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獣と共に夢の中  作者:
奏(そう)
35/60

全員で二階へと上がって自分の部屋へと収まると、奏は落ち着く暇もなく急いでルールブックを探した。

それは、探すまでもなく机の上にきちんと置かれてあったが、そこには一番最初に、名簿が番号と共にあった。

1.神(じん)

2.(そう)

3.永二(えいじ)

4.玲史(れいじ)

5.由佳(ゆか)

6.(つかさ)

7.(ひろし)

8.(なぎさ)

9.帆波(ほなみ)

10.里美(さとみ)

11.光一(こういち)

12.(のぞみ)

13.良樹(よしき)

14.克己(かつみ)

15.亜子(あこ)

16.美奈子(みなこ)

17.(きょう)

18.征由(まさよし)

19.早苗(さなえ)

20.(すばる)

…覚えた。後は顔だな。

奏は、思って先へと読み進めた。

人狼は、毎日しっかり襲撃しないと村人も狐も含めた全員が追放となるらしい。

本当に死ぬ事に及び腰になって、襲撃先を選ばないようなことがあってはゲームにならないと、そんな規定があるのだろう。

とにかく、この村では初日の襲撃がある。

つまり、役欠けを狙えると言うことだ。

狼にとって、二人の占い師と二人の霊能者は厄介なものだった。

四人の内一人でも初日に落とすことが出来ていれば、かなり有利に進められるはずだった。そのために、奏は役職確認の時皆の視線の動きや表情をしっかり見ていた。

0時まで待てば、神と良樹、克己という仲間と話し合える。

奏は、その時をじっと待っていた。


シンと静まり返った中で、突然に閂が抜ける音がして、奏は急いで外へと出た。

すると、廊下には神が出て来ていて、奏に頷き掛けた。

「ここは防音が半端なく利いているらしい。試しに何度か扉を叩いてみたが、司も君も全く反応が無かったからな。」

奏は、驚いて神を見た。

「え。そんなことをしてたんですか。何も聞こえなかった。」

神は、頷く。

「狼がうろついているのを気取られたら面倒だからな。どこまで聞こえないものなのか、見ておかないとと思ったのだ。」と、上階からそろそろと降りて来た、克己と良樹の名札をつけた二人を見た。「ああ、来たか。リビングへ下りよう。話がある。」

二人は慎重に頷いて、足音も立てないようにと気を遣っているらしい。

奏は、言った。

「防音がめちゃくちゃ利いてるんだって。ノックどころか殴っても中まで聞こえないんだよ。」

二人は、驚いた顔をしながら、口を開いた。

「え…そうなのか?」

奏は、頷いた。

「神さんがオレの扉をガンガン叩いてたらしいけど、全く聴こえなかったからね。だから、少々大丈夫だと思うよ。」

二人は幾分、気が楽になったようで、足取りも普通になった。

「良かった。でも、なんだってこんなゲームに参加しちまったんだろう。もう気力が萎えて来てたんだけど…。」

良樹が言うのに、克己は笑った。

「大丈夫だって。神さんって頼りになりそうだし。言う事聞いてたら多分勝てるよ。」

良樹は、階段を降り切って、言った。

「でも、死んじまったら勝っても一緒じゃないか。」

リビングへと歩きながら、それには奏が言った。

「でも、多分死ぬんじゃなくて失神ぐらいなんじゃないかな。だって、勝利陣営は戻って来る、ってルールブックに書いてあったからね。」

リビングへと入って行きながら、神が言った。

「奏も見たか。私も見た。恐らくそうだろうな。」と、窓際のソファにどっかりと座った。「で?今夜は襲撃出来るんだ。明日出た死体なのか失神した体なのかを見たら、どうなるのか分かるだろう。狩人は、守り先は適当だろうし、護衛成功は出ないと思う。出来たら役職を狙いたいが、誰か情報はあるか。」

奏は、観察していた情報をここぞとばかりに言った。

「はい。5番由佳さんがやたら6番司を見ていたので、多分この二人は役職だと思います。狐か、共有者じゃないでしょうか。」

良樹が、首を傾げた。

「オレはそういうの、からっきしで。仲間を覚えるのに必死だった。」

克己は、うーんと唸った。

「よく見てるよな。あの時の表情でなんか分からなかったなー。ただ、玲史がほぼ正面ぐらいに座ってたんだけど、なんかキョロキョロしてて狼を探してる感じバリバリで白かったなーって。それぐらい。」

