃないか?」

神が、言った。

「いや、おもしろいと思う。」神は、考えながら言った。「村目線、飼う事になるかもしれないし、それに狼がCOするなんて普通はない。そうだな、私が折を見て狂人なのでは、と村に意見を落とそう。そうしたら、皆その可能性を追うだろう。追わなくても、次の日玲史に白を出させたら嫌でも考えなければならなくなるしな。呪殺の件といい、村が考える事が多くなればなるほど、間違える率が高くなるのだ。それで行こう。」

克己は、ニヤリと笑った。

「面白くなって来た。オレはあくまでも狼陣営で、渚さんや美奈子さん寄りの姿勢をさりげなくします。で、狂人っぽい動きをしますね。別に吊られても、神さん達なら勝ってくれるでしょうし。せいぜいオレを使って白くなってください。」

神は、頷いた。

「利用させてもらうよ。奏と一緒に克己吊りを推す。私目線、まだ霊能のどっちが真か分からないという姿勢で行くから、吊られてからもいろいろな考えを落として村を乱せるからな。」と、伸びをした。「面白くない村だと思い始めていたが、明日は刺激のある日になりそうだ。」

奏は、ホッとして言った。何であろうと神のやる気が持続するなら良かった。

「じゃあ、襲撃先を入力します。」奏は、19を入力した。「さ、終わりです。」

『No.19を襲撃します。』

腕輪が言う。

良樹が、感心したように言った。

「お前、勇気あるよな。村に総スカン食らうし、その上吊られるのに。」

克己は、笑って言った。

「一方的で面白くないなって思ってたしな。別に総スカン食らっても平気だ。オレには仲間が居るし。絶対勝つだろうって信じてるしね。」

奏は、気を引き締めた。克己の信頼に応えるためにも、どうしても勝たねばならない。

とはいえ、まだ村人は残っている。まだまだ勝利までは日にちが掛かるだろう。

それでも、勝つ自信はあった。

「絶対勝つ。」奏は言った。「負ける未来は見えないな。まずは今夜だ。狐が無事に処理されるのを願おう。」

皆は頷き合って、そうして自室へ向けて歩いた。

明日の結果が、どうなるのか楽しみで仕方がなかった。


次の日の朝、待ち構えていた奏は、急いで扉を開いた。

…誰が死んだ?

目の前の6号室へとすぐに目をやると、司が同じように扉を開いてそこに立っていた。

隣の神が、言う。

「司。無事だな。」と、廊下を見た。「さあ、点呼だ!1!」

奏は叫ぶ。

「2!」

そうやっていつもの点呼が進んだ時、弘の声の後、里美が暗い顔で言った。

「…10。」そして、弘を見た。「渚さんが居ないわ。」

弘が、身を固くする。

司は、どういう事だと狼狽えた目で神を見る。奏も、わけが分からなかったが、神はそちらへ歩いて行きながら言った。

「ノックして入って見てくれないか。」

里美が体を震わせると、弘が察して、渚の部屋の扉を叩いた。

「渚さん?入るよ。」

そんなノックじゃ中には聴こえてないな。

奏は思った。死んでいるはずはないのだ…渚が狐で、亨が占っていない限り。しかし、そんなはずはないことは、狼には分かっていた。何しろ、亨と渚が真占い師でなかったら、他に潜伏している占い師が居るということなので、死ぬはずはない。

なので、何も言わなかった。

「渚さん?」弘は、扉を開いたまま、中へと足を踏み入れた。「朝の点呼だぞ?」

すると、渚の怒鳴り声が聞こえた。

「うるさいわね!私はまだ寝ていたいのよ!入って来るな!」

その声は、廊下にまで漏れて来ていた。

なんだよ、拗ねてただけかよ。

奏は、ふんと小さく鼻を鳴らした。

里美が、ホッとしたように後から入って来て、言った。

「ほら、確認に行かなきゃ。二階はみんな無事だったわ。三階…、」

そこまで言った時、三階から克己の声が叫んだ。

「おい!来てくれ!死んでる…二人死んでる!」

「ええ?!」

二階の皆が叫ぶ。

そうか、呪殺が起こったか。

「…行こう。」

神は、階段を駆け上がって行った。

渚も含めた、全員がそれに倣って急いで階段を上がって行った。

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