「狼を探すのは村人だけじゃないぞ。」神が言う。「狂人だって、役職を騙った時黒を打ったら大変だからな。とはいえ、私は12の希さんが明らかに顔色が変わったんで、何か持っているなと思ったな。別に狂人でも良いし、噛んでみないか。初日のボーナスのようなものだから、狐であったとしても良いじゃないか。」

奏は、確かに希も変な顔をしていたな、と思って頷いた。

「確かにそうでしたね。変な顔してましたよね…狐でもなさそうだけど、狂人かもしれませんよ?」

神は、笑った。

「狂人は二人も居るし問題ない。とにかく、試しに襲撃してどうなるのか見たいのだ。彼女には護衛など付きそうにないしな。」

良樹は、肩を竦めた。

「任せますよ。よく分からないし。」

克己も、頷く。

「そういうのは、神さんに決めてもらいましょう。オレ達は勝てるなら言う通りにしますよ。」

神は、頷いた。

「そうか。従ってくれるのなら助かる。さっさと終わらせて、記憶を返してもらいたいからな。どうも頭に霞みが掛かっているようで、落ち着かないのだ。」

奏は、腕輪を開いた。

「ええっと、ルールブックを読みました。誰か一人の腕輪から入力したらいいんですよ。オレが入れますね。」

奏は、何のためらいもなく、さっさと番号を入力した。すると、腕輪から声がした。

『№12を襲撃します。』

良樹と克己の二人は、それを興味深そうに見て言う。

「へえ。こんな風になるんだな。」

「これで明日の結果待ちだな。」と、奏はパチンと腕輪を閉じた。「それで、明日はどうします?役職が出て来ますよ。オレ、占い師に出ましょうか?」

神は、首を振った。

「いや、私が出る。」皆が驚いていると、神は続けた。「私は占われやすい位置なのだ。番号が1だし、その上黙っていられないので発言するし目立つからな。ならば黒を出されるのを遅らせるために、占い師に出るべきだろう。初日は白しか出ないし…その、克己が言っていた、玲史という男に白を出そう。占い師の決め打ちの日までに、徹底的に白い発言と行動で真目を取るように努力する。こんな命がけのゲームに参加するぐらいだから、それなりの者達なんだろう。知力で対抗するのは確かに面白そうだが、簡単に騙せるとは思っていないから、私も気合を入れて向かうよ。」

奏は、言った。

「だったら、オレがサポートしますよ。」と、克己と良樹を見た。「君達は、その時はオレ達が仲間なのを忘れて、素直にその時その時で、思った意見を小出しにして行くと良いよ。あんまりこっち寄りだとオレ達が疑われた時まずい事になりそうだし、出来たら、明日出て来る共有者に合わせて行ったらいいんじゃないかな。出来るだけ占われるのを遅らせるために、白くなるのを心がけてくれ。」

神は、言った。

「狐が居るので、恐らく占い先は指定になるだろう。もし指定範囲に君達が入ったら、率先して囲うから安心すると良い。いつまでもグレーに残さないようにする。ま、状況によりけりだが、強引に君達を占いたいとは言わないつもりだ。あくまでも、自然に指定されて占う事にするから。私が真目を取るのがまず大事だと思っているので。」

克己は、頷いた。

「もしもの時は、オレに黒を打っても良いですよ。それで吊られたら、霊能が黒を出すので真目が上がるでしょう。オレはそういうの、平気なんで。」

神は、片方の眉を上げた。

「それは有難いが、出来るだけ避けて行こう。とにかく、明日からの動き次第という事か。」

奏は、頷いて立ち上がった。

「じゃあ、さっさと寝て体力を付けておきましょう。頭の働きが阻害されると厄介ですから。」

神は、もっともだと頷いて立ち上がった。

「その通りだ。じゃあ、また明日な。短い間だが、よろしく頼む。」

奏、良樹、克己は頷いた。

「はい!お願いします。信頼してます。」

克己が答えて、四人は足早に自分の部屋へと戻って行った。

その日は、ぐっすりと眠ったのだった。

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